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第1章―放課後のログイン―
放課後に届いたもの
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夏の西日が差し込む部室棟の一角。机の上には飲みかけのペットボトルと積み上げられたゲーム雑誌。冷房は壊れかけで、室内にはじんわりと熱気がこもっていた。
ゲーム部の部室は、いつも通りの雑然とした空気だった。
「……なあ、蓮。これ、本当にウチ宛てなのか?」
そう言ったのは、二年生の藤堂 陽斗。短めの茶髪に快活な笑みを浮かべる、部のムードメーカーだ。箱を前にして腕を組み、ガムテープを剥がしたくて仕方ない様子だった。
「宛名は『私立天神学園・ゲーム研究部』……間違いじゃなさそうだ」
答えたのは、同じく二年生で部長の桐生 蓮。
黒髪を無造作に下ろした冷静な眼差しでダンボールを覗き込みながら、胸の奥で小さなざわめきを覚えていた。
(差出人の欄が……ない? 通販でもないし、誰が送ってきたんだ?)
「開けちゃおうぜ! 新作ゲームの体験版とかだったら超ラッキーじゃん!」
陽斗が身を乗り出した瞬間、部室のドアが開いた。
入ってきたのは三年生の天音 美咲。長い黒髪を一つに結び、涼やかな瞳を持つ、部内の数少ない女子メンバーだ。
「ちょっと、勝手に開けないで。こういうのはまず顧問の先生に確認してから……」
口ではそう言いながらも、美咲の視線は箱に釘付けだった。彼女もまた、胸の奥で得体の知れない期待と不安を感じていた。
「……でも宛先は確かにウチだし。ゲーム関連なら先生に渡しても分かんないんじゃない?」
蓮が半ばため息混じりに言うと、美咲は眉をひそめ、やがて観念したように首を振った。
「……しょうがないわね。開けるなら慎重に」
「おっしゃ!」
陽斗が勢いよくガムテープを剥がすと、中から現れたのは黒光りする奇妙なゴーグル型デバイス。未来的な意匠を放ち、目にした瞬間、部屋の空気が変わったような錯覚を覚えた。
「……VRゴーグル?」
「いや、形が違うな。AR用か?」
蓮は息をのんだ。掌で持ち上げると重さは意外に軽い。だが、ただの玩具には見えなかった。
ふと、美咲が箱の底から一枚のカードを取り出した。
「……『ようこそ、AR Chronicleへ』?」
読み上げた瞬間、三人は同時に息を呑む。
「ARクロニクル……? 聞いたことある?」
「ないな。少なくとも雑誌やニュースには出てない」
蓮が首を横に振る。美咲はカードを指先で弄びながら、背筋に走る冷たい感覚を振り払おうとしていた。
——直感が告げていた。これは、ただのゲームじゃない。
「なあ、これ……試してみようぜ」
藤堂 陽斗の、無邪気な一言。
それがすべての始まりだった。
ゲーム部の部室は、いつも通りの雑然とした空気だった。
「……なあ、蓮。これ、本当にウチ宛てなのか?」
そう言ったのは、二年生の藤堂 陽斗。短めの茶髪に快活な笑みを浮かべる、部のムードメーカーだ。箱を前にして腕を組み、ガムテープを剥がしたくて仕方ない様子だった。
「宛名は『私立天神学園・ゲーム研究部』……間違いじゃなさそうだ」
答えたのは、同じく二年生で部長の桐生 蓮。
黒髪を無造作に下ろした冷静な眼差しでダンボールを覗き込みながら、胸の奥で小さなざわめきを覚えていた。
(差出人の欄が……ない? 通販でもないし、誰が送ってきたんだ?)
「開けちゃおうぜ! 新作ゲームの体験版とかだったら超ラッキーじゃん!」
陽斗が身を乗り出した瞬間、部室のドアが開いた。
入ってきたのは三年生の天音 美咲。長い黒髪を一つに結び、涼やかな瞳を持つ、部内の数少ない女子メンバーだ。
「ちょっと、勝手に開けないで。こういうのはまず顧問の先生に確認してから……」
口ではそう言いながらも、美咲の視線は箱に釘付けだった。彼女もまた、胸の奥で得体の知れない期待と不安を感じていた。
「……でも宛先は確かにウチだし。ゲーム関連なら先生に渡しても分かんないんじゃない?」
蓮が半ばため息混じりに言うと、美咲は眉をひそめ、やがて観念したように首を振った。
「……しょうがないわね。開けるなら慎重に」
「おっしゃ!」
陽斗が勢いよくガムテープを剥がすと、中から現れたのは黒光りする奇妙なゴーグル型デバイス。未来的な意匠を放ち、目にした瞬間、部屋の空気が変わったような錯覚を覚えた。
「……VRゴーグル?」
「いや、形が違うな。AR用か?」
蓮は息をのんだ。掌で持ち上げると重さは意外に軽い。だが、ただの玩具には見えなかった。
ふと、美咲が箱の底から一枚のカードを取り出した。
「……『ようこそ、AR Chronicleへ』?」
読み上げた瞬間、三人は同時に息を呑む。
「ARクロニクル……? 聞いたことある?」
「ないな。少なくとも雑誌やニュースには出てない」
蓮が首を横に振る。美咲はカードを指先で弄びながら、背筋に走る冷たい感覚を振り払おうとしていた。
——直感が告げていた。これは、ただのゲームじゃない。
「なあ、これ……試してみようぜ」
藤堂 陽斗の、無邪気な一言。
それがすべての始まりだった。
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