乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

文字の大きさ
41 / 63

聖女様とご対面です。

しおりを挟む
 
「聖女様かぁ……」

 今日も宿の窓からムーンのネックレスに月明かりをかざす。ネックレスの魔石が以前より輝きを増してきている気がするのは気のせいだろうか。もう毎晩こうやって月明かりを見ながら色んなことに思いを馳せるのが日課になってきている。

 リア様が私が聖女様のことについて心配していたからみんなに話せなかったと言っていた。目を閉じて自分の気持ちと向き合ってみる。確かに私は聖女様の名前を出したら、彼女が加わりもう2人だけのパーティーじゃなくなることを恐れていたのかも知れない。あそこは私がこの世界で見つけた唯一の自分の居場所だから。もし追い出されたりしたらもうこの世界で生きていけないと思う程、私はあの場所を心地良く感じているのだ。
 でもそれとこれとは別。魔王を倒せないとこの世界が滅んでしまうし、そうしたら当初の目的である推しのユウを救う所ではなくなってしまう。私は決意を新たに眠りについた。

 ◇

 朝食を食べ終えると宿の玄関に集合する。そしてみんなでまだ来ていないユーリを待っているとリア様が近づいて来る。

「聖女様と会う心の準備は出来たのですか?」

「もう大丈夫ですよ。彼女の力がなきゃこの世界が滅んでしまいますもの。だから大丈夫です」

 私の我儘で世界を滅ぼす訳には行かない。昨日決意したように聖女様の力が必要ならば一緒に頑張りたいと思う。

「そうですか。では私からアドバイスを一つ。もし辛くなったら自分の気持ちに素直でいて下さい。素直になれば道は開けます」

「……それは未来視?」

「いえ、ただのお告げです」

「リア様のお告げ!? それは守らなきゃいけませんね」

 ……リア様は本当に何者なんだろう。
 そうこうしている間にユーリが来て、全員揃ったのを確認するとミラー様が声を掛ける。

「ではマークはこちらに残って海の様子を見ていてくれ。もし何かあれば無線機ですぐに知らせてくれ」

「承知致しました。ミラー様達もお気をつけ下さい」

「ああ。じゃあユリ殿頼めるかい?」

「はい。では皆さん手を繋いで頂けますか?」

 今回は早く対応したいとのことで、私の転移魔法で聖女様の所までひとっ飛びの予定だ。ゲームの中で、ヒロインが暮らしていた神殿は何度も出て来たからそれをイメージしたらちゃんと転移出来るはず。

「行きますよ! 神殿に転移~~!!」

 目を瞑り神殿をイメージする。この世界らしくムーンを意識した神殿で、神殿の横には湖があってそこに月が映し出されるシーンが素敵だったんだよね。ユウとヒロインが魔王との対決前にそこで抱き合って「魔王を倒したら伝えたいことがあるんだ」ってユウが彼女に告げるのだ。でもバッドエンドではユウは倒れてしまう。「伝えたいことがあるって言ってたじゃない! ねぇ、起きてよ! あの時私に何て言う予定だったのか教えてよ!! ……私だってあなたが好きだと伝えたかったのにっ……」って泣き崩れるヒロイン。あのシーンが本当に切なくて涙が止まらなかった……。



 ドッポーーン!!

「キャーー!」

「っくしゅん! お前っ!! 何で転移先が湖の中なんだよっ!!」

 転移する際に湖のシーンを思い出していたら見事その湖に落ちてしまったらしい。幸い岸のすぐ横だったのですぐに湖から抜け出したがみんな全身水浸しだ。

「ご、ごめんなさいっ! すぐに乾かしますからっ!」

 ユーリはともかくミラー様とリア様まで巻き込んでしまい申し訳ない。慌てて乾燥の魔法を使おうとするとミラー様がコートを掛けてくれる。

「ほら、服が透けてしまっているからこれを。まずは自分自身を乾かしてくれ。僕達はその後で構わないから」

「あ、ありがとうございます」

 ミラー様の対応に少し頬が赤くなってしまうがお言葉に甘えて自分の服を乾かしてしまう。そして次にミラー様、リア様と乾かしていると遠くから女性の声が聞こえてきた。

「ここに侵入するとは何者ですかっ!!」

 遠くから走ってきたのは、白いワンピースを着た金髪の女の子。歳はユーリと同じくらいだろうか。

「あれ? ミラー様? すみませんっ! 侵入者かと思いましてっ!」

「問題ない。こちらこそ急用だとは言えこんな場所にいきなり入ってしまい申し訳なかった」

「急用があるのですね。ミラー様だけでなくリア様まで来ていただけるとは。お久しぶりです!」

 ミラー様と話す姿を少し後ろから見つめる。さすがヒロインの祖先だ。見た目は金髪のふわりとした少しクセのついた髪だが、目は大きな碧い瞳で顔もとても小さい。可愛らしくて、誰もが好感を持つだろう。そして申し訳なさそうに謝る姿が一転、今は笑顔で談笑している。天真爛漫で穢れを知らない女の子っと言ったイメージ。

「ミラー様とリア様が揃ってどうしたんですか?」

「僕達だけじゃないよ。ほら彼らも一緒に来たんだ」

 そうしてミラー様が一歩横にずれて私達を紹介してくれる。

「そちらの女性は……?  って勇者様じゃないですかっ! 何でそんなにビショ濡れなのですか!!  風邪を引いてしまいますからあちらで拭いて下さいっ!!」

「ちょっ、俺は大丈夫だからっ」

「大丈夫ではないですよね? 遠慮はしないで下さい」

 そう言うと聖女様はユーリの腕を取るとグングンと引っ張ってあっという間に神殿の中へと連れていってしまった。

「えっと……どうします?」

 聖女様が凄い勢いで行ってしまったので、ミラー様も含めた私達は唖然としてしまった。王子様を放置するってなかなかではない?

「彼女はユーリ殿のことになると視野が狭くなるからな。とりあえず僕達も中に入れてもらおうか」

「え?」

 私の小さな呟きは聞こえなかったようでミラー様が歩き始めるので慌てて着いていく。ユーリのことになるとって……どういう意味?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

処理中です...