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22.千手観音の「手」
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========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
島代子(しまたいこ)・・・有限会社芸者ネットワーク代表。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。芸者の時の芸名は『小豆』。また、本部の住所も極秘である。後輩達には堅く口止めしてあるのだ。
飽くまでも、私的組織だが、警察にはチエを通じて協力している。可能なのは、情報提供だけである。
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
烏丸まりこ・・・芸者ネットワークの事務員。
貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。
西川稲子・・・代子と塔子の、プログラマー修行時代の仲間。
小雪(嵐山小雪)・・・舞妓を経て、芸者をしている。神代チエの小学校同級生であり、代子の芸者後輩。
小鹿・・・代子の芸者後輩。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。
=====================================
※京都には、京都伝統伎芸振興財団(通称『おおきに財団』)と京都花街組合連合会という組織が円山公園の近くにある。両者は、芸者さん舞妓さんの『芸術振興』の為にある。オフィシャルサイトも存在する。
現在、京都花街組合連合会に加盟している花街として、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、総称して五花街と呼んでいる。 鴨川の東側、四条通の南側から五条通までの花街。
※この物語に登場する『芸者ネットワーク』とは、架空の組織であり、外国人観光客急増に伴って犯罪が増加、自衛の為に立ち上げた、情報組織である。
リーダーは、『代表』と呼ばれる、芸者経験のある、元プログラマーの通称島代子(しまたいこ)である。本部の場所は、小雪しか知らないが、『中継所』と呼ばれる拠点が数十カ所あり、商店や寺社と常に情報交換している。
午後1時。芸者ネットワーク本部。
「千手観音の手エ?」
電話を受け取った代子は呆れた。電話の相手は小鹿だ。
「千本もないでしょ。仰山手エついてはるけど。あなたも、それくらい知ってるでしょ。」
「へえ。問題は、『分解したら分かる』って言うてるから。昨日、お座敷の帰りに京都駅前のホテルに『お馴染みさん』を送って行った時に、修学旅行生らしき男の子達が言うてたんです。同級生がもう帰郷したのに、勝手に残って何やらやらかす積もりらしくて。取り敢えず、ねえさんに報せた方がエエかな?って。」
「小雪ちゃんと相談した結果か?で、どこの千手観音さん?まさか十番札所の?」
「へえ。三室戸寺どす。あじさい寺の。」
「分かった。ありがとう。」
代子は、東山署のホットラインに繋いだ。
幸い、チエが出た。
「分かった。取り敢えず、今夜張り込んでみます。」
チエのことだから、公務としてでなく、先ず自ら出向くのだろう。
「ここは、相棒の出番やな。厄除けのお札でも貰って来る?」
状況を察した塔子が言った。「頼むわ。」
午後9時。三室戸寺。
押し入ろうとする学生達に、チエが声をかけた。
「こんなに暗かったら、紫陽花、よう見えへんのとちゃう?」
「何もしてないよ。」
「許可なく立ち入っただけで、罪は出来る。それに、その仰山の荷物、見せて貰おうか。」茂原は、落ち着いた声で言った。
鋸、ハンマー、それに雑多な大工道具が出てきた。
四散して逃げようとした学生達は、忽ち「御用」になった。
翌日。午前10時。芸者ネットワーク本部。
チエから代子に電話があった。
「えらい残業になってしもうたわ。あの子ら、余罪が一杯あったわ。泊まっているホテルの部屋から、万引きしたブツやら何やら。夜中に弁護士がやってきたけど、私を見て「正直に話すよう説諭します。」って言うから笑うたわ。」
チエは、「暴れん坊小町」の異名を持つ警視だ。
京都の弁護士で、知らない者はいない。
「大男、総身に知恵は回りかね、やな。取り敢えず、お知らせです。」
横で聞いていた小雪が「オムツ、何枚要ったかな?」と言い、皆は爆笑した。
―完―
============== 主な登場人物 ================
島代子(しまたいこ)・・・有限会社芸者ネットワーク代表。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。芸者の時の芸名は『小豆』。また、本部の住所も極秘である。後輩達には堅く口止めしてあるのだ。
飽くまでも、私的組織だが、警察にはチエを通じて協力している。可能なのは、情報提供だけである。
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
烏丸まりこ・・・芸者ネットワークの事務員。
貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。
西川稲子・・・代子と塔子の、プログラマー修行時代の仲間。
小雪(嵐山小雪)・・・舞妓を経て、芸者をしている。神代チエの小学校同級生であり、代子の芸者後輩。
小鹿・・・代子の芸者後輩。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。
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※京都には、京都伝統伎芸振興財団(通称『おおきに財団』)と京都花街組合連合会という組織が円山公園の近くにある。両者は、芸者さん舞妓さんの『芸術振興』の為にある。オフィシャルサイトも存在する。
現在、京都花街組合連合会に加盟している花街として、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、総称して五花街と呼んでいる。 鴨川の東側、四条通の南側から五条通までの花街。
※この物語に登場する『芸者ネットワーク』とは、架空の組織であり、外国人観光客急増に伴って犯罪が増加、自衛の為に立ち上げた、情報組織である。
リーダーは、『代表』と呼ばれる、芸者経験のある、元プログラマーの通称島代子(しまたいこ)である。本部の場所は、小雪しか知らないが、『中継所』と呼ばれる拠点が数十カ所あり、商店や寺社と常に情報交換している。
午後1時。芸者ネットワーク本部。
「千手観音の手エ?」
電話を受け取った代子は呆れた。電話の相手は小鹿だ。
「千本もないでしょ。仰山手エついてはるけど。あなたも、それくらい知ってるでしょ。」
「へえ。問題は、『分解したら分かる』って言うてるから。昨日、お座敷の帰りに京都駅前のホテルに『お馴染みさん』を送って行った時に、修学旅行生らしき男の子達が言うてたんです。同級生がもう帰郷したのに、勝手に残って何やらやらかす積もりらしくて。取り敢えず、ねえさんに報せた方がエエかな?って。」
「小雪ちゃんと相談した結果か?で、どこの千手観音さん?まさか十番札所の?」
「へえ。三室戸寺どす。あじさい寺の。」
「分かった。ありがとう。」
代子は、東山署のホットラインに繋いだ。
幸い、チエが出た。
「分かった。取り敢えず、今夜張り込んでみます。」
チエのことだから、公務としてでなく、先ず自ら出向くのだろう。
「ここは、相棒の出番やな。厄除けのお札でも貰って来る?」
状況を察した塔子が言った。「頼むわ。」
午後9時。三室戸寺。
押し入ろうとする学生達に、チエが声をかけた。
「こんなに暗かったら、紫陽花、よう見えへんのとちゃう?」
「何もしてないよ。」
「許可なく立ち入っただけで、罪は出来る。それに、その仰山の荷物、見せて貰おうか。」茂原は、落ち着いた声で言った。
鋸、ハンマー、それに雑多な大工道具が出てきた。
四散して逃げようとした学生達は、忽ち「御用」になった。
翌日。午前10時。芸者ネットワーク本部。
チエから代子に電話があった。
「えらい残業になってしもうたわ。あの子ら、余罪が一杯あったわ。泊まっているホテルの部屋から、万引きしたブツやら何やら。夜中に弁護士がやってきたけど、私を見て「正直に話すよう説諭します。」って言うから笑うたわ。」
チエは、「暴れん坊小町」の異名を持つ警視だ。
京都の弁護士で、知らない者はいない。
「大男、総身に知恵は回りかね、やな。取り敢えず、お知らせです。」
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