乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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魔力を使いすぎたようです。

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「どうやらイカの大群はまだ発生してないらしいな。でも気を抜くなよ。この先に例の場所がある」

「分かった。リア殿も気をつけてくれ」

 ダンジョンの中に入ると、あのイカの大群が現れた所までワープを使う。リア様もミラー様もワープに驚いてはいたが、流石にダンジョン内で騒ぐことはなく今のところ何も起きては居ない。
 暫く歩くと例の扉が現れるので、私が呪文を唱えその扉を開ける。

「開けゴマ!!」

「何ですかその呪文は?」

「随分変わった方法なんだね」

「こいつの魔法の呪文は特殊だから気にするな。本人のセンスがないんだ」

 ユーリが何か失礼なことを言った気がするが無視無視。

「ええ、誰も使わないようなワードセンスでとても単純明快です」

 あれ? マーク様にまでディスられた? 気のせいだよね。気のせいだと思う。だがミラー様やリア様までも私を残念な目で見てくる。そんな空気を無視してユーリが扉の中に進む。

「気をつけろよ。この中は異常な魔力が溢れてる。無闇に近づかない方が良いと思うが、リア様はどこまで近づけば鑑定可能なんだ?」

「確かに近づくのも危険そうですね。一度鑑定をやってみましょうか。ユリ様こっちへ来て頂けますか?」

「はい、私ですか?」

 指名されて近づくといきなり私の手を握るリア様。急な出来事にビックリして何も反応出来ずにいると、ユーリが繋いでた手を離してくれる。

「いきなりなにしてるんだよ! 手を繋ぐ必要ないだろ!?」

「鑑定するのに魔力が必要なんですよ。先程ミラー様を見たので、少し魔力不足なのでユリ様で補おうかと思って」

「それなら先に言って下さいよ。いきなり手を握られたらびっくりします」

「分かりました。ではあなたの魔力を頂きます」

 そう言って再び手を繋ぐと、私の魔力がリア様に流れていくのを感じる。リア様は目を瞑ると、手を魔石の方に向けて何かを読み取ってるようだ。

「…………」
「…………」

 みんなリア様の邪魔をしないようにそっと見守る。隣から覗くと薄っすらと額に汗をかいてるのが分かる。やはり簡単には読み取れる物じゃないのだろう。眉間に少し皺も寄り苦戦しているようだ。
 私に何もすることは出来ない。魔力の譲渡だってどうしたら良いかわからず、リア様にただ垂れ流しているだけだ。せめてもと繋いでる手をもう一度強く握りしめてリア様に少しでも力が渡ることを、リア様の力になれるようにと思いを込める。

「……ありがとうございます。やっぱりあなたは特別ですね」

「えっ?」

 リア様が私だけに聞こえるように何か呟いたのだが、それは本当に微かな声で最後まで聞き取ることは出来なかった。お礼を言われた気がするけど気のせい?

「読み取れました。ただ、今日はこれが限界みたいです。一度宿に帰って休んでも良いですか?」

 そう言ったリア様が一歩踏み出した途端、膝から崩れ落ちる所を慌てて支えるが私より背の高いリア様を支えきれずに倒れそうになってしまう。
 咄嗟にリア様を近くにいたユーリが、私をミラー様が支えてくれたおかげでなんとか倒れることはなかった。ユーリはそのままリア様に肩を貸している。立っているのも苦しそうだ。

「すみませんね。私は魔力量がそこまで多くないんですよ。スキルを見るだけならこんな風にはならないんですが、特別な鑑定や未来視をすると魔力不足になってしまって」

「今日は僕の未来視までさせてしまったからね。気にすることはない。すぐに帰って休もう」
  
 そうミラー様が声を掛けると、少し苦笑して頷く。本当に苦しそうなのだが、リア様はユーリから距離を取ると1人で歩いていく。なんとか船までたどり着き慌てて宿まで帰るとリア様にはそのまま空いている部屋に入り休んでもらう。私達は疲れては居なかったのだが、リア様が回復するまでは解散となった。


 ◇


「リア様の部屋は……あそこかな?」

 私は食堂でおにぎりを作るとリア様の部屋を探していた。少しでも何かお腹に入れて栄養を取ったほうが回復が早いと思ったのだ。……魔力切れの時の対処法なんてよく知らないんだけどね。

