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頼みごと?
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「急ですまないがアンタに頼みたいことがあるから来てほしい」
そうマーガレットから連絡があったのは昨日。
海から帰ってきて数分も経たずに連絡があり、流石に疲れていたため翌日まで待ってもらったのだ。
彼女には珍しく急いでいるような言い方が気になりながらも、その日はぐっすり休むと翌日冒険ギルドへと向かうのだった。
「………………で、その…頼めるかい?」
「構いませんよ」
全身で申し訳ないと謝るマーガレットに笑って頷く。
訪れた当初、あまりに深刻そうな表情に彼女の身に何かあったのではと心配したが、話しを聞く限り子どもを1人預かって欲しいとのことだった。
預かると言っても後日迎えがあるわけではなく、つまりは身寄りがない子を森に住む子どもたちと一緒に暮らさせてやってほしいとのこと。
「ですが本当に私でいいんですか?身寄りがないのではあれば教会とかでも構わないと思いますけど」
縁が保護している子どもたちあくまで親族に見放された子どもたちのため、通常ならば教会などに保護させるべきのはず。
「それもそうなんだけどね。その……ちょっと事情があってね。私も拾った手前無責任に知らない人間に任せるのも心配になっちまって」
それは縁のことを信頼してくれているということでいいのだろうか?
「本人は?」
マーガレットの意見は分かったが、その子ども本人が本当にそれでいいと言っているのかが分からない。
無理強いするのは縁の本意ではないため確認しておきたかったのだ。
「あー、話すには話したんだが何も言わないんだよ。イヤならイヤと言っていいと言ってはみたんだけどね」
イヤとは言わない。だがそれでいいと頷いたわけでもないようだ。
「…………話してみても構いませんか?」
何も言わない、反応がないというのが気になる。
マーガレットに部屋まで案内してもらうと驚かせないよう静かに入っていく。
「こんにちは」
「…………」
応えはない。
ベッドに腰掛けどこか焦点の合ってない瞳にこれは少し危ないかもしれないと悟った。
「初めまして。私は縁と言います」
「…………」
「お名前を聞いてもいいですか?」
「…………」
実際は分からないが見た目からして3、4歳といったところだろうか。
簡素なワンピースは所々破け、全体的に痩せ細り薄汚れている腕には小さな人形を抱えていた。
確認のため少女の瞳の前でパチンパチンと数回指を鳴らし、見えているかと手を振ってみれば少しだが反応があった。
怖がらせないよう、そっと顎に手を添えるとゆっくりと上向かせていく。
「……こんにちは」
「…………」
相変わらず応えはなかったが、それまで合わなかった目線がきちんと縁を捉えていた。
「お友達、ですか?」
何か反応をしてくれないかと先程からずっと抱えていた人形を指差せば、奪われると思ったのか抱える腕の力が増した。
「大切なものなんですね。大丈夫、とりません。お名前を教えてくれますか?」
「…………」
取られたくないと腕に抱きしめながらも何も発しない少女に息を吐くと、ずっと背後で様子を窺っていたマーガレットを振り返る。
「お婆ちゃん……あくまで可能性ですが彼女耳が聞こえていないか声を出せないのかもしれません」
「っ」
少しは予想していたのか苦しそうに顔を歪めるマーガレットに、どうするのか尋ねる。
「私は医師ではありません。これが生まれながらなのか、何か精神的なものからくる後遺症なのかも判断が出来ません。治せる保証もなく、私のやり方では更に彼女を苦しめてしまうかもしれません。それでも……私で構いませんか?」
医師でもなければ、精神科医でもないため少女を理解してやることも治してやることも縁には難しい。
教会が保護した子どもたちをどう扱っているかは分からないが、森で他の子どもたちと働き暮らすのとどちらが彼女にとって最善なのか。
今の少女の反応からどうしたいか聞いたところで答えは返ってこないだろう。
ならば彼女を保護したマーガレットの意思を尊重する。
「私はーー」
「お茶を用意したよ。一旦落ち着かないかい?」
マーガレットが何かを言おうとした瞬間、戸を叩く音と共にジンが顔を出した。
