乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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あの人が来たようです。

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「そうか、やはり魔石はあったのだね。それにイカの大群か……。こちらもあの巨大イカを調べたんだが、あれは普通の魔物とは違った魔力を宿してたそうだ。そのイカの大群が全部巨大イカとなったら大惨事になるだろう」

「だろうな。まだ小さかったから対処出来たが、あれが全部大きくなってたら不味かった」

「どれくらいで再出現して成長するのかが問題ですね。明日も調査に向かった方が良いでしょう」

「ああ、頼む。マークは以前からあのイカの魔物が出現していたかこれから聞き込みに行ってくれないか?」

「承知致しました」

 宿に戻りミラー様に報告を済ませると3人でどんどん話が進む。どうしてもこういう時は私は聞き役に回ってしまう。もっと色々提案出来る様になれば良いのだけど難しい。

「ユリ殿もありがとう。疲れただろ? 助っ人も明日の朝には到着する予定だから今日はもう先に休んでくれて良いよ」

「ありがとうございます。では先に部屋に戻らせて頂きますね」

 私に気を遣ってミラー様が休むよう促してくれたので素直に聞き入れる。私が居ても役に立たないのだからこれ以上ここに居て気を遣わせても仕方ない。私に出来ることからまず取り組んでいこうと気持ちを切り替える。
 とりあえず毒試験紙は一旦マーク様に預けたし、あと私に出来ることと言えばゲームのことを思い出すことだよね。
 あの魔石は魔王の物に違いない。それを浄化すれば魔王を倒すことに一歩近づく。そしてそれは確か1個じゃなかったはずだ……。さすがにゲームも1個だけじゃつまらない。3つ、いや4つ……?

「海と森と……あとどこだっけ?」

 私のゲームの記憶は朧げにしか覚えてない。夢に出て来たのも数回で大した情報はないし、夢の内容もちゃんと覚えている訳ではない。

「なんだっけ……。うーーーーん。海と森と……城!? うん、城にもあった気がする! それに神殿!! なんでそこにあるのって思ったのよ!!」


 でもそれをどうやって伝えよう……。城に滞在していた時にはそんなこと思い出さなかったし、城のどこにあるかは覚えてない。それに神殿なんかどこにあるかも分からないし……。また夢を見たことにする? でもそんな夢の予知ばかりしてたら変なやつだと思われないかな……。
 思い出したのは良いが、また新たな悩みが増えてしまった。とにかく今はあのダンジョンの魔石をどうにかするのが先決だ。あれが片付いてからまた考えよう。


 ◇


「おはようございます。お久しぶりですねユリ殿、ユーリ殿」

「やっぱりこの人が来たか」

「助っ人ってリア様のことだったんですね! お久しぶりです」

「色々調べるには鑑定のスキルが1番だからね。リア殿を呼んだのさ」

「はい。呼ばれて参上致しました。それにしても……」

「……?」

 そう何か言いかけて黙るリア様。何だか涙目になりプルプルと震えているのは気のせいだろうか? 

「それにしても……こんな珍しいスキルが3人目の前にいるとは……っ! なんて素晴らしい光景なのでしょう!! これは後世に書き残さなくてはなりません!! この感動を今すぐに書き留めなくてはっ!!」

 そう言うと凄い勢いで紙を出し書き殴っていくリア様。

「……。ええーっと、リア様は何を書いているのですかね」

「どうやら後世に素晴らしいスキルのことを残すと言って最近は書物を書いているらしいのです」

「あの人らしいな」

「……リア様らしいの一言でみんな納得してしまうのが恐ろしい」

 リア様のペンが落ち着いた所で、ミラー様が再度事情を説明する。
 その話もキラキラした目で聞くリア様。アレ? これってそんなキラキラする話だった? どちらかと言うと深刻な話だよね??

「なるほど、それで私を呼んでくださったのですね! なんてドキドキする……いや、ドギマギする話なんでしょう!!」

 ミラー様の鋭い目つきにさすがに言い直したが誤魔化しきれていない。顔は深刻そうな顔を装っているが、声のトーンで楽しみにしていることが丸わかりだ。
 少し不謹慎なリア様だが、みんなもリア様だったら仕方ないと苦笑する。しかしそのおかげで昨日まで漂っていた重苦しい空気がどこかに行ってしまったようで、流石リア様だ。

「あぁ。それにしてもあと1人居れば全員揃うのに……。ここまで来たら全員集合も見たいと思ってしまう私は欲深いのでしょうか」

 そう言いながらため息を吐く。あと1人とは誰のことを言っているのだろう。そんな落ち込むリア様の肩を叩き、ミラー様が誘導する。


 ◇

「さぁ、では入ろうか」

 先頭を歩くのはミラー様だ。今回はリア様に見てもらい、危険なことはないと予知されたので特別にミラー様も同行することになっている。
 初のダンジョンということで、いつもよりミラー様もテンションも高めだ。今もダンジョンの入り口をペタペタ触って目を輝かせている。

「いよいよダンジョンに一歩踏み入れることが出来るっ!!」

「ヒャッホーーーー! どんな魔石が待っているのかドキドキワクワクですね!!」

 そしてもうウキウキを隠すこともしなくなったリア様。あれ? ミラー様までおかしくなったら誰が仕切ってくれるのかな? 

「おい、魔物が居るかも知れないんだから静かにしろ。先頭は俺だ。入口から一気に魔石の部屋付近にワープする。ワープした瞬間魔物が襲ってくるかも知れないから注意しろよ。特にリア様は戦闘力ないんだから俺の前には絶対出るなよ」

 仕切ってくれたのはユーリだった。このメンバーで彼が1番年下よね? リア様は年齢不詳だけど確実に彼よりは上だ。

「分かりました。勇者に守ってもらうなんて贅沢な時間を無駄にしないんで安心して下さい! 心ゆくまで守られてみせます!!」

「……はぁ。行くかマーク」

「ええ、1番後ろは私が行くので安心して下さい」

「あぁ、任せた」

 あっもう1人まともな人が居た。マーク様が後ろで見張ってくれているなら安心だろう。ユーリとマーク様と目を合わせて頷くと、ユーリを先頭にダンジョンの中へと入って行った。

「いざっ、冒険へっ、しゅっぱーーーーつ!!」

「だから静かにしろ!!」


……本当に大丈夫だろうか。
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