乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

文字の大きさ
13 / 63

未来が見えるようです。

しおりを挟む
「あなたは色々悩んでいるみたいですね。悩みのオーラが見えています」

 私はローランにリア様を呼んでもらい、魔王について質問しようと思っていたのだが、来て早々リア様に占いのようなことをされている。

 ◇

「リア様、久々ですね。急に呼び出してすみません」

「いえいえ、あなたに呼ばれるならいつだって大歓迎ですよ。異世界チートが近くにあると思っただけでドキドキしますから。はっ! もしかしてこれが恋というのでしょうか」

 そう言って赤くなるリア様に少し鳥肌が立ってしまう。彼は私自身ではなく、私の能力に惚れているのだ。


「それは恋ではないと思いますが、とりあえず座ってお茶でも飲みながらお話しませんか?」

「そうですね、ありがとうございます」

 そうしてテーブルに対面で座ると、いきなり私の手を取るリア様。

「なっ、いきなりどうしたんですか!?」

「あなたは色々悩んでいるみたいですね。悩みのオーラが見えます」

「悩みのオーラ?」

「はい、あとは大きな決断をしようとしているといった所でしょうか。目標の為に何か大きなことを成し遂げようとしている。大丈夫ですよ、あなたの決断はきっと明るい未来を作り出します」

 当たっている。

「リア様は一体何者なんですか……?」

「私はただの鑑定士ですよ」

「ただの鑑定士がこんな占いみたいなこと出来る訳ないですよね」

「私のスキルは“鑑定”ですから、見ることに関する魔法が得意なんですよ」

「……待って下さい。意味が分からないんですけど」

 鑑定のスキルだから見る魔法が得意とはどういったことか。

「まだ魔法とスキルの関係については学んでいないのですか? 私の説明は適当なのでちゃんとした講師の方が良いのですが……まあ導入だと思って聞いてください」

 自分でも適当だという自覚があるんだ。そこにビックリしたが説明してくれるようなので大人しくする。

「魔力とスキルは誰でも持っていると以前話しましたよね。その魔力を使ってスキルや魔法を発動出来るのです」

「でも魔法とスキルってどう違うの? てっきり同じものだと思っていたんだけど」

「スキルは特技とでも言いますか……。魔法を使えるといっても全部の魔法が使える訳じゃないんです。スキルに関連した分野の魔法だけが使えるのです。あっ、あなたの場合は一般の例に当てはまらないので別物として考えて下さい」

「……はい」

「例えば私だと、鑑定のスキルを持っていますから、人の能力や考え、未来などを全般が得意なんです。見ることの中で一番相性が良いというか、一番得意なのが人のスキルを鑑定する魔法なので鑑定士をしています」

「なんとなく分かったような分からないような……」

「あなたにはあまり関係ない話ですから……。それより何か私に聞きたいことがあって呼び出したんですよね? 何ですか?」


 私が難しい顔をしていたら話題を変えられてしまった。まあ魔法とスキルについては追々学んでいけば良いか。今はとりあえず今後について考えなくてはいけないから。


「この世界に魔王は居ないと聞いたんだけど、本当に居ないの?」

「あなたの世界には魔王は居たのですか?」

「うーーん、魔王みたいな人は居たと思うけど本物は居なかったよ。そもそも魔物自体も居ないしね」

「だったらこの世界に魔王が居なくても不思議じゃないですよね?」

「そうなんだけど……」

 そうなのだが私はこの世界に魔王が居ると知っているのだ。だがどこにいるのかは良く分からない。確かどこかのダンジョンの中に魔王の部屋があったはずなのだが。

「……魔王は居ますよ。ですがまだ居ないということになっています」

「どういうこと?」

「先程私には見る力があると言いましたよね。ユーリ殿のスキルを鑑定させてもらった時に彼の未来も覗いてみたんですね。そうしたら魔王と戦っている映像が一瞬見れたんです。だから僕は魔王がいると知っていますが、他の人々は知らないですね。あっもちろん王様にはちゃんと伝えましたよ」

