15 / 30
15.【反乱(rebellion)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『徒の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、予備校の前。
『夏期講習募集』の看板が出ている。
予備校生らしき女の子が警察官を連れて来る。
「ちょっと、お話を伺っていいですか?」黒人の警察官は丁寧に尋ねた。
警備員かと思ったが、警察の制服のようだ。
連れて行かれた交番は、今までに見たことがない交番だった。
調書をとり始めたので、俺は偽の名刺を出し、南極法螺話をした。
「甥っ子が予備校に通っていたな、と思って、あそこに行ったんだが、去年事故で亡くなったことをすっかり忘れていたよ。」
「分かりました。ここは、補助交番。南極に行かれる前に『少子化加速』って聞きませんでした?」
「ああ、そう言えば。どこも人手不足になるから、外国人を移民させて、どんどん解消すればいい、って。」
「その結果、警察官も大幅に増えた。で、ここは、補助交番。僕も知らなかったけど、警察官の仕事って多いんですよね。ああ。お昼だな。一緒にランチしませんか?カレーライス旨い店があるんですよ。」
ピーター鈴木と名乗った、その警察官は、さっさとタイムカードを押し、私服に着替えて出た。
「大丈夫なの?交番。」
「次のシフトの非正規警察官が勤務しますから。引き継ぎ要らないし。防犯カメラ、あったでしょ。」
喫茶店のカレーライスは久しぶりだった。
そこへ、あの女の子がやってきた。
「良子。怪しくなかったよ。」「ごめんなさい。しろじろ見てるから、つい。」
食べながら、ピーターから、俺の事を話した。
彼女は食べないようだ。「食べてきたの?」「ダイエット。」
「ああ。ピーター、何か話あるの?」「なんで?」
「普通は、あれで終わりでしょ。」「大曲さんは、真逆国人じゃないよね。」
「うん。見た通り。」「今日の当番が、外国人でなくて良かったよ。僕のひいおばあちゃんが、『徒の国』人なのね。正規警察官はみんな真逆国人なんだ。非正規警察官は、外国人が殆ど。大変な仕事ばかり、やらされている。不満も大きいし、サボりもする。僕は、少し『徒の国』人だから勤勉だろうってことで採用されている。」
「警察官の世界は、身分・職階だけでなく、民族でも階級があるの?」
「そう。真逆国人の警察官や外国人の警察官に捕まったら、大変だよ。良子は1度レイプされかかった。」「ええっ!!」
「良子は、僕の婚約者で、お腹に『徒の国』人の血が混じった子供がいるって、真逆国人の上司に訴えたら、不良警察官は刑務所送り。」
「へえ。」「支配者になった真逆国人も、『徒の国』人の勤勉は認めている。でも、本当の国民じゃない。体裁のいい、奴隷階級。」
「大曲さん、今の内、暗くなる前に逃げて。」良子の目を見て、ピーターと良子の心を読んだ。
2人は分かっていた。どうやら、この次元では、『南極越冬隊』は存在しなかったようだ。
2人と別れて、隣町の様子を伺った。
クーデターの準備をしている。
真逆国の国旗がはためく国会疑似堂に行き、俺は念じた。
これで、48時間は、誰も出られない。クーデターは12時間後、と準備中の人間のノートを盗み見ていたから、閉じ込める気になった。
ピーターと良子の無事を祈り。また、出発した。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
―完―
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる