380 / 475
余計な一言
しおりを挟む
「おーおー。こりゃでっかいおねしょだな」
「それは言葉にしなければいけないことですか?」
時に人は余計な言葉を吐くが、今が正にそれだと思った。
俯き縁の足に張り付く真に大丈夫だからと頭を撫でてやる。
彼もしたくてしたわけではないのだからそれを笑ってしまうのはあまりに可哀想だ。
洗うのは手間だが、洗ってしまえば綺麗になるのだから落ち込む相手にその一言はまったく余計だ。
「大丈夫ですよ。すぐ綺麗にしますからね」
「……………ごめんなさい」
ダメだ。完全に落ち込んでしまっている。
真がおねしょしたと知ったのは昨夜遅く。
ぐっすりと寝ている中揺り起こされ見ればそれがあった。
ごめんなさいと泣きながら謝る我が子に苛立つはずもなく、大丈夫だよと言うと着替えだけ済ませ眠りについた。
本音を言えばシーツを交換したかったが、大きなベッドに皆で寝ているため交換するには皆を起こす必要があったのだ。
だがそんなこと出来るはずもなく、濡れたそこにはタオルを敷くと泣く真を腕に抱え眠った。
そして案の定朝それに気付いたアレンが冗談めかしてそう言ったのだが、はっきり言って余計だ。余計な一言だ。
本人もよくないことだと分かっているし、恥ずかしいと思っているのだから追いうちをかけるようなことを言わないでほしい。
「寝る前に少し飲ませ過ぎましたかね。気付いてあげられなくてごめんね」
寝る前と分かっていたのだが、喉が渇いたというので飲ませてしまったのは縁だ。
何もおねしょをしたのは真が初めてではない。
繋も以前したことがあり、更に言えば愛依だって経験済みだ。
だがあの2人は黙って俯いている子たちではなく、そんなことを言ったジークとアレンに突撃していくとバンバンとかなりの力で殴りにいっていた。逞ましい。
そんな姉妹を持ちながらも性格が違う真は落ち込み俯くと何度も謝り続けていた。
「ごめんなさい」
「謝らなくていいですよ。みんな一度は経験することです。ママも昔にしたことがあります」
幼い頃縁も経験したことがあるが、あれは本当に恥ずかしく申し訳なかった。
どうしていいか分からず戸惑い母に言えば笑って大丈夫だと言うと父にバレないように静かにシーツを交換し着替えさせてくれたものだ。
だからこそ真の気持ちも分かるし大丈夫だと背を撫でてやる。
「あー、その……悪かった。別に真をバカにしたわけじゃないからな?」
「そういうことじゃないんですけどね。嫌われたくなかったら玲には言わないことですよ」
「わ、分かった。ごめんな真」
流石にアレンもよくなかったと気付いたのか必死に謝っていた。
「洗うのお手伝いしてくれますか?愛依と一緒に踏み踏みして下さい」
「うん」
このままでは今日一日ずっと落ち込んでしまうだろうと洗濯を手伝ってもらうことにした。
自分で洗えば多少は気が楽になるかと思ったのだ。
そして愛依を呼びにいき話しをすれば、案の定怒った愛依がアレンに突撃しに行き真を泣かすなと怒っていた。
「アーパパひどい!シン、ちゃんとごめんなさいしてたもん!ダメなのよ!」
「悪かったって。真にはちゃんと謝ったぞ」
そんな2人を横目に桶にたらいに水を張ると石鹸を泡立てる。
「さっ、真頑張って」
「うん」
シーツを浸すと真に裸足で踏んでもらう。
途中自分もやりたいという愛依も混ざり一緒に踏み踏みしてくれた。
「繋もやる~」
何故か繋まで参戦し仲良く踏み踏みすると汚れもなくなり綺麗になった。
「いっぱい頑張ってくれたから今日は3人の好きなご飯を作りましょうね」
「ケイおみそしる!」
「アイおにく!」
「…………」
未だ俯いたままの真に手を伸ばすとそっと顔を上げさせる。
「真は何が食べたい?頑張ってくれたからママも頑張って真のために美味しいご飯を作りますよ」
「……………シン…おさかな」
「じゃあ……丼にしましょうかね。真にはお魚で愛依にはお肉で。美味しく作りたいのでお手伝いしてくれると嬉しいな?」
「「「するっ」」」
漸く見せてくれた笑顔に良かったと微笑む。
それからみんなでご飯を作っていれば匂いにつられてかアズやエルも集まってきて仲良くみんなで作った。
「優しい優しい真が、アレンのためにと、態々、作ってくれましたよ。良かったですね?」
「……あ、ありがとな真」
ハイと渡された丼に頬を引きつらせながら受け取っていた。
これぐらいで勘弁してあげよう。
「ママのもとても美味しそうです。ありがとう真」
縁が作ると言っていたのだが、なんだかんだで人数もいたため材料を揃えると子どもたちが各々好きにご飯の上に盛り付けていた。
アレンの他に縁の分も真は作ってくれ、自分の好みなのかそれとも縁の胃を思ったのか色々な魚がのせられていた。
「ママだいすき」
「ママも真が大好きですよ」
一緒に笑い合い食べるご飯はとても美味しいのだった。
