乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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どうやら冗談ではなかったようです。

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 この世界の記憶が戻ってからもう1週間経ち、私は今後どうするか決めた。
 私のこの世界での目標は、あのゲームの推しだったユウ様の未来を守るのだ!
 彼が死んでしまう未来を回避しなければならないと。だが彼と同じ時代を生きていたらどうにかなるかも知れないが、別の時代を生きてる私には出来ることが限られている。

 そう、もう彼を死なせない為にはあの魔王を先に封印するしかないと思うのだ。幸いにも私にはあの異世界チートがあるから、体力さえどうにかすれば魔王を封印できるはず!!

 そう決めたらこの城での滞在も終わりにしなければならない。

 ベルでローランを呼び、返事があるとそのまま要件を伝える。

「お願い、ミラー様に伝えたいことがあるの」

「承知致しました。確認を取るので少々お待ちください」

 実はこの呼び出しベルも通話が出来るように私が改良をしたのだ。要件を伝えるだけ為に呼び出すのが申し訳なくて、電話機能がついたら良いなと思いながらベルに触れたら見事付けることが出来た。


 それを見たミラー様に、ベルではなく小型の通信機を作って欲しいと言われ、試行錯誤中だ。それが完成したら私はこの城を出ようと思っている。




「僕のことをお呼びだと聞いたが何の話かな?」

「実はこの城を出ようと思っています」

「……それは僕との婚約が嫌ということかな?」

「えっ、それは……」

 うん、すっかり忘れていた。そんなことを言われていたような気がする。


「あの時は君も疲れていたようだから仕方ないけど、僕の告白をなかったことにされるのは正直面白くないな」

「すみません……」

 私が忘れていたこともお見通しらしい。

「あの時言った言葉は本当だよ。初めて君を見た時から惹かれていたんだ。もちろんあの魅力的なドレスだったからとかじゃない。君の凛と立つ姿がとても美しいと思ったんだ。それから話してみて、君の飾らない気さくさも好ましいと思った。改めて君に婚約を申し込みたいと思っているよ」

「私なんか……」

 まっすぐ見つめられて告げられる言葉に戸惑ってしまう。あの時はただのリップサービスだと思っていたのだが、この瞳を見る限りどうやら本当に想ってくれているらしい。

「君を無理やり縛るつもりはないんだ。でもこの城を出て行く前にもう一度僕とのことを考えて欲しい。君のことを幸せにする自信があるよ。それに君が隣に居てくれたら将来王となった時も、より良い国が作っていけると思うんだ。君となら王としての重圧も一緒に乗り越えていけると思ったんだよ」

「ミラー様……」

 そんな風に考えてくれていたのは素直に嬉しく思う。

「とにかく小型無線機が出来上がるまではこの城に居てくれるだろう? それが完成するまでは僕とのことも真剣に考えて見てもらいたい」

「……。でも私にはやりたいことがあるんです」

「それは何? 教えてもらえることかな?」

 果たして魔王を封印しますなどと言って信じてもらえるだろうか。そう考えるとなかなか口を開けない。

「言いにくいことなのかな。もし君が城の外でやりたいことがあるなら、可能な範囲で叶えて上げたいとも思っているよ。君を城の中だけに留めていたい訳じゃないからね。だから僕との将来も考えて」

 そう言うと私の髪を取りキスをするミラー様。その姿がかっこよすぎて思わず固まってしまう私。

「その顔を見る限り少しは意識してくれていると思って良いのかな。今日はこれで退散するけど今後は容赦しないから覚悟してね」

 そう告げて退出するミラー様。だけど私の心臓は一向に元に戻る気配がない。ドクドクと煩く鳴り響いている。

「……心臓止まるかと思った。さすがミレー様のご先祖様、顔面の破壊力が半端ないわ」

 もともと見た目だけならユウ様よりミレー様の方が好きだったのだ。ミラー様の容姿も私の好みドンピシャである。そんな彼に熱心に告白されて、あんな瞳で見つめられたら動揺しないわけがない。

 せっかく方向性が決まったと思ったのに、また新たな悩みが生れてしまった。



「ミラー様に気に居られるとはさすがユリ様ですね。やっぱり悪役令嬢ポジションなのでしょうか」

「ローラン! いつから居たのよ!!」

「最初からでございますわ。男女の2人きりで部屋に残すわけには行きませんので、壁の花となっておりました。完璧だったでございましょう?」

「……穴があったら入りたい」

「ミラー様は王子としてはもちろんのこと、人としても素晴らしいですよ。断る理由がないと思います」

「でも私はこの国の貴族でも何でもないのよ。王子の婚約者ってこの国の妃にということでしょう? そんなの周りが反対するに決まっているじゃない」

「いえ、落界人が妃になるのはむしろ賛成されますよ。あなたほどこの国の利益になる人は居ませんもの。むしろあなたのミラー様を結ばせようとさせる者もいるくらいですもの」

 そうなのか……。いまいちピンと来ない。だって私はこれまでただ普通に生きてきたのだ。別に特別な生まれでもなかったし、特別な才能などもなかった。ただ学校に行って、就職して、日々仕事に追われていただけの生活。そんな私が急に国の重要人物だと言われても正直良く分からない。

「ユリ様はとても謙虚でいらっしゃいますけど、もっと威張ってもいいくらいですよ」

「そんな、私は別にまだ何もしてないのに威張るなんて……。今だって十分良くしてもらってるのに」

「きっとそういう性格だからこそ落界人として選ばれたんでしょうね。これで威張り散らすような人だったらきっと神様もスキルを与えてこちらの世界に寄こしたりしないですもの」

「自分では良く分かんないよ。とにかくミラー様のことも真剣に考えてみる」

「はい、そうしてください。ではそろそろ昼食をお持ちしますね」

 しかしどうしたことか。ミラー様のことを真剣に考えないといけないし、魔王を封印する方法も考えなければならない。

 そもそも魔王とは一体どんな存在だったっけ? 今の時代には魔王なんて存在しないようで、どうやって調べて行けば良いかも検討がつかない。あの人なら魔王の話も馬鹿にせずに何か情報をくれるかも知れない。そう思った私は昼食を終えるとローラン伝いに彼と会えるように取り計らってもらった。


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