異次元の殺し屋・万華鏡

クライングフリーマン

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48.【矛盾(contradiction)】

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ここは、『溌の国』。
 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 俺には聞こえる。殺してくれ、と。
 どこの次元でも聞こえている。

 跳んで来たのは、「え?」

 ここは、『溌の国』防営大臣室の隣の控え室か。
 防営大臣端居滋は、記者会見から戻って来た。
「全く、総理の仕事をなんだと思っているんだ。選挙に負けたら責任持って辞めるべきなんだ。だよな?」
 事務次官が、苦笑してる。防営省の加療トップだ。
 端居の心を読むと、ただひたすら『溌の国』のトップ、詰まり、総合大臣になりたいと願っているようだ。
 今まで跳んで来た次元の例で言うと、こいつが後の時代に総合大臣になる筈だが、表向きはまともなことを言っているように思える。
 いけない。事務次官が入って来た。
「誰だ?」「新しい秘書官の頓宮です。よろしくお願いいたします。」
「ああ。水曜日担当の秘書官は病気退職したんだったな。じゃあ、早速だが夕方の後援会主催の食事会の段取りを頼む。」
「かしこまりました。」
 事務次官が控え室から出て行くと、俺は大臣室に入った。
「誰だ?」「新しい秘書官の頓宮です。よろしくお願いいたします。」
「そうか。何かようか?」「総理から、ご足労願えないか?と伺ってまいりましたが。」
「そうか。じゃ、行こうか。」
 俺が端居を連れて行ったのは、この時間軸の総理の部屋ではなく、『元の時間軸』の総合大臣室だった。総理官邸ではなく、国議会議事堂内の控え室だ。
 俺がノックをして入って行くと、端居は、もう1人の端居と体面した。
「誰だ?」「お前こそ誰だ?俺に変装したりして、ここは総理の部屋だぞ。誰が呼んだか知らないが、『そっくりさん』は出て行け。」
「はあ?『そっくりさん』はお前だろう、凝ったメイクしやがって。防営大臣時代の私に似せて。私は、『総理』の端居だ、偉いんだぞ。面会出来て良かったな。警備員を呼ばない内に出ていけ。」
「なんだ、偉そうに。今の総理は県(あがた)さんだ。県さんも気に入らないが、そっくりさんのお前も気に入らないな。おい、秘書官。頓宮と言ったな。誰が拵えた茶番か知らないが、警備員を呼べ。」
「かしこまりました。」
 俺は、出て行く振りをして、部屋の死角に隠れて見守った。
「私は、県さんに、退陣を要求した。総選挙して、選ばれるのは、この私だ。そうだ。折角だから、私の『影武者』をやらせてやろう。これだけ似ていれば、誰も気づかん。名誉だと思え。」
「何を言っている。どこの劇団の役者だ?玄通が手配したのか?もう演技はいい。お前こそ私の『影武者』を担え。偽物は偽物だがな。」
「偽物はお前だろうが。この、偽物。」
 とうとう、取っ組み合いが始まった。
 過去の端居が現在の端居を刺した。

 夕方、行われたのは、端居の後援会の食事会ではなく、新総理の記者会見だった。
 大林新総理は、開口一番に言った。
「先ほど、角義決定を致しました。議員の収入は50%カット、議員の定年は55歳、集金税廃止、『外国人優遇』撤廃、デカソーラー使用禁止と撤去、隣国との往来は有事であろうと普通時であろうと禁止、電波オークションによる放送局再編成、新聞社に貸与している土地没収、包装袋リサイクル法廃案、土地売買規制法発出、スパイ防止法発出、帰化していない他民族は永住権剥奪、L〇BT理解しましょう法廃案、洗濯性夫婦別氏法廃案、『天下り』を防ぐ為議員の再就職禁止、NPO法人法廃案、他民族の健康保険適用禁止、他民族への年金積み立て義務化、取りあえず、これだけです。『自国ファースト』、どの国も同じです。外国へのいかなる支援も国議会を通した法案なしに実行されません。尚、記者会見、選挙演説は全て『リモート』に切り替えます。理由は議員の安全確保、以上。」

 かくして、総理総裁は、自分で『相殺』した。下手な洒落だな。新総理は期待出来そうだ。

 過去の時間軸に跳んだのは、『暴君の過去とは』と一瞬考えたせいだろう。

 さあ、今度の世界の『国のトップ』は、どういう人物かな?いや、ターゲットはトップとは限らないか。

 ―完―
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