「何で他の人には知らせないの? ちゃんと知らせていたらユーリだけに任せることなんかしないでしょう」

 だんだん怒りが湧き上がってくる。彼はみんなの為に一人で頑張っているのにこの国の王様は見て見ぬふりをしているのか。

「見たっていっても本当に一瞬だし、僕が見たことを他の人に見せる術がないんですよ。それにこれはユーリ殿の意見でもあるんです。みんなに公表して世の中が混乱するくらいなら自分一人でどうにかしてくるからって言って。だから王様も必要最低限の援助しかしていないけど、魔王が実際に現れる時が来たら援助する準備をしていますし、もし彼が魔王を倒すことが出来たらその時に褒章を用意しているんだよ」

「……ユーリが決めたことなら私がとやかく言う問題じゃないけど」

 それでも私は納得いかない。でも恐らくその褒章というのが侯爵位の授与だったのだろう。だったらここで私が口を出してしまうと、ユウの未来にも影響を与えるかも知れない。推しの為にここは黙っておくべきだ。

「それであなたは魔王を倒しに行こうとしているということですか?」

「ええ、だから魔王について知っていることがあったら教えて欲しいの」

「魔王については私も居るということ以外分からないんですよ。ただあなたの未来を少しだけ覗くことなら出来ますがどうしますか?」

 未来を見られる……。恐らく占いとは全く別物なんだろう。そう思うと簡単に答えられない。もし悪い未来が見えてしまった場合、そのことを受け止めきれるのだろうか。

「そんなに難しく考えないで下さい。未来を見るといっても本当にそれが起こるかは分からないのです。現時点での未来ですので、あなたの今後の行動によって変わる可能性は大いにあります」

「未来が変わるの……?」

「はいもちろんです。今なにもしない状態の未来を見るだけなので、もしあなたが今後の行動を変えれば、その都度未来は変わっていきます」

「それなら見てもらおうかな……」

「では何についての未来を見るか考えて下さい。私は未来を見る力は弱いので、一瞬しか見ることは出来ませんのでしっかり何を見るか具体的に考えて下さいね」

「そう言われると余計悩んじゃう」

「別に今すぐでなくても何を見たいか思いついたら呼んでください。あなたに呼ばれるのはいつでも大歓迎ですから」

 リア様がそう言ってウインクするが、ミラー様と違って何だか胡散臭く感じる。どうせリア様は私のスキルが見たいだけだ。

「それより今は小型無線機を作っているんでしたっけ? やって見せてくださいよ」

 ほらもう私の話に興味を失って無線機の話になっている。

「それが上手くいってなくて。ベルに通信機能を付けたらこんなに目立つ物じゃ意味がないって言われちゃって他に良い案が思い浮かばないの。ベルを小さくすれば良いんじゃないかと思ったらそれも違うって言われるし」

「……はあ。宝の持ち腐れですよ。イメージが大切だって言ってるでしょう。あなたはその無線機がどんな時に使われるか考えていますか」

「どんな時に使われるか……? 相手と喋りたい時じゃないの?」

「あなたは本当に単純というか頭が固いというか……」

 リア様が呆れた表情で見てくるが私は何か間違ったことを言っているだろうか。

「小型というところがポイントです。小型ということは持ち運びたい、そして出来れば目立たず連絡を取りたい。きっとダンジョンの中で仲間や外の人間との連絡手段として役立つでしょうね。あとは人目につかず隠れて調査をしたい時なども役立ちそうです。そんな場面でベルを取り出して話し始めますか?」

「いや、ないわね」

「そういうことです。そういう風にどんな場面で使うかをもっと具体的にイメージすれば、どんな物を魔道具の材料にすれば良いか分かると思いますよ」

「ありがとうございます。リア様もまともな意見が言えるのですね」

「ユリ殿? それはどういう意味ですかね。まるで普段の僕がまともでないみたいに聞こえるのですが」

「いえいえとんでもございません。とても参考になる意見をありがとうございます」

 慌てて取り繕うが、リア様の目が未だに怖い。そこにすかさずローランが美味しいお茶を入れてくれ、小型無線機が出来たらリア様にも1つプレゼントすると約束することでなんとかリア様の機嫌が直った。


「ローランありがとう。ナイスタイミングだったわ。ほんとに危なかった」

 リア様を敵に回したら怖い気がする。あのタイミングでお茶を出してくれて助かった。

「今後はよく考えて喋って下さいませ」
  
「はい、すみません」

 ローランには今後も頭が上がらないだろう。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

処理中です...