異次元の殺し屋・万華鏡

クライングフリーマン

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15.【反乱(rebellion)】

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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『徒の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。

跳んで来たのは、予備校の前。
『夏期講習募集』の看板が出ている。

予備校生らしき女の子が警察官を連れて来る。
「ちょっと、お話を伺っていいですか?」黒人の警察官は丁寧に尋ねた。
警備員かと思ったが、警察の制服のようだ。

連れて行かれた交番は、今までに見たことがない交番だった。
調書をとり始めたので、俺は偽の名刺を出し、南極法螺話をした。

「甥っ子が予備校に通っていたな、と思って、あそこに行ったんだが、去年事故で亡くなったことをすっかり忘れていたよ。」
「分かりました。ここは、補助交番。南極に行かれる前に『少子化加速』って聞きませんでした?」
「ああ、そう言えば。どこも人手不足になるから、外国人を移民させて、どんどん解消すればいい、って。」
「その結果、警察官も大幅に増えた。で、ここは、補助交番。僕も知らなかったけど、警察官の仕事って多いんですよね。ああ。お昼だな。一緒にランチしませんか?カレーライス旨い店があるんですよ。」
ピーター鈴木と名乗った、その警察官は、さっさとタイムカードを押し、私服に着替えて出た。

「大丈夫なの?交番。」
「次のシフトの非正規警察官が勤務しますから。引き継ぎ要らないし。防犯カメラ、あったでしょ。」

喫茶店のカレーライスは久しぶりだった。
そこへ、あの女の子がやってきた。
「良子。怪しくなかったよ。」「ごめんなさい。しろじろ見てるから、つい。」
食べながら、ピーターから、俺の事を話した。
彼女は食べないようだ。「食べてきたの?」「ダイエット。」
「ああ。ピーター、何か話あるの?」「なんで?」
「普通は、あれで終わりでしょ。」「大曲さんは、真逆国人じゃないよね。」
「うん。見た通り。」「今日の当番が、外国人でなくて良かったよ。僕のひいおばあちゃんが、『徒の国』人なのね。正規警察官はみんな真逆国人なんだ。非正規警察官は、外国人が殆ど。大変な仕事ばかり、やらされている。不満も大きいし、サボりもする。僕は、少し『徒の国』人だから勤勉だろうってことで採用されている。」
「警察官の世界は、身分・職階だけでなく、民族でも階級があるの?」
「そう。真逆国人の警察官や外国人の警察官に捕まったら、大変だよ。良子は1度レイプされかかった。」「ええっ!!」
「良子は、僕の婚約者で、お腹に『徒の国』人の血が混じった子供がいるって、真逆国人の上司に訴えたら、不良警察官は刑務所送り。」
「へえ。」「支配者になった真逆国人も、『徒の国』人の勤勉は認めている。でも、本当の国民じゃない。体裁のいい、奴隷階級。」

「大曲さん、今の内、暗くなる前に逃げて。」良子の目を見て、ピーターと良子の心を読んだ。

2人は分かっていた。どうやら、この次元では、『南極越冬隊』は存在しなかったようだ。

2人と別れて、隣町の様子を伺った。
クーデターの準備をしている。

真逆国の国旗がはためく国会疑似堂に行き、俺は念じた。

これで、48時間は、誰も出られない。クーデターは12時間後、と準備中の人間のノートを盗み見ていたから、閉じ込める気になった。

ピーターと良子の無事を祈り。また、出発した。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
―完―



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