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久々の再会です。
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「ユリ様っ!!!」
「ローラン!!」
部屋へと転移して待っていてくれたのはローランだった。
思わず飛びつき再会を喜んでしまう。
「お久しぶりでございます。少しお痩せになりましたか?」
「確かに旅で鍛えてるから腰回りとか絞れたかも知れないかも」
「それはますます魅力的になりましたね。今ミラー様へ連絡致しましたので、こちらで暫くお待ち下さい。お茶を用意致しますね」
「ローランが淹れてくれるお茶久しぶりね。またあの味が楽しめると思うと嬉しい」
久しぶりの再会に色々な悩みも吹っ飛んでしまう。ローランは家族のような、親友のような、とにかくこの世界で数少ない私のホッとする場所を作り出してくれるのだ。
「何やらまた大変な問題を抱えているようですね。ミラー様がここ連日王様とお会いして何やら話していると噂になっていますよ」
「やっぱり難航しているのね」
「……その様子だと良い話ではなさそうですね。侍女内ではとうとう身を固め、王太子になる決意をしたのかと話しておりましたのに」
噂とは大抵そういうものだ。みんなが勝手に想像してどんどん話が大きくなってしまう。
「そのタイミングでユリ様がこちらにいらっしゃると聞いたので、婚約を受けたのだとばかり思っていたのですが」
「……ゴホッ」
予想外の話に思わず紅茶を咳き込んでしまう。
まさかその噂話に巻き込まれていたとは。
「てっきり2人で婚約を認めてもらうために説得するのかと……」
「確かにその噂のタイミングで私が来たらそう思うかも知れないけど、所詮噂よ? 真実とは全く違うからね?」
「そうだと半分諦めていました。恋焦がれる様子というより、悩みすぎてパニックになってるような顔でしたから」
「ローランもリア様みたく読める人なの!?」
そう私が大袈裟に言うと、冷たい目で私を見るローラン。うん、その目も懐かしいな。
「ユリ様が分かりやす過ぎるんです。少しは隠すことを覚えて下さい」
「はい……」
なんか似たようなことを誰かにも言われた気がする。
「それでもミラー様がこちらに呼んだということは、ユリ様の力を必要としているんですよ。力になってあげてくださいね」
「私に出来ることがあれば良いんですけどね」
「きっと大丈夫ですよ」
そうやってしばらく雑談をしているとミラー様が来た。
「やぁ、こちらまで来てもらってすまなかったね」
「いえ、大丈夫です! 私も直接話したいと思っていたので」
「その話とは?」
「えっと……」
どうしようか。ローランが居るところでは話にくい。チラッとローランの方を見ると「今回だけですよ。通常は2人きりにはしないんですから」そう言って隣の部屋へと入ってくれた。
さすが気の効く侍女様だ。
「その話というのが、何から話して良いやら……。この本についてなんですが」
そう言いながらバックの中からあの本を取り出す。
「この本は……。神殿から借りたのかな?」
「はい。リア様からカードを借りてたんですけど、念の為ララさんの名前で貸し出ししてます」
「そうだね。本来は持ち出し禁しだろうね。リア殿には私のカード貸してたんだが、ララさんの名前で借りた方が自然だったから良かったよ。それで? その本についてどうしたのかい?」
「この本の内容についてはご存知ですか?」
「あぁ。王家にも1冊残っているからね。読める部分については知っているよ」
「実は……私はこの本の内容を全て読めるのです」
「何だって!? そうか……チートスキルで……」
「いえ、この本は私の母国の言葉で書かれていたのです」
「……」
呆気に取られて口を開けたまま微動だにしないミラー様。
そんな顔をしても美しいんだから美形はずるい。
「まさかユリ殿の世界の言葉だったとは……道理で今まで誰も読むことが出来なかったはずだ。いや、だが過去の落界人も読めたことがないはずだったが……」
