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呪われた瞳
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タカオが目覚めた時には、すでにジェフやイズナが街から来て合流していた。タカオはジェフに体を揺すられて目を覚ました。
「タカオ!起きて。もう出発するよ」
ジェフの元気な声がタカオの頭に響いた。
「へっ!?もう?」
タカオは寝ぼけ半分で飛び上がると、ジェフとイズナが鍋や器を水で洗い、ジェフの大きな荷物にしまっていた。あんな大きな荷物に何が入っているのかと思えば、鍋や食器だったのだ。
ーーまだ他にも色々入っていそうだな。
タカオはジェフの用意の良さに感心しつつ、グリフを探した。グリフは少し離れた所で何やら眉間に皺をよせ、怖い顔で地図を見ていた。
「行くぞ」
グリフはそれだけ言うと、1人で歩きだしてしまった。それをイズナが追いかけ、ジェフも慌てて大きな荷物を背負った。タカオも寝ぼけながら、まだ目覚めきれない体を無理に動かした。
足下に落ちていた眼帯を拾い上げて付ける。
ーー寝ぼけて外したのかな。気をつけないと。
頭上には雲一つない晴天の青空を見上げ、深々と息を吸った。
「そういえば、昨日、グリフと喧嘩したでしょ」
ジェフは荷物の位置を調整しながら言った。
「喧嘩なんかしない……あ、怒らせはしたかも」
タカオは昨日のスープの事を思い出した。いつまでも食べないタカオにグリフは苛立っているように見えた。
「やっぱりね」
ジェフは得意げになって言った。
「すごいな。なんで分かったんだ?」
タカオはジェフの荷物を軽く叩く。ジェフは少しよろめくと、森の方を指差した。起きた時には寝ぼけていて全く気が付かなかったけれど、ジェフの指差した方向を見ると驚かないわけにはいかなかった。
木々が同じ方向に倒され、そこだけ突風が吹いたようだった。開けた場所と森の境目の木々はある箇所から突然なぎ倒されていた。
なぎ倒された木々は奥まで続き、少なくても50メートル以上はその状態だった。折れた木々の断片はすっぱりと綺麗に切られ、これが自然に倒れたのではない事は誰の目にも明らかだ。
「なんだ……これ」
タカオはその光景に愕然とした。昨日、眠る前にはこんな状態ではなかったはずだと記憶を呼び覚ます。ジェフはタカオに同情の視線を投げかける。
「何を言っちゃったかは分かんないけどさ、グリフを怒らせたらダメだよ。精霊の前にグリフに……ううん。なんでもない」
そう言って首を横に振った。タカオは呆然と木々がなぎ倒された光景に見入っていた。
「さ!もう行こ!」
タカオはジェフが自分の腕を引っ張るまで、その光景から目を離せなかった。
ーーここまでやるとは……こんな事になるなら、さっさとスープを食べておけば良かった。
勘違いを胸に、タカオとジェフはグリフを追いかけた。早く行かねば、どんな被害があるか分からない。2人はせかせかと今までにないスピードで走って行った。
タカオもジェフもいなくなったその場所には、焚き火の跡だけが残されていた。なぎ倒された木々の奥、森の中には不思議な物が落ちている。
白髪のかたまりが、鋭いはさみで切られたように葉の上に落とされていた。風が吹き、葉が落ちるとそれは埋もれて分からなくなった。
「タカオ!起きて。もう出発するよ」
ジェフの元気な声がタカオの頭に響いた。
「へっ!?もう?」
タカオは寝ぼけ半分で飛び上がると、ジェフとイズナが鍋や器を水で洗い、ジェフの大きな荷物にしまっていた。あんな大きな荷物に何が入っているのかと思えば、鍋や食器だったのだ。
ーーまだ他にも色々入っていそうだな。
タカオはジェフの用意の良さに感心しつつ、グリフを探した。グリフは少し離れた所で何やら眉間に皺をよせ、怖い顔で地図を見ていた。
「行くぞ」
グリフはそれだけ言うと、1人で歩きだしてしまった。それをイズナが追いかけ、ジェフも慌てて大きな荷物を背負った。タカオも寝ぼけながら、まだ目覚めきれない体を無理に動かした。
足下に落ちていた眼帯を拾い上げて付ける。
ーー寝ぼけて外したのかな。気をつけないと。
頭上には雲一つない晴天の青空を見上げ、深々と息を吸った。
「そういえば、昨日、グリフと喧嘩したでしょ」
ジェフは荷物の位置を調整しながら言った。
「喧嘩なんかしない……あ、怒らせはしたかも」
タカオは昨日のスープの事を思い出した。いつまでも食べないタカオにグリフは苛立っているように見えた。
「やっぱりね」
ジェフは得意げになって言った。
「すごいな。なんで分かったんだ?」
タカオはジェフの荷物を軽く叩く。ジェフは少しよろめくと、森の方を指差した。起きた時には寝ぼけていて全く気が付かなかったけれど、ジェフの指差した方向を見ると驚かないわけにはいかなかった。
木々が同じ方向に倒され、そこだけ突風が吹いたようだった。開けた場所と森の境目の木々はある箇所から突然なぎ倒されていた。
なぎ倒された木々は奥まで続き、少なくても50メートル以上はその状態だった。折れた木々の断片はすっぱりと綺麗に切られ、これが自然に倒れたのではない事は誰の目にも明らかだ。
「なんだ……これ」
タカオはその光景に愕然とした。昨日、眠る前にはこんな状態ではなかったはずだと記憶を呼び覚ます。ジェフはタカオに同情の視線を投げかける。
「何を言っちゃったかは分かんないけどさ、グリフを怒らせたらダメだよ。精霊の前にグリフに……ううん。なんでもない」
そう言って首を横に振った。タカオは呆然と木々がなぎ倒された光景に見入っていた。
「さ!もう行こ!」
タカオはジェフが自分の腕を引っ張るまで、その光景から目を離せなかった。
ーーここまでやるとは……こんな事になるなら、さっさとスープを食べておけば良かった。
勘違いを胸に、タカオとジェフはグリフを追いかけた。早く行かねば、どんな被害があるか分からない。2人はせかせかと今までにないスピードで走って行った。
タカオもジェフもいなくなったその場所には、焚き火の跡だけが残されていた。なぎ倒された木々の奥、森の中には不思議な物が落ちている。
白髪のかたまりが、鋭いはさみで切られたように葉の上に落とされていた。風が吹き、葉が落ちるとそれは埋もれて分からなくなった。
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