18 / 30
18.【美女(beautiful woman)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『川の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、新聞社。
『デスク』と呼ばれる編集長の周りに記者が取り囲んでいる。
「8月末までに進退を決める?何でだ。」
「ボーナスは関係無さそうですね。総最選挙は9月だし。間借国の偉いさんが来る予定あるとか。で、『クビ』にならないように、『弁護』して貰うとか。総最選挙に備えて。」
「あんた、誰だ?」と、記者の1人が俺に気づいて言った。
「あ。失礼しました。京都支社から出向の綿貫です。」と、俺はしれっと名刺をデスクに渡した。
「あんたの説を『含めて』裏事情がありそうだな。掴んだら、案外『特ダネ』かもな。暑い中だが、皆で調べろ!あ、島根、綿貫を案内してやれ。」
さっきの記者は島根という名前か。覚えやすいな。
昼休み。島根の行きつけの食堂で昼食。
「おい、綿貫さんよ。間借国の偉いさんの話、どこかからタレコミか?」
「いえ。憶測です。でも、南部の方の洪水被害、公式発表が現実を矮小化している、ってタレコミはありました。だから・・・。」
「だから、尾上総最が退陣する前に、『無茶ぶり契約』を『隔義決定』か。好きだからナア、あのオッサン。何かの『ひとつおぼえ』で『隔義決定』。」
「伝家の宝刀も使い過ぎて刃こぼれしてるかも。」
「アンタ、上手いこと言うなあ。京都の生まれ?」
「いえ、神田です。」
俺は決めた。本人に語らせよう。隔僚の中で、一番口が軽いのは、他ならぬ尾上総合大臣だ。
賀佐坂。『川の国』では名の知れた芸者街がある。
ある、お座敷。
「そうだよ。あまり知られてないけど、通称『乙姫』が国の代表代理で『お忍び』でやってくる。仲空き節が8月15日。『川の国』では、『お盆』だ。『川の国』は、色んな面で『間借国』様の影響を受けている。そして、1年で1番油断しやすい時期だ。」
「延縄県でもあげるの?」と、芸者はお酌をしながら尋ねた。
「ああ。よく分かったね。」「お色直ししてきます。舞の時は衣装が違うのよ。」
そう言いながら、芸者は袂のスイッチを切った。
だが、その芸者も、他の芸者も帰って来なかった。
それどころか、全ての人々が消えた。
尾上は、不審に思いながらも、運転手を呼んだ。
駅に着くと、島根は言った。
「いいのか、特ダネだろう?」「急逝じゃ仕方ない。世話になった人なんだ。後は、よろしく。編集長にもよろしく伝えてくれ。」
「了解。」島根は、乗って来た自動車に飛び乗った。
芸者達は、バイトである。闇バイトだから、却って、口が堅い。
これで、代表代理の乙姫様は来られない。
しかし、どの次元の『国の代表』も往生際が悪い。
とっくに、『玉手箱』は開いているのに。
さ、今度は、どこに跳ぶかな?
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
殺したのは『歴史の一部』だが、島根には、生き残って、普通のジャーナリストを続けて欲しいものだ。
―完―
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる