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真っ白の猫に出会いました。

最悪な雨の日

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「なんでこんなことも出来ないの?邪魔だから帰って」
________。
あぁ、なんでこんな会社に入っちゃったかなぁ。

私の名前は桐谷花火きりたにはなび23歳の会社員だ。
大学を卒業して新しい生活にうきうきしてたのに……
そう、私はいわゆるブラック企業に就職してしまったのだ。
帰ってと言われたから帰ってきたものの本当に帰ってきてよかったのだろうか、、でも定時過ぎてるし、まぁいいか。
ポタッ…ザーーーーーーー
「雨…そう言えば降るってニュースで言ってたような」
カバンに入れていた白い猫が描かれた折りたたみ傘を取り出した。
「雨は嫌だけどこの傘のお陰で気分上がるな~」
私は猫がとても好きなのだ。その中でも白猫を愛してやまない!
猫を飼いたいと思ったことは今までたくさんあったのだが、いつかお別れが来ると思うとどうしても1歩踏み出せずにいる。
「猫、飼いたいんだけどな~」
そう声に出した拍子に
ニャー
どこかでか細い鳴き声が聞こえた
んっ……この声は………
「猫?!」
どこからだろう。当たりを見渡す
ニャー
その鳴き声をたどって歩く
「橋の下から聞こえてきてる?」
私が今歩いている橋の下から声が聞こえるような気がした
雨だから雨宿りしてるのかな?
「少し見に行ってみようかな」
ニャー
次第に鳴き声が近くなってくる
階段をおり、橋の下を目指しあるいた。
「いた!」
そこには薄汚れた灰色の猫がびしょ濡れになって座っていた
「野良猫かな」
その猫に近づいていく
ニャー
その鳴き声は弱々しく聞こえた
「大丈夫?」
そう猫に問いかけたがもちろん返答は帰ってこない。
ドシャーン ゴロゴロー
そうしている間に雨はいっそう強まり雷まで鳴りだした。
こんな所に放っておけないよ
そう思った私はスーツを着ていることを忘れびしょ濡れになった猫をかかえた
「すごい冷えてる」
こんな雨の日に濡れたままでいたら当然か、と思いこのままでは衰弱が進んでしまうと急ぎ足で家まで帰った。
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