乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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事実は別にあるそうです。

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「……これは日本語!? だからララさんが読めないと言っていたのね……」

 次のページから書かれていたのは、まさかの日本語だった。
 古い言葉だから読めないのではなく、全く知らない言葉だから読めなかっただけのようだ。


『未来の落界人へ繋ぐ。

 私は2000年の日本から来た。
 落界人が落ちる時代は必ずしも向こうの世界の時間軸と一緒ではない。
 同じ時代に1960年の世界からきた落界人も居たのだ。

 そんな私達落界人は、各時代の持っている知識をこの世界に伝え、魔法の力を使わない科学をどんどん発達させていった。

 しかしそれにより民のムーンへの祈りがなくなると同時に、魔力が使われずに残り続ける影響で魔力が澱んでいき、ムーンの力が弱まっていった。

 その結果ムーンの光がない闇の日が増え、やがて魔王が生まれた。

 なんとかみなで協力をし魔王を倒したが、私達落界人は立場が弱くなってしまった。
 科学を封じられた私達は、国に保護され命令を聞くか、市中でひっそりと暮らすかの選択をするしかなかった。

 もしこの本を転落人が手にすることがあるのであれば、注意喚起をしたい。

 ・科学的な物を作り出すのは良いが、魔力を通す必要があるものにすること。魔力を通せばムーンの魔力弱めることはない。魔力の循環が大切なのだ。

 ・ムーンの祭り、祈りを絶やさないこと。
 ムーンの祭りにより多くの力が生まれることが分かっている。しかしそれとは別に普段からムーンへの祈りを送ることが大切である。特に三日月の晩は魔力が一番高まる。

 その2点を守ればムーンの力が我々を守ってくれる。

 そしてなぜこのことを日本語で書いているかだが、
 それはあなたを守る為だ。

 この世界の文字で、科学の発展が神様を怒らせ魔王を作り出したと書いたが、それはお伽噺として引き継がせ、後世に残しやすくする為。

 そして本当の理由を隠したのは、落界人が迫害されることがないようにだ。
 今の時代の人々は、我々が作った科学の偉大さも分かっている。

 しかし後世には科学技術は残らず、実際にどのようなものか想像出来ないだろう。

 この世界で作り出した最新の機器は全て破棄した。
 そんな中、科学を持ち込んだ落界人のせいで魔王が誕生したと知れたら、落界人に対して迫害や虐殺などが起こり得るかも知れない。

 そんなことにならないよう細心の注意を払いながらこの本を執筆したのだ。
 幸いにも、魔王を恐れたこの世界の人々はそれを書き残すことを嫌がった。存在自体を思い出したくない、そう思わせる程我々はこの戦いで疲弊したのだ。

 魔王復活の未来視も王家の者しか知らない。
 彼らは有益な私達を迫害しないことを約束し、この本を執筆することを許してくれた。

 だから多くの民は長い年月を経て魔王の存在を忘れ、落界人の扱いもそこまで酷いものにならないだろう……そう願っている。

 そしてもし魔王が復活する時代の落界人が居たら、この事実をどうするか、どう伝えるのか、それとも隠すのか……それはあなたにお任せする。』


 ……情報が多すぎて頭になかなか入ってこない。
 2000年って私とそんなに変わらないじゃない。そんな人がこっちの世界の800年前に落ちたってこと!?

 衝撃の事実に驚く。そして魔王を作り出してしまったのはなんと私の祖先?と言って良いのだろうか。同じ落界人がもたらした科学技術によるものだったとは……。

 どうしよう……。またもみんなに相談出来ないことが増えてしまった。
 むしろこのことをミラー様達に伝えた方が良いのかもしれない。

 それによってみんなに嫌われるかもしれない。もしかしたら敵のように思われてしまうかも知れないが、そんなことよりもみんなに真実を知ってもらい、ちゃんとした判断が出来る様にした方が良いと思ったのだ。

「魔力を使う物であればムーンの力を使うし問題ないのよね。お祭りも今でもちゃんと開催されてるし」

 とういうことは私が作り出した通信機は大丈夫だ。あれは魔力を流してみんなと連絡を取ることが出来る。

「あっ! あの毒試験紙は使えない……ってこと?」

 ミラー様の食を改善したくて作り出した試験紙だが、あれは魔力を流さなくても毒に浸しただけで反応する物だ。

「……また別の物を作れば良いのよね。うん。とりあえず次にマーク様に会った時に念の為破棄してもらおう」

 あとはムーンの祈りが大切か……。私も毎晩あのペンダントを月の光に当てて祈っている。
 一般の人でも成人になったり、特別な日にペンダントを送られ、それにムーンの魔力を溜めるのが当たり前なのだそう。
 それにこの神殿でも、あの鏡で見た王様もみんな月夜に祈りを捧げている。

 やっぱり神殿側も王様も魔王を悪用しようなんて意志はないのかもしれない。
 特にこの本によれば王家にはちゃんとした情報が伝わっているはずだ。だから祈りの大切さも引き継がれているだけだと思いたい。

「とにかくこの本の話を……ミラー様にしよう」

 これは通信機で話せるようなレベルの内容ではない。出来れば直接会って話したいのだが、やはり王家しか知らない内容も入ってるとなるとまずはミラー様に話すのが良いだろう。

 そう思って本を閉じようとするのだが、異変に気づく。

「あれ? これって……」

 読み終わったと思ったのだが、よく見ると最後の数ページが切り取られた跡があったのだ。
 よく見ないと気づかない程綺麗に切り取られている……。

 これは誰かが故意に切ったとしか考えられない……。神殿の誰かが?
 でも最初のページ以外全て日本語で書かれていた。最後のページも日本語で書かれていたとすると、これを切り取ったのは落界人……?

 もう悩んでも仕方ない! そう思った私はミラー様に連絡をする。

『ミラー様! 至急伝えたいことがあるんですが……』

『ユリ殿……分かった。ちょうど良いかも知れないな。今王宮に居るんだがあの君が滞在していた部屋へと転移してこれるかい?』

『はい! 分かりました。今から転移します!』

 通信を切るとすぐにあの部屋をイメージして転移した。
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