思い詰めたようなマーガレットに、これは何か事情があるようだと察すると少女を残し静かに部屋を後にするのだった。
そうマーガレットから連絡があったのは昨日。
海から帰ってきて数分も経たずに連絡があり、流石に疲れていたため翌日まで待ってもらったのだ。
彼女には珍しく急いでいるような言い方が気になりながらも、その日はぐっすり休むと翌日冒険ギルドへと向かうのだった。
「………………で、その…頼めるかい?」
「構いませんよ」
全身で申し訳ないと謝るマーガレットに笑って頷く。
訪れた当初、あまりに深刻そうな表情に彼女の身に何かあったのではと心配したが、話しを聞く限り子どもを1人預かって欲しいとのことだった。
預かると言っても後日迎えがあるわけではなく、つまりは身寄りがない子を森に住む子どもたちと一緒に暮らさせてやってほしいとのこと。
「ですが本当に私でいいんですか?身寄りがないのではあれば教会とかでも構わないと思いますけど」
縁が保護している子どもたちあくまで親族に見放された子どもたちのため、通常ならば教会などに保護させるべきのはず。
「それもそうなんだけどね。その……ちょっと事情があってね。私も拾った手前無責任に知らない人間に任せるのも心配になっちまって」
それは縁のことを信頼してくれているということでいいのだろうか?
「本人は?」
マーガレットの意見は分かったが、その子ども本人が本当にそれでいいと言っているのかが分からない。
無理強いするのは縁の本意ではないため確認しておきたかったのだ。
「あー、話すには話したんだが何も言わないんだよ。イヤならイヤと言っていいと言ってはみたんだけどね」
イヤとは言わない。だがそれでいいと頷いたわけでもないようだ。
「…………話してみても構いませんか?」
何も言わない、反応がないというのが気になる。
マーガレットに部屋まで案内してもらうと驚かせないよう静かに入っていく。
「こんにちは」
「…………」
応えはない。
ベッドに腰掛けどこか焦点の合ってない瞳にこれは少し危ないかもしれないと悟った。
「初めまして。私は縁と言います」
「…………」
「お名前を聞いてもいいですか?」
「…………」
実際は分からないが見た目からして3、4歳といったところだろうか。
簡素なワンピースは所々破け、全体的に痩せ細り薄汚れている腕には小さな人形を抱えていた。
確認のため少女の瞳の前でパチンパチンと数回指を鳴らし、見えているかと手を振ってみれば少しだが反応があった。
怖がらせないよう、そっと顎に手を添えるとゆっくりと上向かせていく。
「……こんにちは」
「…………」
相変わらず応えはなかったが、それまで合わなかった目線がきちんと縁を捉えていた。
「お友達、ですか?」
何か反応をしてくれないかと先程からずっと抱えていた人形を指差せば、奪われると思ったのか抱える腕の力が増した。
「大切なものなんですね。大丈夫、とりません。お名前を教えてくれますか?」
「…………」
取られたくないと腕に抱きしめながらも何も発しない少女に息を吐くと、ずっと背後で様子を窺っていたマーガレットを振り返る。
「お婆ちゃん……あくまで可能性ですが彼女耳が聞こえていないか声を出せないのかもしれません」
「っ」
少しは予想していたのか苦しそうに顔を歪めるマーガレットに、どうするのか尋ねる。
「私は医師ではありません。これが生まれながらなのか、何か精神的なものからくる後遺症なのかも判断が出来ません。治せる保証もなく、私のやり方では更に彼女を苦しめてしまうかもしれません。それでも……私で構いませんか?」
医師でもなければ、精神科医でもないため少女を理解してやることも治してやることも縁には難しい。
教会が保護した子どもたちをどう扱っているかは分からないが、森で他の子どもたちと働き暮らすのとどちらが彼女にとって最善なのか。
今の少女の反応からどうしたいか聞いたところで答えは返ってこないだろう。
ならば彼女を保護したマーガレットの意思を尊重する。
「私はーー」
「お茶を用意したよ。一旦落ち着かないかい?」
マーガレットが何かを言おうとした瞬間、戸を叩く音と共にジンが顔を出した。
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