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正解はない。
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皆でお茶を囲み少女に一体何があったのか聞いていたが、あまりの話しに数分声が出なかった。
「…………確認ですが彼女元々声は出ていたんですよね?」
「そうだね。私もさっき知り合いの子に確認したけど話しは出来ていたそうだよ」
ならば確実に原因は母親たちの死だろう。
どこに隠れていたのか分からないが、家の中にいたならば母親たちが上げる悲鳴を聞いていてもおかしくなかった。
「目は見えていたようなので大丈夫でしょう。耳は?」
「そっちも異常はなかったそうだ」
意図的に声を発しず、声も遮断しているのか?
はたまた聞こえていてわざと黙っているのか。
精神的ショックで声が出なくなると言うことは聞いたことがあるが、耳も聞こえなくなるということもあるのだろうか?
医者ではない自分には判断することも出来ず、だがどちらにせよ少女が心を壊していることに変わりはない。
どうしたらいいのか。
「あの状態では森にいる彼らとの生活は難しいと思います。あそこにいる子たちは幼いですが各々が自分の仕事を持ち生活していますから」
出来ることに差はあるが、彼らは自分が出来ることの範囲内で仕事をし生活しているのだ。
そこに何も出来ないかもしれない、心に傷を負った子を入れるのは縁としても抵抗があった。
子ども1人分はそれほどでもないと思われるかもしれないが、だが誰かしらが少女の分の負担を強いられることになるのだ。
ご飯を作るのも、野菜を育てることも、お金を稼ぐことも結局は人の手によって出来ている。
助け合いは大事だと縁も確かに思うが、それも相手がそれを了承し受け入れているからこそ出来ることだ。
サウルにはすでにかなりの負担を強いており、イリスたちもまだあそこでの生活に慣れるには時間が必要だろう。
カールたち親子もまだ入ったばかりで安定しておらず、新たに人を入れるには子どもたちも不安があるはず。
「無理にとは言わないよ。私たちも偶然関わることになっただけで彼女を救えるなんて思っていない」
「そう、ですか………」
マーガレットたちが縁に何か強いてくるとは思ってはいないが、その目が何とかしてやりたいと訴えているのが分かり考える。
どうしたものか………
「もう一度彼女と話してみても?」
「構わないけど話せるかどうか……」
先程までの状態から急に話せるようになるとは縁も思っていない。
だがもう少し確認したいことがあると言えば反対することなく付いてきてくれるのだった。
「…………」
「…………」
少女の前に膝をつくと微笑み両手を差し出す。
本当に大丈夫なのかと不安そうに見守るマーガレットたちを横目に鞄からそれを取り出すと少女の前に掲げた。
「リボンです。可愛いでしょう?お人形に付けて上げてもいいですか?」
言葉だけでは不安だったためリボンを指差すと、次に少女が抱える人形を指差す。
見つめ合うこと数秒、ギュッと胸に抱えていた腕の力が少し弛んだ。
「ありがとう」
少女に許可を貰い人形の腕にリボンを結びつけると、今度はもう一本取り出しておいたリボンを持ち少女の手を指差す。
「お揃いはイヤですか?」
人形に付けて上げたものと同じ色のリボン。
これは嫌がるかなと思ったが、こちらを見返してくるだけでイヤだと訴えてくる様子はない。
本当にイヤなら振り払うだろうと勇気を出し少女の手を優しく握る。
「これで………お揃いですね」
キツくならないよう緩めに手首に結んでやれば、喜ぶような表情はなかったが外そうとする様子はないので大丈夫そうだなと安心した。
「お婆ちゃん」
「なんだい?」
振り返ることなくマーガレットを呼べば、不安そうな声が返ってきて笑いそうになった。
「彼女、私が引き取ります」
「…………いいのかい?」
「あくまで一時的にではありますけど。子どもたちと暮らしてもらうにしても簡単な意思疎通をとれるようにならないと一緒に生活は難しいでしょう。それまで……出来るか分かりませんけど少しでも彼女に寄り添ってみます」
治せるなんて言いはしない。
出来るとも、大丈夫ですよとも言えないが、自分が出来ることがあるのならばして上げたいと思う。
「ただ約束は出来ないので、もしダメだと判断した時はーー」
「私たちが責任を持って教会か受け入れてくれる家を探すから君はそこまで気にしなくていいよ」
「ありがとうございます」
縁の不安に、ジンが大丈夫だと頷いてくれる。
「それと1つ、いえ、2つほどお願いがあるんですけど…….」
「何でも言いな」
マーガレットの力強い声に元気づけられると、遠慮なく彼らの手を借りることにするのだった。
「…………確認ですが彼女元々声は出ていたんですよね?」
「そうだね。私もさっき知り合いの子に確認したけど話しは出来ていたそうだよ」
ならば確実に原因は母親たちの死だろう。
どこに隠れていたのか分からないが、家の中にいたならば母親たちが上げる悲鳴を聞いていてもおかしくなかった。
「目は見えていたようなので大丈夫でしょう。耳は?」
「そっちも異常はなかったそうだ」
意図的に声を発しず、声も遮断しているのか?