「私の世界でも国によっていくつもの言語があったので、もしかしたら過去の方達は私とは別の国だったのかもしれません」
「そうか……それでその部分にはなんと書かれていたんだい?」
重たい口を開き、本に書いてあることをそのまま読み上げる。
ミラー様は所々驚かれながらも、静かに私の話を聞いてくれる。
「……これで以上なんですが、実はここに切り取られた跡があるんです」
「本当だ。……この本は王家でも同じものを1冊保管しているんだ。そちらがどうなっているか後で確認しよう。それにしても科学というものが魔王を作り出す原因になったのか……」
そう言うと暫く考え込むミラー様。
それをじっと見つめる。私に出来ることは真実を伝えることだけだ。それを考えてどう動くかはミラー様が判断する。
もしそれによって私が国に囚われるようなことになっても後悔はしない。
「……言いにくいことを話してくれてありがとう。少し情報を整理したいから時間をくれるかな?」
「はい。私はミラー様がどんな判断をしても受け入れる覚悟が出来ていますので」
「何か勘違いをしているようだが、君を捕らえたりしないよ? あくまでもこれは過去の話だし、僕は君が魔王を倒す為、ユーリ殿と一緒に頑張ってくれていたことを知ってるからね」
そう言ってポンと肩を叩かれると涙腺が緩んでしまいそうだ。
「僕が時間を欲しいと言っているのは単純に色々考えたいからだ。この本のことも、国王がしていることも」
そう真剣な表情で伝える姿は、もう立派な王様に見えた。
ミラー様は死ぬ運命だとかを気にして王位を継がない予定だが、彼こそがこの国を継ぐべきだと思う。
「……そうだな。少し調べたい事が出来たから、また夕食の時に話そう。夕食を一緒に取っても構わないかい?」
「……ええ! 大丈夫です!」
「ユーリ殿が居ない間に君の心を掴めるかな?」
「……っ! ミラー様ったら!」
私の髪を一房手に取りそう告げるミラー様に私の顔は真っ赤になってしまっているだろう。
冗談だよと微笑むとミラー様が去り、代わりにローランが戻ってきた。
「あら、顔が真っ赤ですよ」
「……分かってる。そこには触れないでちょうだい」
「ふふ、分かりましたよ」
「ローラン!!」
部屋へと転移して待っていてくれたのはローランだった。
思わず飛びつき再会を喜んでしまう。
「お久しぶりでございます。少しお痩せになりましたか?」
「確かに旅で鍛えてるから腰回りとか絞れたかも知れないかも」
「それはますます魅力的になりましたね。今ミラー様へ連絡致しましたので、こちらで暫くお待ち下さい。お茶を用意致しますね」
「ローランが淹れてくれるお茶久しぶりね。またあの味が楽しめると思うと嬉しい」
久しぶりの再会に色々な悩みも吹っ飛んでしまう。ローランは家族のような、親友のような、とにかくこの世界で数少ない私のホッとする場所を作り出してくれるのだ。
「何やらまた大変な問題を抱えているようですね。ミラー様がここ連日王様とお会いして何やら話していると噂になっていますよ」
「やっぱり難航しているのね」
「……その様子だと良い話ではなさそうですね。侍女内ではとうとう身を固め、王太子になる決意をしたのかと話しておりましたのに」
噂とは大抵そういうものだ。みんなが勝手に想像してどんどん話が大きくなってしまう。
「そのタイミングでユリ様がこちらにいらっしゃると聞いたので、婚約を受けたのだとばかり思っていたのですが」
「……ゴホッ」
予想外の話に思わず紅茶を咳き込んでしまう。
まさかその噂話に巻き込まれていたとは。
「てっきり2人で婚約を認めてもらうために説得するのかと……」
「確かにその噂のタイミングで私が来たらそう思うかも知れないけど、所詮噂よ? 真実とは全く違うからね?」
「そうだと半分諦めていました。恋焦がれる様子というより、悩みすぎてパニックになってるような顔でしたから」
「ローランもリア様みたく読める人なの!?」
そう私が大袈裟に言うと、冷たい目で私を見るローラン。うん、その目も懐かしいな。
「ユリ様が分かりやす過ぎるんです。少しは隠すことを覚えて下さい」
「はい……」
なんか似たようなことを誰かにも言われた気がする。
