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14.【手遅れ(too late)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『双の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
聞き様によっては、「助けてくれ」とも聞こえる。
どこからか聞こえ、跳んで行かざるを得なくなる。
死命か?使命か?
とにかく、跳んでみる。
そして、臨機応変。それが、俺のスタイル。
跳んで来たのは、選挙立候補者用のポスター看板。(正確には、『選挙用掲示板』。)
隣に『落書き付き与党ポスター』がある。
向かい側のバス停からオッサンがやってきた。
「何、見てんの?」例によって、南極ボケの話をする。
「今日、選挙の整理券見付けた。」
「そりゃあ、やっぱりボケが治ってないな。昨日だよ、選挙。期日前投票はあっても期日後投票はないからなあ。それじゃ選挙にならない。」
「だよね。そっちのポスター。前にいるのが与党代表?」
「そ。皆から嫌われてる。」「落書きあるもんね。植民地代表。ストレートだなあ。」
「国民から『前提金』巻き上げて、外国人にはタダであげてる。そんな国ないよ。同盟国のムギー国に『あかんべー』して、貿易解消、在留ムギー国撤退。戦争になっても、新注国から守る術は無くなった。おまけに、新注国に尻尾振ってる。大事な事は議会通さず、核内決議。もう民主主義じゃない。長民主主義党の名前が泣いてるぜ。野党が一斉に立ち上がって、懺悔院だけで2割の議席。それでも、任期がまだあるからって粘ってる。」
「落書き当然だな。ありがとう。バス乗らないで、歩いて行くよ。」
「ああ。早く回復しろよ、お大事に。」
オッサンは慌ててバスに乗り込んだ。
歩き始めると、オッサンはバスの中から手を振った。
思わず手を振り返した。
長民主主義党幹事長室。
「だからあ、やだって。まだやれるよ。流行病だってかからなかっただろ?」
「そういう問題じゃない。選挙に負けたら代表が責任取るのは当たり前なんだよ。」
「じゃ、争議大臣だけやる。内核争議大臣だけやる。」
どうやら、党の先輩が、時の内核争議大臣石薄義丹を説諭しているらしい。
石薄は、自動車を降りて俺に尋ねた。
「ねえ、運転手。ここはどこ?」
「よーく、ごらん下さい。争議。ここは冥土、ですよ。」
俺は、自動車に乗り、発車した。次の世界に向けて。
奴は、何か言っている。
「もう遅い。」
―完―
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