「ねえ、リア様の部屋はここ? 入っても大丈夫?」

 部屋の前に警備隊の1人が立っている。彼とは何回かミラー様の護衛として顔を合わせたことがあるから私のこともすぐに分かってくれたようだ。

「はいユリ様。リア様は中にいらっしゃいますが……まさか入られるのですか?」

「ええ、ダメかしら? 襲ったりしないから大丈夫よ?」

「いや、そういう心配はしてないのですが……恐ろしくないのですか?」

「恐ろしい? 何が??」

 何が恐ろしいのだろう。別にリア様の部屋に魔物がいる訳でもないし、彼が何のことを言っているのか分からない。

「ユリ様は流石ですね。どうぞお入りください。何かあればお声掛け下さいね」

 そう頭を下げると扉の前を開けてくれるのだが、詳しいことは教えてくれない。私は違和感を感じつつもそれ以上追求せずに扉をノックする。

「リア様、ユリですけど入ってもよろしいですか? 差し入れを持って来たんです」

「……どうぞ」

 中から聞こえて来たリア様の声はいつもより弱々しい。やっぱり様子を見に来て正解だった。
 こんな時に不謹慎なのだが、目をつぶって横になっているリア様の横顔がとても美しい。普段はアレなリア様だが、黙っていればこれまた美形だ。いつも少し顔色が悪いのだが、それがまた病弱な、儚い雰囲気を醸し出している。本当のリア様はどんなとこでも生きられるような図太さだから見た目詐欺なのだけれど。

「何か口にしましたか? 栄養を取らないと回復しないですよ。もし何か食べれるようなら私の故郷の料理を持って来たのでいかがですか?」

 珍しい料理を見ればあのリア様なら食らいつくと思ったのだがどうだろうか。

「……別世界の料理。それは口にしないと行けませんね」

 やはり興味を持ってくれたリア様が起き上がるのを手伝う。食べ方を説明すると、不思議な様子でおにぎりを掴んで口に入れる。こちらの世界ではパン以外を手掴みで食べることがあまりないので、少し葛藤があったらしいが好奇心が勝ってくれたらしい。シンプルな塩にぎりなのだがさて、どうだろうか。

「とても美味しいですね。塩加減もちょうど良いです。消化にも良さそうですし、病で倒れている時に良いですね」

「病気の時にはおかゆという食べ物があるんです。このご飯を煮たようなものなんだけどね。でも今は病気とは違うからこっちにしたんだけど口にあうなら良かった」

「次に倒れた時はそのおかゆというものも食べてみたいですね」

「そんなに頻繁に倒れないで下さいよ」

 少し冗談めかした会話も出来てきて、リア様も先程より顔色が良くなっていて一安心する。

「本当の私は図太くてどんなところでも生きられるでしたっけ?」

「え? それリア様に直接言いましたっけ?」

 それは先程私が心の中で思ったことじゃなかった? 思わず口に出していたとか?

「忘れたのですか? 私のスキルは鑑定です。普段は人の思考を読むことは制御しているのですが、体調の悪い時は意図しなくても相手の思考を勝手に読んでしまうのですよ。だから他の人はこの状態の私に近寄らないんです。考えを読まれてしまうなんて気味が悪いでしょう? 特殊なスキルを持つ私は普段から他の人に恐れられていますしね」

「!? 意識しなくても思考を読むって……それって自動で魔法を使っている状態よね!? ただでさえ魔力を使ってるのに更に消費してたら大変じゃない!!」

 私は慌ててリア様の手を握って魔力を流すイメージをする。どうやったら良いのか分からないけど、ちゃんとイメージすれば魔力はきっとリア様に届いてるはず。

「あなたは私と一緒に居て嫌じゃないんですか? 勝手に思考を読まれるんですよ?」

「私なんて大したこと考えてませんからそんなこと気にしません! それよりちゃんと魔力流せてますか!?  魔力が回復したらちゃんと制御出来るんですよね?」

「それはそうですが……。あなたは嫌じゃないのですか? あなたが奥底に隠している感情や秘密も全部知られてしまうのですよ?」

「私なんかの秘密よりリア様の身体の方が大切です! 今はちゃんと魔力を受け取って回復に集中して下さい!!」

 私が怒ってそう伝えると少し微笑んでそっと目を瞑るリア様。暫くそのまま魔力を流しているとリア様が眠りについた。そしていつまで流し続けようかと迷っていたら私もいつの間にか眠りについてしまったのだった。

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