「それでもミラー様がこちらに呼んだということは、ユリ様の力を必要としているんですよ。力になってあげてくださいね」
「私に出来ることがあれば良いんですけどね」
「きっと大丈夫ですよ」
そうやってしばらく雑談をしているとミラー様が来た。
「やぁ、こちらまで来てもらってすまなかったね」
「いえ、大丈夫です! 私も直接話したいと思っていたので」
「その話とは?」
「えっと……」
どうしようか。ローランが居るところでは話にくい。チラッとローランの方を見ると「今回だけですよ。通常は2人きりにはしないんですから」そう言って隣の部屋へと入ってくれた。
さすが気の効く侍女様だ。
「その話というのが、何から話して良いやら……。この本についてなんですが」
そう言いながらバックの中からあの本を取り出す。
「この本は……。神殿から借りたのかな?」
「はい。リア様からカードを借りてたんですけど、念の為ララさんの名前で貸し出ししてます」
「そうだね。本来は持ち出し禁しだろうね。リア殿には私のカード貸してたんだが、ララさんの名前で借りた方が自然だったから良かったよ。それで? その本についてどうしたのかい?」
「この本の内容についてはご存知ですか?」
「あぁ。王家にも1冊残っているからね。読める部分については知っているよ」
「実は……私はこの本の内容を全て読めるのです」
「何だって!? そうか……チートスキルで……」
「いえ、この本は私の母国の言葉で書かれていたのです」
「……」
呆気に取られて口を開けたまま微動だにしないミラー様。
そんな顔をしても美しいんだから美形はずるい。
「まさかユリ殿の世界の言葉だったとは……道理で今まで誰も読むことが出来なかったはずだ。いや、だが過去の落界人も読めたことがないはずだったが……」
「私の世界でも国によっていくつもの言語があったので、もしかしたら過去の方達は私とは別の国だったのかもしれません」
「そうか……それでその部分にはなんと書かれていたんだい?」
重たい口を開き、本に書いてあることをそのまま読み上げる。
ミラー様は所々驚かれながらも、静かに私の話を聞いてくれる。
「……これで以上なんですが、実はここに切り取られた跡があるんです」
「本当だ。……この本は王家でも同じものを1冊保管しているんだ。そちらがどうなっているか後で確認しよう。それにしても科学というものが魔王を作り出す原因になったのか……」
そう言うと暫く考え込むミラー様。
それをじっと見つめる。私に出来ることは真実を伝えることだけだ。それを考えてどう動くかはミラー様が判断する。
もしそれによって私が国に囚われるようなことになっても後悔はしない。
「……言いにくいことを話してくれてありがとう。少し情報を整理したいから時間をくれるかな?」
「はい。私はミラー様がどんな判断をしても受け入れる覚悟が出来ていますので」
「何か勘違いをしているようだが、君を捕らえたりしないよ? あくまでもこれは過去の話だし、僕は君が魔王を倒す為、ユーリ殿と一緒に頑張ってくれていたことを知ってるからね」
そう言ってポンと肩を叩かれると涙腺が緩んでしまいそうだ。
「僕が時間を欲しいと言っているのは単純に色々考えたいからだ。この本のことも、国王がしていることも」
そう真剣な表情で伝える姿は、もう立派な王様に見えた。
ミラー様は死ぬ運命だとかを気にして王位を継がない予定だが、彼こそがこの国を継ぐべきだと思う。
「……そうだな。少し調べたい事が出来たから、また夕食の時に話そう。夕食を一緒に取っても構わないかい?」
「……ええ! 大丈夫です!」
「ユーリ殿が居ない間に君の心を掴めるかな?」
「……っ! ミラー様ったら!」
私の髪を一房手に取りそう告げるミラー様に私の顔は真っ赤になってしまっているだろう。
冗談だよと微笑むとミラー様が去り、代わりにローランが戻ってきた。
「あら、顔が真っ赤ですよ」
「……分かってる。そこには触れないでちょうだい」
「ふふ、分かりましたよ」
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