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31.電気針の半野
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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
半野啓太・・・辻鍼灸治療院の常連。
幸田仙太郎・・・辻の高校時代の茶道部後輩。興信所所員。
=====================================
私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「今日も、たっぷり虐めたるからな。覚悟しいや。」
「お願いいたします。」
半野は、マゾだ。それが証拠に「マゾ男!!」と呼ぶと喜ぶ。
別にSMプレイを楽しんでいる訳では無い。
電気針には、結構投資している。
本体のみならず、針は「個人専用」を用意していたが、消毒に手間も金もかかるし、コロニー以降、「清潔」に過敏になった世間の風潮もあって、使い捨て針だ。
無論、これは通常の針と違い、保険適用は出来ない。
まあ、客は覚悟をして、やってくる。
半野も、泉南からわざわざ電車乗って週一で、やってくる。
「もうじき、万博、終わりですなあ。」
「行ったんか。」「行ってません。余計肩こりますやん。」
「半野は、あそこにも電気針刺したろか?」「いいんですか?効くのかな・・。」
「何スケベなこと考えてんねん。普通の針なら打てるけど、今は違法行為や。仕事きついか?」
「はい。また、従業員減ったから。値上げばっかりやけど、給料は上がって行かへんから。」
「当面、治療費は上げへんから、心配せんでええ。あ、ボルト、上げてあげよ。」
私は電気針のボリューム上げた。
「い、痛い・・・もっと上げて・・・あああ。」
「台詞だけ聞いたら、誤解されるわ。ああ、同業者でな。治療中に娘が入ってきて、『オッチャン、また虐められてるのん?』って聞いたことがあったらしい。まあ、患者は多かれ少なかれ変態たわな。で、その子。」
「へ?」
「親の後継いで鍼灸師してるわ。虐めるのが好きやったんやな。」
「ホンマですか?」
服を着ながら半野が尋ねた。
「それ、私やねん。」
「ええええええええええええええええ!!!!!!!」
控え室で、幸田が声を殺して笑っている。
しかし、『実話』だ。いっっひっひ。
―完―
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
半野啓太・・・辻鍼灸治療院の常連。
幸田仙太郎・・・辻の高校時代の茶道部後輩。興信所所員。
=====================================
私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「今日も、たっぷり虐めたるからな。覚悟しいや。」
「お願いいたします。」
半野は、マゾだ。それが証拠に「マゾ男!!」と呼ぶと喜ぶ。
別にSMプレイを楽しんでいる訳では無い。
電気針には、結構投資している。
本体のみならず、針は「個人専用」を用意していたが、消毒に手間も金もかかるし、コロニー以降、「清潔」に過敏になった世間の風潮もあって、使い捨て針だ。
無論、これは通常の針と違い、保険適用は出来ない。
まあ、客は覚悟をして、やってくる。
半野も、泉南からわざわざ電車乗って週一で、やってくる。
「もうじき、万博、終わりですなあ。」
「行ったんか。」「行ってません。余計肩こりますやん。」
「半野は、あそこにも電気針刺したろか?」「いいんですか?効くのかな・・。」
「何スケベなこと考えてんねん。普通の針なら打てるけど、今は違法行為や。仕事きついか?」
「はい。また、従業員減ったから。値上げばっかりやけど、給料は上がって行かへんから。」
「当面、治療費は上げへんから、心配せんでええ。あ、ボルト、上げてあげよ。」
私は電気針のボリューム上げた。
「い、痛い・・・もっと上げて・・・あああ。」
「台詞だけ聞いたら、誤解されるわ。ああ、同業者でな。治療中に娘が入ってきて、『オッチャン、また虐められてるのん?』って聞いたことがあったらしい。まあ、患者は多かれ少なかれ変態たわな。で、その子。」
「へ?」
「親の後継いで鍼灸師してるわ。虐めるのが好きやったんやな。」
「ホンマですか?」
服を着ながら半野が尋ねた。
「それ、私やねん。」
「ええええええええええええええええ!!!!!!!」
控え室で、幸田が声を殺して笑っている。
しかし、『実話』だ。いっっひっひ。
―完―
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