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90.偽造運転免許証
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○月〇日。
北区。四つ橋筋を走行中、軽四が俺達のクルマの側を通り抜け、赤信号を幾つも無視して、トラックの横っ腹にぶつかって止まった。
アレは重症やろうなあ、と、倉持に話しかけたが、倉持はパーキングランプを点けて停車、路上から、あるモノを拾った。
俺らは、事故現場に向かい、少し手前に駐めた。
俺はすぐに所長に報告していた。
事故現場では、110番で駆けつけた警察官が捜査を開始、黄色いテープを貼ったり、赤いコーンを置いたりしていた。
「下がって下さい。」と、警察官に偉そうに言われたが、「事故車両から落ちたものです。運転免許証ですわ。」と、その警察官に手渡して、帰ろうとすると、職質、つまり、職務質問を始めた。
「自分、どこの署や。曾根崎署やったら、後輩かな?」と声を掛けたのは、横ヤンこと横山刑事、いや、元刑事やった。横ヤンは定年退職後、南部興信所の所員になった。
その警察官は、俺の名刺と横ヤンの名刺を見比べて、「署に来て貰えますか?」と言った。
遺体を検視していた刑事が、到着した鑑識に引き継ぎした後、こちらにやってきた。
「こちらさんは?」と言って来たので、「誤解があるようやったら、佐々ヤンに来て貰ってもエエで。」と、横ヤンが言った。
「佐々ヤンとは、佐々刑事のことでしょうか?」「うん。まあ、新米のことは後回しにして、その新米が持ってる運転免許証を調べた方がエエで。一目見ただけでも、普通より分厚いのは分かる。」
「100メートル先の路肩に止めています。」と、倉持が言って帰った。
「確かに。あ。府警の道上(どうじょう)です。」と、道上が横ヤンに名刺を出したので、横ヤンも「OBの横山です。今は興信所所員ですわ。」と名刺を差し出した。
行きがかり上、道上と横ヤンと俺は、手袋をしてから、その場で運転免許証を改めて観察した。
運転免許証のフィルムをずらすと、中から、本物の運転免許証が出てきた。そして、偽の運転免許証の裏にナイフガンナイフの模様が見えた。
「ナイフガンナイフやな。」と、俺は思わず口走った。
「ナイフガンナイフ?何です、それ。」道上が尋ねたので、俺は過去の事件やEITOとの関わりをかいつまんで話した。
「すると、ダークレインボウとかいう、那珂国のテロ組織と関わりがある、とういうことですか、ガイシャは。」
「そうなりますね。」
俺と横ヤンと倉持は、パトカーの先導で、大阪府警に行った。
道上刑事を含めた5人で、大阪府警テロ対策室を、初めて訪ねた。
小柳警視正が、丁重に出迎えた。
「成程。この前の兵庫県のデモの時の事件とも関連があるのかな?とにかく、子細に調べます。いつもご協力ありがとうございます。」
小柳警視正は、最敬礼して見送ってくれた。
何か、偉くなった気がした。
夕方、帰宅すると、澄子は赤飯炊いて待っていた。
「大袈裟やな。見付けたのは倉持やで。」
「エエやん。お手柄やったんやろ?所長さんがナア、餅米くれたんや。今日みたいな日の為にな。今夜もがんばろな。」
一言多いねん。お前、この頃、濃厚やからナア。
久しぶりに、一級酒、舐めとこか。
―完―
北区。四つ橋筋を走行中、軽四が俺達のクルマの側を通り抜け、赤信号を幾つも無視して、トラックの横っ腹にぶつかって止まった。
アレは重症やろうなあ、と、倉持に話しかけたが、倉持はパーキングランプを点けて停車、路上から、あるモノを拾った。
俺らは、事故現場に向かい、少し手前に駐めた。
俺はすぐに所長に報告していた。
事故現場では、110番で駆けつけた警察官が捜査を開始、黄色いテープを貼ったり、赤いコーンを置いたりしていた。
「下がって下さい。」と、警察官に偉そうに言われたが、「事故車両から落ちたものです。運転免許証ですわ。」と、その警察官に手渡して、帰ろうとすると、職質、つまり、職務質問を始めた。
「自分、どこの署や。曾根崎署やったら、後輩かな?」と声を掛けたのは、横ヤンこと横山刑事、いや、元刑事やった。横ヤンは定年退職後、南部興信所の所員になった。
その警察官は、俺の名刺と横ヤンの名刺を見比べて、「署に来て貰えますか?」と言った。
遺体を検視していた刑事が、到着した鑑識に引き継ぎした後、こちらにやってきた。
「こちらさんは?」と言って来たので、「誤解があるようやったら、佐々ヤンに来て貰ってもエエで。」と、横ヤンが言った。
「佐々ヤンとは、佐々刑事のことでしょうか?」「うん。まあ、新米のことは後回しにして、その新米が持ってる運転免許証を調べた方がエエで。一目見ただけでも、普通より分厚いのは分かる。」
「100メートル先の路肩に止めています。」と、倉持が言って帰った。
「確かに。あ。府警の道上(どうじょう)です。」と、道上が横ヤンに名刺を出したので、横ヤンも「OBの横山です。今は興信所所員ですわ。」と名刺を差し出した。
行きがかり上、道上と横ヤンと俺は、手袋をしてから、その場で運転免許証を改めて観察した。
運転免許証のフィルムをずらすと、中から、本物の運転免許証が出てきた。そして、偽の運転免許証の裏にナイフガンナイフの模様が見えた。
「ナイフガンナイフやな。」と、俺は思わず口走った。
「ナイフガンナイフ?何です、それ。」道上が尋ねたので、俺は過去の事件やEITOとの関わりをかいつまんで話した。
「すると、ダークレインボウとかいう、那珂国のテロ組織と関わりがある、とういうことですか、ガイシャは。」
「そうなりますね。」
俺と横ヤンと倉持は、パトカーの先導で、大阪府警に行った。
道上刑事を含めた5人で、大阪府警テロ対策室を、初めて訪ねた。
小柳警視正が、丁重に出迎えた。
「成程。この前の兵庫県のデモの時の事件とも関連があるのかな?とにかく、子細に調べます。いつもご協力ありがとうございます。」
小柳警視正は、最敬礼して見送ってくれた。
何か、偉くなった気がした。
夕方、帰宅すると、澄子は赤飯炊いて待っていた。
「大袈裟やな。見付けたのは倉持やで。」
「エエやん。お手柄やったんやろ?所長さんがナア、餅米くれたんや。今日みたいな日の為にな。今夜もがんばろな。」
一言多いねん。お前、この頃、濃厚やからナア。
久しぶりに、一級酒、舐めとこか。
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