特命機関夏目リサーチ

21．スパイは変装が得意

　＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝　この物語はあくまでもフィクションです　＝＝＝＝＝＝＝＝＝
　==============　主な登場人物　=========================
　笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。
　高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。
　榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当？
　矢野警部・・・現在は、警視庁テロ対策室勤務。以前は捜査二課刑事だった。

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　==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

　※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
　夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。

　午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
　矢野警部が、データ入りのBDを持ってきた。
「BDですか？それと、何で矢野さんが？」と笠置が言った。
「今夜は何かな？後の質問の答は、榊さんの夜食目当て。」
「今夜は、『豚かたまり肉のベーコン巻き』。美味しいですよー。」と、榊が厨房キッチンの方から応えた。
「前の質問の答は、米軍経由で、CIAからの依頼。向こうの国の詐欺犯が、日本に潜伏して、詐欺グループの指南をしているらしい。」
「詐欺も学問ですかね？」と、高山が発言した。
「変装の名人らしい。そこで、各州を渡り歩いたあげく、日本に来た。それで、このシステムの出番。マエがあって、収監されていた時のデータが、カモフラージュデータと一緒に入っている。笠置さん、データの名前と暗号パス。」と、矢野は笠置に紙片を渡した。
　午後11時。
　データ量が多いので、処理に時間がかかったが、マッチングは完了した。
　もう、皆夜食を済ませていた。
「あ。大使館に入っていく人物・・・大使の側近に化けていたのか。」
　彼らが、カチャカチャデータと呼んでいるデータは、表向き市場調査の為に町中で、バイト君がカウンターを使ってカウントしている際に、極秘で撮されたデータだ。
「ありがとう。報告に帰ります。あ。BDは保管しておいて下さい。」
　矢野は、慌ただしく帰って行った。
「やっぱり、日本はスパイ天国、いや、犯罪者天国かな？」
「かもね。」
　笠置は、夏目社長に送る、「電子報告書」の作成に取りかかった。
「口コミで広がっているのかな？やばくない？」
　榊の言葉に、「矢野さんは、中津さんから聞いたんでしょ。同期だから。」
　半時間後。矢野から感謝メールが届いた。
「今度は、サイコロステーキをお願いします、だって。」
　高山が言うと、「ウイ、ムッシュ。」と榊は応えた。
　―完―