二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
466 / 475

時間です

しおりを挟む
 そろそろマズいかなと考える。
 頭の中で泣きわめく翔と玲の顔が思い浮かんでいた。

 「ククルさんお願いがあるんですけーー」

 「なんでしょうっ!」

 食い気味に身を乗り出し聞いてくるククルに商人って怖いなと思った。

 「すいませんが暫くヨナちゃんを預かってもらうことって出来ますか?」

 「構いませんよ。どれぐらいですか?」

 「そうですね……では一週間ほど」

 「長っ…いですね。すいません、勝手に数時間ぐらいの話しだと思ってました」

 驚くククルに、家族が心配のため一度帰宅したいと伝えれば少し悩みつつも引き受けてくれた。
 ただ一週間は長過ぎるかと3日ほどお願いすることにする。

 「戻ってきたらお人形とお揃いの可愛い服見せて下さいね」

 「………うん」

 あからさまに元気がなくなったヨナを抱き上げると、コツンと額を合わせる。

 「必ず戻って来ますから。それまでアリーさんたちの言うことをよく聞いて、いっぱいご飯を食べて、よく寝て元気で待っていて下さいね。何かあったら誰でもいいから言うこと」

 頷くヨナに微笑むと、任せてと笑って頷いてくれたアリーたちにヨナをお願いする。

 「お兄ちゃんたちもお願いしますね。戻ってきたら今度は一緒に何か作りましょう」

 「「ーーっ、はい!」」

 ここまで言っておけば縁がいなくとも放置されるなんていうこともないだろう。
 イアラもクアラも妹だと喜んでくれ、それを見たアリーたちもこれなら暫く大人しくしているだろうと苦笑いしている。

 「流石はエニシさんね。この子たちがこんなに素直に言うこときくなんて」

 縁からすれば2人は会った時から素直な子たちだったが、本当の彼らはどうも違うらしい。

 「確かに。そういえばエニシくんはAランクの冒険者とも知り合いとか。よければ今度この子たちに話しを聴かせてやって下さい」

 マジで!?とばかりに目を見開き近づいて来ようとする2人をアリーが叩いて止めてくれる。

 「私に聞くより本人たちに聞くのが一番だと思いますよ。今度コリンさんたちにお願いしてみますね」

 「「お願いしますっ!」」

 冒険者をやっているだけあってノリが体育会系だ。
 勢いよく頭を下げる2人に隣りではヨナが首を傾げていた。

 「お兄ちゃんたちは強いですから、何があってもヨナちゃんを守ってくれますよ。怖いことがあったらお兄ちゃんたちと一緒にいなさい」

 「……うん」

 縁の言葉に照れながらも任せなさいとばかりに兄弟もポンポンとヨナの頭を撫でてやっていた。
 頼ってばかりで申し訳ないと言えば、アリーさんは笑い……

 「良い機会よ。この子たちもいい加減女の子の扱いを学ばないとね。放っておくとすぐ冒険やら金儲けのことしか考えないんだから。まったく誰に似たんだか」

 「だから母さんだよ」

 「そうそう。どう見ても母さーー痛ったっ!」

 またしても拳骨をくらい蹲る兄弟にこれがこの家族の日常なんだと悟った。
 色んな家族がいるものだ。

 「私の娘も私に似てるとよく言われるんですけど……何故ですかね?」

 愛依はそうでもないのだが、繋は何故かパパたちにも、マーガレットたちにも、挙句にはレオナルドにも言われた。なぜ?

 「ということは相当の美少女!」

 「品があって、料理上手ということですね!」

 いいなぁと想像する兄弟に、しかし彼らの想像と娘の姿が結びつかない。
 可愛いとは思うが親の良く目というものがある。
 アズに似たのか外で走り回るより部屋で本を読む方が好きだが、品があるかと聞かれれば違うと言える。
 よく手伝いはしてくれるが、それほど料理のレパートリーがあるわけではない自分が教えてやれるものは少ないため料理上手と言っていいのかも分からない。
 縁は自己評価が低かった。
 首を傾げ続ける縁に、何か察したのか苦笑いするククルに肩を叩かれるのだった。

 「エニシくんは自覚がないだけで十分魅力的ですよ」

 「そう、ですかね?」

 そもそもの兄弟の想像が縁を元に形作られるといると未だに本人だけが気が付いていないのだった。

 「アリーも張り切っていますから安心して下さい。上手く出来るかは分かりませんがエニシくんの期待に沿えるように頑張りますので!」

 「……………えーと、はい、よろしくお願いします」

 そんな力一杯宣言してくれなくとも構わなかったのだが、こちらは頼んでいる身なので否定するのも申し訳ないとよろしくと頭を下げておくのだった。

 

 




 
 

 




 


 
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...