アオソラ診察室

No.26

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episode4 恋という病

07

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 再び机に向き直って、蒼に電話をかける。
「ごめん、なんかお父さんに立ち聞きされてた」
『うん、面白かった』
 そう謝ると、蒼は笑ってた。
 そして一息ついて、蒼は言った。
『本当にごめん』
 その言葉の意味がわからず、返事を忘れた。
 蒼は、言葉を続けた。
『俺、宙が昔セフレ作ってた理由とか、考えたこともなかった。ただエロいこと好きなだけって思ってた』
「いやまあ、エロいこと好きなのは事実だし。というか色んな人とヤりまくってるうちに、そうなっ……あ」
 過去の人のことを話すのは地雷かも……って言われたことを思い出して、慌てて付け加えた。
「い、色んな人とっていうのは、ずっと前の話だから!! 今は蒼としかしてないし、好きなのは蒼だけだから!!」
『うん、もうそういうのは、大丈夫だから』
 蒼は、本当に平気みたいで、少し間を置いてまた話を再開する。
『俺、宙に昔付き合ってた人がいたってこととか、エロいこと考えてばっかりだからって、怒ってたわけじゃないんだ。……あのとき、病院で宙と再会できたの、すごく嬉しかった。寒い話だけど、運命なんだなって思って、舞い上がってた。でもやっぱり、宙は女の人との方が幸せになれるんじゃないかって感じてさ。……けど、俺は宙のこと、好きだから』
 そう話す蒼の声は、震えていた。
『好きなら、宙が一番幸せになる方法を考えるべきだって、頭ではわかってるのに、手放したくなくて。俺って、すっごい嫌な奴だなって思った。それで、悲しくて、苦しくて、どうしたらいいかわかんなくて、ついあんなこと言って……』
 ……蒼、もしかして、泣いてるの?
 また少し間があってから、蒼は言った。
『宙、本当に、俺でいいの?』
「うん。蒼がいい」
 そう答えたら、イヤホンの向こうから何も聞こえなくなった。
 いてもたっても居られなくて、思わず蒼に言った。
「ねえ、今日はオレが蒼の家行っていい?」
 返事をされる前に、椅子から立ち上がる。
「っていうか、行く。今から行く!」


 それからチャリを飛ばして、蒼の家のインターホンを鳴らすと、すぐに扉が開いた。
 そして、蒼はオレの姿を見るなり、抱きしめてきた。
「宙……ごめんな」
「オレこそ、ごめんね」
 そう言うと、蒼に微笑まれて、深いキスをされた。
 たった一日離れただけなのに、蒼の全部の体温が心地よくて、またちょっとだけ涙が出た。
「……今日さ、あのあと兄貴に怒られたんだ。ちゃんと自分の気持ちを宙に言えって」
 口が離れて、部屋に入れられた後、蒼はそう気まずそうに言った。
「年上なのに、本当に大人げないよな、俺」
「けど、そういう純粋なとこ、蒼の良いところだと思うよ」
 オレが心からそう言うと、蒼は目を瞬かせ、座ったままオレを抱きしめた。
「宙、好きだよ……愛してる」
「……うん……」
 そんなストレートな言葉に、照れながら蒼の頭をなでると、蒼はくくっと嬉しそうに笑った。
 そして、急に体を離される。
 不思議に思っていると、蒼はこんなことを言ってきた。
「ねえ、ナマでヤりたい?」
「え?! ……う、うん……」
 驚きながらも、正直にうなずくと、蒼はにやりと笑い、
「それならさ……俺のこと大好きって、もう一回言って」
 そう言われて、わざと顔を逸らした。
「そうやって意地悪するのは嫌い」
「あはは、ごめんごめん」
 笑って謝られて、そしてまたキスをされた。
「じゃあ、宙が言えない分、俺が言うから、……する?」
「…………うん」


「……はあ、」
 ベッドの上。ローションで濡れた指で、後ろを解され、そして抜かれる。
 顔を上げると、蒼は緊張した面持ちで、その何もつけていない自身をオレにあてがった。
「……本当に、このまま挿れるよ?」
「ん。いいよ、きて」
 そう答えると、早速先が入り込んで、ハッとして慌てて付け加えた。
「けど、オレ挿れられる側は、初めてだから…っ、あ、」
 そう言っている間に、熱いものが奥まで一気に滑り込んで、気持ちいい以外の考えがぱっとどこかに消えた。
 蒼はオレに覆いかぶさって、
「はあっ…すごいな、宙の熱、すっごく感じる……」
「お、オレも、あつい…ッ、」
 良すぎて、でももっと快感が欲しくて、蒼の肩に腕を回した。
「蒼……もっと、動いて」
「うん」
 途端、ぐっと奥を突かれて、頭の中がぱちぱちとはじけた。
「あッ、あっア、ああっ」
「ここ、だろ?」
「ひ、あッ、あ……!」
 今度はナカから気持ちいいところをゆっくりとなぞられて、耐えきれなかった声が漏れる。
 生理的な涙と一緒に、だらだらと先走りが溢れていく。
 そうして気持ち良さに喘いでいたら、蒼は熱い息を吐き、動きを止めた。
「ごめん、イくから一回、」
「あ、抜いちゃヤダぁ、中に出して」
「え? でも……」
「出して、いいから、お願い……っ」
 そうねだって、自分の足で蒼の腰を押さえると、蒼は戸惑いながらも、オレの中に出した。
 とくりと、熱いものがお腹の中に流れる、初めての不思議な感覚。
 オレも、耐えきれずにイった。
「はあ……蒼の、すごく熱い……」
「…………」
 達成感で放心状態になっていると、蒼はオレをベッドに強く押しつけた。
 珍しくその表情は真顔で、ちょっと怖くて、恐る恐る名前を呼んだ。
「あ、蒼……?」
「ごめん、もう一回シていい?」
「っえ?」



 ――時間は深夜に回り、もうオレの精液の色が薄くなってきた頃、ようやく蒼は動くのをやめた。
「うわ……」
 蒼のが抜かれると、そこからどろりと精液が流れ出て、太ももを伝う。
「蒼……さすがにし過ぎ……」
「はあ、気持ちよかった」
「満足そうに言うな」
 そう怒ると、蒼は微笑んでオレの頬を撫でる。
「許してくれよ。もし腹壊したら、ちゃんと面倒見るからさ」
「当たり前だよ。本業、医者でしょ?」
 そう言うと、蒼はあははっと元気そうに笑う。
 その仕草が愛おしくて、かっこ良くて、なんだか急に恥ずかしくなって、顔を逸らした。
「……ねえ、蒼」
「ん?」
「……大好きだよ」
 そう、小さな声で呟くと、蒼はぱあっと目を輝かせて、オレを抱きしめた。
「うわっ?!」
「俺も宙のことが、世界で一番大好きだ!!!」
 その言葉に、蒼の体温に、オレの心拍数が一気に早くなる。
「ううっ……循環器科の医者なのに、やってることが心臓に悪い……」
「あっ……ごめん、急に叫んでびっくりしたか?」
「そうじゃなくてさ……」
 答えづらくてもごもごしてたら、蒼は察したのか、オレを抱きしめて寝転んで笑った。
「それを言うなら、俺だって宙のせいで、医者なのに病気になってるよ」
「え?」
「宙のことが好きすぎる病」
「なにそれ」
 けど、オレも同じような病気にかかってるかもな、なんて馬鹿なことを考えて、蒼にキスをした。


《アオソラ診察室 完》
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