「それは言葉にしなければいけないことですか?」
時に人は余計な言葉を吐くが、今が正にそれだと思った。
俯き縁の足に張り付く真に大丈夫だからと頭を撫でてやる。
彼もしたくてしたわけではないのだからそれを笑ってしまうのはあまりに可哀想だ。
洗うのは手間だが、洗ってしまえば綺麗になるのだから落ち込む相手にその一言はまったく余計だ。
「大丈夫ですよ。すぐ綺麗にしますからね」
「……………ごめんなさい」
ダメだ。完全に落ち込んでしまっている。
真がおねしょしたと知ったのは昨夜遅く。
ぐっすりと寝ている中揺り起こされ見ればそれがあった。
ごめんなさいと泣きながら謝る我が子に苛立つはずもなく、大丈夫だよと言うと着替えだけ済ませ眠りについた。
本音を言えばシーツを交換したかったが、大きなベッドに皆で寝ているため交換するには皆を起こす必要があったのだ。
だがそんなこと出来るはずもなく、濡れたそこにはタオルを敷くと泣く真を腕に抱え眠った。
そして案の定朝それに気付いたアレンが冗談めかしてそう言ったのだが、はっきり言って余計だ。余計な一言だ。
本人もよくないことだと分かっているし、恥ずかしいと思っているのだから追いうちをかけるようなことを言わないでほしい。
「寝る前に少し飲ませ過ぎましたかね。気付いてあげられなくてごめんね」
寝る前と分かっていたのだが、喉が渇いたというので飲ませてしまったのは縁だ。
何もおねしょをしたのは真が初めてではない。
繋も以前したことがあり、更に言えば愛依だって経験済みだ。
だがあの2人は黙って俯いている子たちではなく、そんなことを言ったジークとアレンに突撃していくとバンバンとかなりの力で殴りにいっていた。逞ましい。
そんな姉妹を持ちながらも性格が違う真は落ち込み俯くと何度も謝り続けていた。
「ごめんなさい」
「謝らなくていいですよ。みんな一度は経験することです。ママも昔にしたことがあります」
幼い頃縁も経験したことがあるが、あれは本当に恥ずかしく申し訳なかった。
どうしていいか分からず戸惑い母に言えば笑って大丈夫だと言うと父にバレないように静かにシーツを交換し着替えさせてくれたものだ。
だからこそ真の気持ちも分かるし大丈夫だと背を撫でてやる。
「あー、その……悪かった。別に真をバカにしたわけじゃないからな?」
「そういうことじゃないんですけどね。嫌われたくなかったら玲には言わないことですよ」
「わ、分かった。ごめんな真」
流石にアレンもよくなかったと気付いたのか必死に謝っていた。
「洗うのお手伝いしてくれますか?愛依と一緒に踏み踏みして下さい」
「うん」
このままでは今日一日ずっと落ち込んでしまうだろうと洗濯を手伝ってもらうことにした。
自分で洗えば多少は気が楽になるかと思ったのだ。
そして愛依を呼びにいき話しをすれば、案の定怒った愛依がアレンに突撃しに行き真を泣かすなと怒っていた。
「アーパパひどい!シン、ちゃんとごめんなさいしてたもん!ダメなのよ!」
「悪かったって。真にはちゃんと謝ったぞ」
そんな2人を横目に桶にたらいに水を張ると石鹸を泡立てる。
「さっ、真頑張って」
「うん」
シーツを浸すと真に裸足で踏んでもらう。
途中自分もやりたいという愛依も混ざり一緒に踏み踏みしてくれた。
「繋もやる~」
何故か繋まで参戦し仲良く踏み踏みすると汚れもなくなり綺麗になった。
「いっぱい頑張ってくれたから今日は3人の好きなご飯を作りましょうね」
「ケイおみそしる!」
「アイおにく!」
「…………」
未だ俯いたままの真に手を伸ばすとそっと顔を上げさせる。
「真は何が食べたい?頑張ってくれたからママも頑張って真のために美味しいご飯を作りますよ」
「……………シン…おさかな」
「じゃあ……丼にしましょうかね。真にはお魚で愛依にはお肉で。美味しく作りたいのでお手伝いしてくれると嬉しいな?」
「「「するっ」」」
漸く見せてくれた笑顔に良かったと微笑む。
それからみんなでご飯を作っていれば匂いにつられてかアズやエルも集まってきて仲良くみんなで作った。
「優しい優しい真が、アレンのためにと、態々、作ってくれましたよ。良かったですね?」
「……あ、ありがとな真」
ハイと渡された丼に頬を引きつらせながら受け取っていた。
これぐらいで勘弁してあげよう。
「ママのもとても美味しそうです。ありがとう真」
縁が作ると言っていたのだが、なんだかんだで人数もいたため材料を揃えると子どもたちが各々好きにご飯の上に盛り付けていた。
アレンの他に縁の分も真は作ってくれ、自分の好みなのかそれとも縁の胃を思ったのか色々な魚がのせられていた。
「ママだいすき」
「ママも真が大好きですよ」
一緒に笑い合い食べるご飯はとても美味しいのだった。
56
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる