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44.【呪縛(curse)】
しおりを挟む======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『裁の国』。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは、踏切の中。高齢者の女性がシルバーカーの車輪をレールに挟んで立ち往生していた。俺は、高齢者の女性を抱えて、踏切の外に出た。
上り下りの列車が同時に走り去った。
シルバーカーは、どこかに弾き跳ばされた。
踏切待ちをしていた人々は、拍手喝采をした。
パトカーが、踏切を渡ってすぐに止め、降りて来た巡査が尋ねた。
「大丈夫、おばあちゃん。あなたも。」
「私は大丈夫。」
「私もです。」
巡査は、高齢者の女性の住所を尋ねた。
俺は、行きがかり上、女性の、古い家までパトカーに乗せて貰った。
「シルバーカー、見つかったら、お届けします。まともな状態じゃないだろうけど。」
巡査は敬礼をして、パトカーで去って行った。
お茶とお茶菓子を出した高齢者の女性、赤藤登喜子は言った。
「お迎えに来たのね。『死神』にしては、随分こざっぱりした格好ね。死神さん、って呼べばいい?散々悪さしてきたから、希求語は出来てるわ。」
俺は逡巡したが、正体を明かした。
「長生きはするものね。死神じゃなく、殺し屋さんか。パラレルワールドのことは若い頃聞いたわ。ズバリ、この次元『裁の国』のトップの石花重之は、蔵務省の言いなり、『木偶人形』。蔵務省のトップの宮城洋七、剛務省のトップの石谷九の三人は、隣国慶の国から帰って来た、元連盟垢群のトップ、〇〇〇に仕込まれた。『白蟻侵略計画』は、〇〇〇の発案よ。石花達は隣国人だけど、〇〇〇は、れっきとした、この国の民族よ。私は昔、〇〇〇と喧嘩して、組織から抜け出した。農業やって、国民の『普通の』感覚を呼び起こされた。先々月だったかな。ありもしない、『米不足』を演出して、『コメころがし』をしたわ。純粋な国民は重税に苦しみ、異国人達の為に金を使われて・・・クーデターを起こせない民族だから、って見下しているの。」
彼女が、見かけ通りのお婆さんでないことは、PCを数台、茶の間に置いてあるだけで判別出来た。
「殺し屋さん。私はもう長くないの。幾ら払えばいいのかしら?」と、金庫に向かうので、俺はつい「ボランティアです。」と言った。
あるタワーマンション。
〇〇〇は、慶の国に居る頃。高齢にも拘わらず日本の要人達をもてなして、『乙姫様』と呼ばれていた。
そして、帰国してからは、政府の黒幕として、言葉と体で巧みに操っていた。
「お久しぶりです、乙姫様。」「もう少しよ。さ、ご褒美をあげましょう。」
整形手術で、正しく美魔女の容姿を保っている〇〇〇は衣類を床に落した。
石花は、急いで衣類を脱いで、〇〇〇と抱き合った。
その時、どこからかヒュルヒュルと音がした。
2人は、その音の正体を見ることが出来なかった。
竹槍は、抱き合った2人の体を貫いた。
宮城の家。家人を外出させ、待機している所に、『乙姫様』の部下の『鯛子』がやってくるのを待った。
裸の鯛子は、宮城によりかかった。
宮城の体は、鯛子の体越しに『なぎなた』が貫いた。
石谷の家。独身の石谷は、秘書に今日の予定を入れさせなかった。
『乙姫様』の部下の『平根』がやってきて、小刀を石谷に突き刺した。
そして、引き金を引き、片方から突出した刀で自らを貫いた。
風呂上がりの石谷の体に巻いたバスローブは、真っ赤に染まった。
かつての〇軍闘士は、自宅で亡くなっていた。
自然死だった。
何故か、石花、宮城、石谷の殺される瞬間を描いた絵が横にあった。
これで、気が済んだか、婆さん。皆、あんたと『心中』したよ。
本当の『黒幕』とね。踏切の中で俺を待ってたんだね。
俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
さ。次の世界だ。不思議なものだ。俺は眠らない。普通の腹の減り具合でもない。
でも、やるしかない。どこかで、呼んでいるんだ、『殺してくれ』と言って。
―完―
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