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時には
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珍しいこともあるものだと驚きに目を見張る。
「この間は部下が悪かった。あれは俺の判断違いだった」
「…………」
この人ちゃんと謝れるんだなと純粋に感心した。
玲も無事産まれたことから挨拶がてら久しぶりにレオナルドの手伝いに来たのだが、来て数分経たずして扉を蹴り飛ばす勢いで部屋に入ってきたマルスに謝罪されたのだ。
部屋の主であるレオナルドでさえ驚きに手を止めている。
「お久しぶりですね」
「あ?ああ……そうだな」
色々すっ飛ばしての謝罪に、しかし挨拶が先だろうと声をかければ困惑しながらも返してくる。
さてどうしたものかとレオナルドを窺ええば、大きな溜め息の後マルスにとりあえず座るように促していた。
「フレックさんはお元気ですか?」
「ああ。毎日元気に叱られてるよ」
落ち込んでなければいいなと思っていたが元気なようで何より。
丁度いいかとレオナルドも交え休憩することにし、お茶を入れるとエルたちにも配っていく。
「色々土産まで持たせてくれたみたいでありがとな」
お節介かもと思ったが美味しく食べてくれたようだ。
「それで……彼はどうなりましたか?」
「辞めちまった。他の奴らからも話しを聞いてみたらどうも態度も悪ぃが訓練もサボってみてたみたいでな。俺が直々に訓練してやったら1日経たねぇ内に辞めていきやがった」
「そうですか」
やはりというか口先だけの男だったようだ。
「まぁそのこともそうだけどな、フレックのヤツもあれだったらしいな。そのことも含めて悪かった」
縁に向かって頭を下げるマルスを見下ろす。
彼が悪いわけではないことは理解している。だがーー
「………正直言ってフレックさんにはがっかりしました。貴方たちとも距離を置いた方がいいだろうとも考えました」
「…………」
今はさておきあの時感じたことを正直にマルスに告げる。
「けど……ちゃんと話し合って彼も彼なり答えを出してくれたみたいなのでそれはやめました。なので今後も仲良くしてもらえれば嬉しいです」
そう言った縁の言葉に分かりやすく肩の力を抜いたマルスに苦笑いする。
彼らが縁のことをどう思っているかは知らないが、自分と仲良くしたところでそれほど利益があるようには思えないが。
「ただ私もそれほど心が広いわけではないので次があるとは期待しないで下さいね」
今回は許したのだ。次もまたなどありえはしないと忠告だけはしておけば真剣な面持ちでマルスも頷いてくれた。
あくまで縁の最優先は家族であり、言い方は酷いだろうがどちらかを捨てろと言われれば迷わずマルスたちの手を縁は離すだろう。
「がっかりしたと言いましたけど、私もそれなりにマルスさんたちのことを信用していたというのもあるんですよ。元気で真っ直ぐなマルスさんが私も好きだったので」
正直な彼は時に言わなくてもいいことも言うこともあるがだからこそ嘘をいうような性格ではないことが分かり信用出来るのだ。
「……こんなジジイ褒めたところで何にも出ねぇぞ」
「仲良くしてもらえれば十分ですよ。エリックからもよくしてもらってると聞いてるので有り難く思ってますし」
自分なりに自分の道を進もうとしているエリックにマルスたちが手を貸してくれているのは本人から聞いていた。
「お前一体いくつだよ。俺の方がガキみたいじゃねぇか」
肉体的年齢で言えば確実にマルスが上だが、前世の記憶や縁の性格もあり上に思われることもあるだろう。
だが態々そんなことを説明するつもりも、する必要もないだろう。
今の縁のことを皆が気に入ってくれている、それが大切なのだ。
「そう思うならもう少しフレックさんに叱られないように頑張って下さい」
「分かってんよ」
苦い顔をしながらも頷いたので大丈夫だろう。
謝罪も終わり、ならばフレックの顔もついでに見に行こうと兵舎の方にも顔を出せば笑って迎えてもらえた。
「約束通り抱っこしてもらいに来ました」
以前言った、産まれたら抱っこしてやってほしいという言葉通り玲を抱えてみせれば笑って頷いてくれる。
「本当に小さいんですね。とても可愛いです」
