契約の森 精霊の瞳を持つ者

thruu

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呪われた瞳

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 同じ景色が続く道を、タカオ達は歩いていた。道の両脇には木が立ち並び、足元には石や草があるばかりだ。木の葉の隙間からは木漏れ日が落ちてきて、きらきらと風で葉が揺れる度に光の形を変えていく。

 その中を、グリフとイズナが先頭を歩き、タカオとジェフが後方を歩いていた。朝から休憩もなしに歩き続けて、もうジェフもタカオもへとへとに疲れ、2人はグリフに不満を抱き始めていた。

 一体何時間歩いたのかは分からないが、ジェフの腹時計は今が12時でそろそろ飯を食わせろとうなり声をあげている。

 けれど朝の一件を思い出すと、まさかグリフに抗議をするなんて、そんな勇気は全くなかった。2人は、特にタカオは息を切らせてグリフについて行く。

 歩き続けながら、ジェフの腹時計はますます大きな音でうなっていた。すると、グリフは突然足を止めた。タカオとジェフはやっと休憩なのだと思い、グリフに駆け寄る。

 近寄るとグリフは険しい顔で地図を見入っているばかりで、一言も喋らない。それは休憩ではなく、もしかしたら道に迷った可能性を2人はすぐに感じた。

 しかし、道に迷っているとは思えなかった。今歩いているのは果てしなく真っ直ぐに続く一本道だからだ。迷いようがないはずだ。

 グリフの後ろからタカオはそっと地図を覗くけれど、思っていた通り何も分からなかった。そんなタカオの行動に気がつくと、グリフは意外な行動に出た。

 少なくともタカオにとっては意外だった。グリフは一瞬タカオを振り返ると、地図を太陽のほうに向けて光に透かした。

「ほら、見えるか」

 そう言って指をさし、タカオに地図の見方を教えようとした。グリフが指した場所は地図の左下で、そこには森が広がっているのが記されているだけだった。

「地図にはないが、この辺りが移住施設のあった場所だ」

「移住施設?」

 タカオは聞き慣れない最後の言葉だけを繰り返した。

「僕達の家の事だよ。あそこはそう呼ばれているんだ」

 ジェフが話に割り込むように入ってきた。そのジェフは空腹の為に地面に座り込んでいた。

「あそこはサラをかくまう為と、住む場所を奪われた者達が集まっているんだ」

 グリフがそう説明するとイズナが珍しくその後に補足するように付け足した。

「だから、身元が分からない人も多い……」

「ガラとかね!」

 ジェフは面白がるように言うと、イズナは道のずっと先を見つめて、その後は何も言わなかった。

「住む場所を奪われたって、あの闇の者に?」

 タカオがそう聞くと、一瞬沈黙が流れた。

「それもあるが、多くは精霊のせいだ。精霊に町や村が攻撃されて、ほとんどが殺された。生き残った者を救済するために、王家が最後に作ったものがあの移住施設なんだ」

 そう言うグリフはすでに地図を元の位置に下ろしていた。
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