2 / 9
プリンス
しおりを挟む
結果から言うと面接には通った。オーナーの一色さんは、俺の顔を見ただけで採用、の一言。まあ自分でも顔が整っている方だとは自覚していたので、予想通りといえば予想通りなのであるが、こうも呆気ないと拍子抜けした。だが、初日に出勤して、自分よりずっと男前なホストばかりが働いていて、ランキング争いは壮絶だと思い知った。ナンバーワンの蓮二さんは、今をときめく若手俳優よりもずっとオーラがあって、男の俺でもしばらくポーッと見惚れてしまった。
ホストクラブ《プリンス》で働き始めてから三ヶ月が経って、俺個人の売り上げも順調に伸びてきていた。最初はヘルプとして駆り出されてばかりだったが、指名を固定しないような女性からは、たまに指名がもらえるようになったり、新規のお客さんからは永久指名宣言をいただいたり。
ホストの給料とはやはり真面目に働く何倍も多く、蓮二さんたちに比べれば足元にも及ばないながらも、俺は内心心踊っていた。
このまま行けば、一年以内に借金完済は確実。今の汚いボロアパートも引き払って、狭めの2LDKぐらいのマンションに引っ越してもいいな。それなら、従兄弟が部屋に女を連れ込んでも前ほどイラつかないだろうし。今まで極貧生活を送り続けてきたんだ、これからは少し贅沢できるかも、と考えると顔がにやける。
「おー、おつかれ瑞樹。今日指名多かったな。3ヶ月目なのにお前すげーよ。」
声をかけてきたのは、年は同じだがホストとしては2年先輩の和哉。仕事終わりは一緒に飯を食いに行ったり、ホスト仲間の中では1番仲がいい。
「ありがとよ、ランキング争いしてるお前には言われたくないけどなっ。」
こいつは、人懐こい性格とキリッとした爽やかな容姿を押し出し、いつも5位前後をマークしている売れっ子だ。
「多分、俺なんかお前にはすぐ抜かれちまうよ。俺にはあそこまでお客さん金出してくんねーもん。」
たしかに、和哉は万人受けするが、大金を出してくれる客は少ないように見える。対して俺は、周りのイケメン達に埋れてしまって、名前はあまり売れていないが、ファンになってくれた人はいくらでも高い酒を頼んでくれる。蓮二さんには、瑞樹は庇護欲掻き立てるから、私が可愛がってあげたいって思わせるんだよ、と言われた。
「瑞樹は年上キラーだからなー!!」
和哉がいじるように笑う。
今まで、借金やらなんやらでクラスメイトからは遠巻きに見られたり、バイト先でもなんやかんやと噂されたりでまともな友達もつくれなかったが、この世界では借金だなんてザラにある話で、誰も俺のことを奇異の目で見てきたりはしなかった。このホストクラブは、俺の居場所になりつつあった。
和哉の存在も、借金で心の休まらない俺にとってはありがたかった。
いつまでも、このままだったらいいなと、思っていた。
ホストクラブ《プリンス》で働き始めてから三ヶ月が経って、俺個人の売り上げも順調に伸びてきていた。最初はヘルプとして駆り出されてばかりだったが、指名を固定しないような女性からは、たまに指名がもらえるようになったり、新規のお客さんからは永久指名宣言をいただいたり。
ホストの給料とはやはり真面目に働く何倍も多く、蓮二さんたちに比べれば足元にも及ばないながらも、俺は内心心踊っていた。
このまま行けば、一年以内に借金完済は確実。今の汚いボロアパートも引き払って、狭めの2LDKぐらいのマンションに引っ越してもいいな。それなら、従兄弟が部屋に女を連れ込んでも前ほどイラつかないだろうし。今まで極貧生活を送り続けてきたんだ、これからは少し贅沢できるかも、と考えると顔がにやける。
「おー、おつかれ瑞樹。今日指名多かったな。3ヶ月目なのにお前すげーよ。」
声をかけてきたのは、年は同じだがホストとしては2年先輩の和哉。仕事終わりは一緒に飯を食いに行ったり、ホスト仲間の中では1番仲がいい。
「ありがとよ、ランキング争いしてるお前には言われたくないけどなっ。」
こいつは、人懐こい性格とキリッとした爽やかな容姿を押し出し、いつも5位前後をマークしている売れっ子だ。
「多分、俺なんかお前にはすぐ抜かれちまうよ。俺にはあそこまでお客さん金出してくんねーもん。」
たしかに、和哉は万人受けするが、大金を出してくれる客は少ないように見える。対して俺は、周りのイケメン達に埋れてしまって、名前はあまり売れていないが、ファンになってくれた人はいくらでも高い酒を頼んでくれる。蓮二さんには、瑞樹は庇護欲掻き立てるから、私が可愛がってあげたいって思わせるんだよ、と言われた。
「瑞樹は年上キラーだからなー!!」
和哉がいじるように笑う。
今まで、借金やらなんやらでクラスメイトからは遠巻きに見られたり、バイト先でもなんやかんやと噂されたりでまともな友達もつくれなかったが、この世界では借金だなんてザラにある話で、誰も俺のことを奇異の目で見てきたりはしなかった。このホストクラブは、俺の居場所になりつつあった。
和哉の存在も、借金で心の休まらない俺にとってはありがたかった。
いつまでも、このままだったらいいなと、思っていた。
25
あなたにおすすめの小説
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 ★1000 Thank_You!!
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ファントムペイン
粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。
理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。
主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。
手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった……
手足を失った恋人との生活。鬱系BL。
※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる