中年探偵幸田の日記

クライングフリーマン

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13.蒲鉾屋御曹司誘拐事件

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 〇月〇日。
 正午。俺は、事務所で飯を炊き、花ヤンと倉持と3人で昼飯を食っていた。
 おかずは、蒲鉾。先日の「蒲鉾屋御曹司誘拐事件」で、解決のお礼ということで、EITOだけでなく、南部興信所にもお中元の「お裾分け」をしてくれたのだ。
 5代目社長は「訳あり商品ですさかい、遠慮せんといて下さい」と謙遜で言っていたが、デパートに並ぶ一級品の蒲鉾や。
「先輩。さっきから、蒲鉾食べながら、唸ってるみたいですけど、蒲鉾嫌いなら、無理しなくても。」
「アホ。事件を振り返って、纏めてるんや。」「蒲鉾屋御曹司誘拐事件、ですか。あ。そう言えば、何でグランキューブ大阪だったんです?現金を運び込むの。」
「あそこの3階4階は、芦屋財閥がリース、つまり年間契約で借りてるんや。それで、どんでん返しとか細工をしてある。前にもあったやろ?」
「国宝旧人形誘拐事件ですな、幸田さん。」と、花ヤンは言った。
「犯人が間抜けで良かったわ。品川が間抜けか。品川はなあ、倉持。六平(むさか)商会に借金出来たんや。競馬でスッて。六平はヤミ金や。脅迫電話は、実は品川や。誘拐は六平が仕組んで、借金で巻き込まれたんや。乙矢5代目は、品川の声を知っていた。我々に協力的やったのは、後で改心させる為や。」
「あの4人の弁護は、5代目の依頼で本庄弁護士が担当するらしい。倉持、何でなんか分かるか?」
「えーと、主犯は六平商会ですよね。情状酌量ですか?」と倉持は花ヤンに応えた。
「よう出来た。花ヤン。倉持は力付けてきたなあ。」「全く。後の3人も、六平に弱みを握られていたらしい。」
「しかし、総帥の言う通り、業界の乗っ取り・混乱を狙うって実現可能やったんやろか?俺はアホやから分からんわ。」
「アホやない!」倉持と花ヤンは、揃って俺に言ってくれた。
 今夜は、嬉しくて、また深酒しそうやな。
 ―完―
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