はたまた聞こえていてわざと黙っているのか。
精神的ショックで声が出なくなると言うことは聞いたことがあるが、耳も聞こえなくなるということもあるのだろうか?
医者ではない自分には判断することも出来ず、だがどちらにせよ少女が心を壊していることに変わりはない。
どうしたらいいのか。
「あの状態では森にいる彼らとの生活は難しいと思います。あそこにいる子たちは幼いですが各々が自分の仕事を持ち生活していますから」
出来ることに差はあるが、彼らは自分が出来ることの範囲内で仕事をし生活しているのだ。
そこに何も出来ないかもしれない、心に傷を負った子を入れるのは縁としても抵抗があった。
子ども1人分はそれほどでもないと思われるかもしれないが、だが誰かしらが少女の分の負担を強いられることになるのだ。
ご飯を作るのも、野菜を育てることも、お金を稼ぐことも結局は人の手によって出来ている。
助け合いは大事だと縁も確かに思うが、それも相手がそれを了承し受け入れているからこそ出来ることだ。
サウルにはすでにかなりの負担を強いており、イリスたちもまだあそこでの生活に慣れるには時間が必要だろう。
カールたち親子もまだ入ったばかりで安定しておらず、新たに人を入れるには子どもたちも不安があるはず。
「無理にとは言わないよ。私たちも偶然関わることになっただけで彼女を救えるなんて思っていない」
「そう、ですか………」
マーガレットたちが縁に何か強いてくるとは思ってはいないが、その目が何とかしてやりたいと訴えているのが分かり考える。
どうしたものか………
「もう一度彼女と話してみても?」
「構わないけど話せるかどうか……」
先程までの状態から急に話せるようになるとは縁も思っていない。
だがもう少し確認したいことがあると言えば反対することなく付いてきてくれるのだった。
「…………」
「…………」
少女の前に膝をつくと微笑み両手を差し出す。
本当に大丈夫なのかと不安そうに見守るマーガレットたちを横目に鞄からそれを取り出すと少女の前に掲げた。
「リボンです。可愛いでしょう?お人形に付けて上げてもいいですか?」
言葉だけでは不安だったためリボンを指差すと、次に少女が抱える人形を指差す。
見つめ合うこと数秒、ギュッと胸に抱えていた腕の力が少し弛んだ。
「ありがとう」
少女に許可を貰い人形の腕にリボンを結びつけると、今度はもう一本取り出しておいたリボンを持ち少女の手を指差す。
「お揃いはイヤですか?」
人形に付けて上げたものと同じ色のリボン。
これは嫌がるかなと思ったが、こちらを見返してくるだけでイヤだと訴えてくる様子はない。
本当にイヤなら振り払うだろうと勇気を出し少女の手を優しく握る。
「これで………お揃いですね」
キツくならないよう緩めに手首に結んでやれば、喜ぶような表情はなかったが外そうとする様子はないので大丈夫そうだなと安心した。
「お婆ちゃん」
「なんだい?」
振り返ることなくマーガレットを呼べば、不安そうな声が返ってきて笑いそうになった。
「彼女、私が引き取ります」
「…………いいのかい?」
「あくまで一時的にではありますけど。子どもたちと暮らしてもらうにしても簡単な意思疎通をとれるようにならないと一緒に生活は難しいでしょう。それまで……出来るか分かりませんけど少しでも彼女に寄り添ってみます」
治せるなんて言いはしない。
出来るとも、大丈夫ですよとも言えないが、自分が出来ることがあるのならばして上げたいと思う。
「ただ約束は出来ないので、もしダメだと判断した時はーー」
「私たちが責任を持って教会か受け入れてくれる家を探すから君はそこまで気にしなくていいよ」
「ありがとうございます」
縁の不安に、ジンが大丈夫だと頷いてくれる。
「それと1つ、いえ、2つほどお願いがあるんですけど…….」
「何でも言いな」
マーガレットの力強い声に元気づけられると、遠慮なく彼らの手を借りることにするのだった。
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