赤ん坊を抱くのは初めてだというが思いの外丁寧に抱き抱えてくれたフレックに良かったと縁も笑って頷くのだった。
「この間は部下が悪かった。あれは俺の判断違いだった」
「…………」
この人ちゃんと謝れるんだなと純粋に感心した。
玲も無事産まれたことから挨拶がてら久しぶりにレオナルドの手伝いに来たのだが、来て数分経たずして扉を蹴り飛ばす勢いで部屋に入ってきたマルスに謝罪されたのだ。
部屋の主であるレオナルドでさえ驚きに手を止めている。
「お久しぶりですね」
「あ?ああ……そうだな」
色々すっ飛ばしての謝罪に、しかし挨拶が先だろうと声をかければ困惑しながらも返してくる。
さてどうしたものかとレオナルドを窺ええば、大きな溜め息の後マルスにとりあえず座るように促していた。
「フレックさんはお元気ですか?」
「ああ。毎日元気に叱られてるよ」
落ち込んでなければいいなと思っていたが元気なようで何より。
丁度いいかとレオナルドも交え休憩することにし、お茶を入れるとエルたちにも配っていく。
「色々土産まで持たせてくれたみたいでありがとな」
お節介かもと思ったが美味しく食べてくれたようだ。
「それで……彼はどうなりましたか?」
「辞めちまった。他の奴らからも話しを聞いてみたらどうも態度も悪ぃが訓練もサボってみてたみたいでな。俺が直々に訓練してやったら1日経たねぇ内に辞めていきやがった」
「そうですか」
やはりというか口先だけの男だったようだ。
「まぁそのこともそうだけどな、フレックのヤツもあれだったらしいな。そのことも含めて悪かった」
縁に向かって頭を下げるマルスを見下ろす。
彼が悪いわけではないことは理解している。だがーー
「………正直言ってフレックさんにはがっかりしました。貴方たちとも距離を置いた方がいいだろうとも考えました」
「…………」
今はさておきあの時感じたことを正直にマルスに告げる。
「けど……ちゃんと話し合って彼も彼なり答えを出してくれたみたいなのでそれはやめました。なので今後も仲良くしてもらえれば嬉しいです」
そう言った縁の言葉に分かりやすく肩の力を抜いたマルスに苦笑いする。
彼らが縁のことをどう思っているかは知らないが、自分と仲良くしたところでそれほど利益があるようには思えないが。
「ただ私もそれほど心が広いわけではないので次があるとは期待しないで下さいね」
今回は許したのだ。次もまたなどありえはしないと忠告だけはしておけば真剣な面持ちでマルスも頷いてくれた。
あくまで縁の最優先は家族であり、言い方は酷いだろうがどちらかを捨てろと言われれば迷わずマルスたちの手を縁は離すだろう。
「がっかりしたと言いましたけど、私もそれなりにマルスさんたちのことを信用していたというのもあるんですよ。元気で真っ直ぐなマルスさんが私も好きだったので」
正直な彼は時に言わなくてもいいことも言うこともあるがだからこそ嘘をいうような性格ではないことが分かり信用出来るのだ。
「……こんなジジイ褒めたところで何にも出ねぇぞ」
「仲良くしてもらえれば十分ですよ。エリックからもよくしてもらってると聞いてるので有り難く思ってますし」
自分なりに自分の道を進もうとしているエリックにマルスたちが手を貸してくれているのは本人から聞いていた。
「お前一体いくつだよ。俺の方がガキみたいじゃねぇか」
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だが態々そんなことを説明するつもりも、する必要もないだろう。
今の縁のことを皆が気に入ってくれている、それが大切なのだ。
「そう思うならもう少しフレックさんに叱られないように頑張って下さい」
「分かってんよ」
苦い顔をしながらも頷いたので大丈夫だろう。
謝罪も終わり、ならばフレックの顔もついでに見に行こうと兵舎の方にも顔を出せば笑って迎えてもらえた。
「約束通り抱っこしてもらいに来ました」
以前言った、産まれたら抱っこしてやってほしいという言葉通り玲を抱えてみせれば笑って頷いてくれる。
「本当に小さいんですね。とても可愛いです」
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