二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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何がいいかな?

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 「あ、あのさ、お願いがあるんだけど………」

 珍しくもそう言ってきたエルに驚きながらも、ちゃんと言ってくれたことが嬉しかった。

 「いいですよ。何ですか?」

 申し訳なさそうな顔をするエルだが、滅多に自分から頼ってくることがない彼だからこそ縁を頼ってくれたのが嬉しかった。

 「その……」

 不安そうに縁の顔色を窺いながらも差し出されたのは、以前子どもたちと一緒にまとめて渡したご褒美帳。
 あれからかなり頑張ったようで見ればかなりの数が貯まっていた。

 「いっぱい頑張ってくれたんですね。そういえば子どもたちが色んな絵を描いてもらったと喜んでました」

 ご褒美帳に書く印は特にこれと決まっていたわけではないため、子どもたちが飽きないようにかエルは色んな絵を描いてくれていたようだ。
 今日はお魚さんだった、お花にネコさんだよと子どもたちが見せてくれたご褒美帳は華やかだった。

 「えっと、うん。みんなが喜んでくれてたみたいで良かった。それでその…オレもいくつか貯まったからお願いしていい?」

 指定していた数以上に貯まっていたが、今までそこまで欲しい物もなかったのか特に何かを強請ることとなかったエル。
 その彼が望むなら何であれ聞いてやりたい。
 笑顔で頷く縁にホッと息をつくと、キョロキョロと周りに人がいないことを確認し小声でお願いされた。

 「アズに何かご褒美あげてほしいんだ」

 「…………ん?」

 何故かエルのご褒美にアズのご褒美をお願いされた。

 「別に繋たちが頑張ってないって言ってるわけじゃないからね!ただ、その、アズはさ、繋たちみたいに素直に甘えにいけないみたいだからその……」

 つまり素直にお強請りできない弟のために兄であるエルが代わりに強請りに来たらしい。
 今日も今日とて仲の良い兄弟だ。

 「分かりました。アズは何か欲しいものがあると言ってたりしました?」

 「ううん。けど最近は一緒に薬草とりにいったり、魔法の練習に狩りに行ってたりするから部屋に色々物が貯まってるみたい」

 言われてみれば最近殆どギルドで依頼を受けていなかった。
 アズたちが自分で町に行って売るというのも難しいため戦利品は部屋に貯め込む一方なのだろう。
 ふむ……

 「え?ちょっ、な、なに?エニシ?」

 エルの腕を掴むと、今日は自身の部屋にこもっているというアズの部屋に向かう。

 「アズ?入ってもいいですか?」

 「ママ?うん」

 「…………これはまぁ、すごいことになってますね」

 少し見ない間にアズの部屋はかなり物で溢れかえっていた。
 魔物からとったのか大小様々な魔石らしきものに、エルが言っていた狩りの戦利品らしい動物たちの毛皮。以前教えた約束の数々も床に積み上げられおり、中には乾燥させているのか壁に吊るされているものもある。
 相変わらず魔法の勉強も欠かしていないようで、床に積み上げられている本たちに彼の努力が見て取れる。

 「ママ?」

 「色々頑張ってるみたいですね。エルがとても褒めてましたよ。けど最近アズが甘えてくれなくなってママは寂しいので抱きしめてもいいですか?」

 そう言い両手を広げれば、キョトンとした後笑って抱きついてきたアズを受け止める。 
 出会った頃よりかなり成長した身長はすでに縁の胸元ほどまである。

 「我儘なママでごめんね。でもママはアズが大好きですよ」

 「僕も。僕もママ大好き」

 責任感の強いアズのことだ、自分は兄なのだからと繋たちを気遣い自分から甘えにいくのは控えていたのだろう。
 勿論単純に親離れや反抗期という可能性もあるが。そうではないと思いたい。

 「もしアズがよければ明日町まで買い物に行きませんか?」

 「買い物?」

 「エルがね、頑張ってるアズに何かご褒美をあげてって」

 「ちょっ!?なっ、そ、それは言わなくていいんだよ!」

 照れているのか慌てるエルにアズが驚いたような視線を向けている。
 数分何か考えるように俯いたかと思えば、机に置いてあった何かを手に戻ってきた。

 「これ、僕の。お兄ちゃんにあげる」

 自分のはお兄ちゃんに使ってと言うアズに、喜びと感動にかエルが俯いた。心なしか涙目だ。
 本当にいい子に育ってくれた。

 「オレはいいよ。それはアズが頑張って貯めたーー」

 「では明日は3人で行きましょうか」

 遠慮し断ろうとするエルに、しかし言い終える前にアズの帳面を受け取った。
 エルの気持ちも分からなくもないが、ここで彼が遠慮してしまえばアズもきっと遠慮し何もいらないと言ってしまうだろう。
 ならばお互いがお互いに贈るという形が一番平和的であり心温まる。

 「じゃあ明日のために今日は早く寝ましょうね。それと欲しい物を考えておいて下さい。エルもですよ」

 「うん!」
 「う、うん」

 初めの頃が嘘かのような仲の良い兄弟に縁も笑って頷くのだった。
 仲良きことは美しきかな、ですね。

 




 
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