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事件の匂いがするようです。
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「君とここで食事するのも久しぶりだな」
「そうですね。最初の頃が懐かしいです」
ローランに案内され、ミラー様との晩餐会が始まる。以前一緒にお茶を飲んだ庭園に食事が用意されている。
こちらの気候はあまり温度差がなく夜でも過ごしやすいから、庭園での食事も程よい風が吹き気持ちが良い。
私の前には熱々のオニオンスープとサラダが運ばれてくる。
そしてミラー様の前には、当たり前のように湯気の出ない冷めたスープが並んでいる。
この前マーク様に渡した毒試験紙は結局使えないもんな。何か他の方法でまたミラー様に温かい食事が食べてもらえるように考えないと。
「それで考えていたことについてなんだが、恐らく陛下はあの本についての内容は全て知っていると思うんだ」
「全て?」
「ああ。君が通信機を作ってくれた際に見せたら、“魔力を通す魔道具であれば問題ない”と言っていたんだ。だからムーンの力を使用するのが重要だと知っていたはずだ」
「なるほど……。ではあの切れたページに書かれていることも?」
「それについては聞いてみなきゃ分からないんだが、王家で保管している分に関しても同じように切り取れていた」
「誰かが故意に切り取ったとしか考えられませんね」
「あぁ。でもいつから切り取られていたかは分からないから、それについては調査をしていくよ。その話は置いておいて、君に協力して欲しいことがあるんだ」
「はい? 何ですか? 私に出来る事なら協力しますが」
私の話を聞いてくれる為に呼ばれたのだと思ったが、それだけではないらしい。
「実は……王城にある魔石を鑑定して欲しいんだ」
「え? 私がですか? 鑑定はリア様の仕事では?」
そんな人の仕事を取るようなことはしたくないんだけどな。
「もちろんリア殿にも許可済みだよ」
「だからってちゃんと鑑定出来るかも分かりませんし……」
「じゃあ今ここで鑑定してみないかい? ほら、僕の食事に毒が入ってないか……とかね?」
「もう……失敗しても知りませんからね」
「大丈夫さ。ちゃんと毒味は済んでいるから」
そう言われて、あまり気が進まないがミラー様の料理を鑑定する。ちょうどメインディッシュであるローストビーフと、パンが運ばれてきたところだ。
「……じゃあ試しにやってみます。鑑定をすれば良いんですよね?」
「あぁ。料理に毒物がないか鑑定をしてくれれば大丈夫だよ」
そう言いながらもスープに口をつけようとするので慌てて鑑定する。
毒味をしているから平気だとは思うんだけど……。
「鑑定っ!」
魔力を流しながらミラー様の食事を見ると、食材に使われている材料が文字として現れてくる。
しかしこれでは何が良くて何がダメなのか分からない。もっと分かりやすくしてくれれば良いんだけど……。
「っ! 待って下さい!!」
私の悲鳴に近い焦った声にミラー様がスープのスプーンを取り落とす。
「そのローストビーフのタレに毒物が仕込まれていると思います!!」
「っつ! そんな馬鹿な! 毒味は済んでいるはずだが……いや今はそんな事より確認が必要だ!! ローランとフレッド!! 今すぐ毒味係の確認と陛下への食事提供を止めるように伝令を!!」
「「はいっ!!」
「僕は陛下の所へ行く! ローランは毒味係の控え室に、デイブとケイは警備へ調理場に調査に入ることを伝えろ! 今城内に居るものを逃すな! 卸し業者やシュフ、配膳の者まで一ヶ所に集めて徹底的に調査だ!」
ミラー様の指示で近くに控えていたローランと、ミラー様の付き人の人が数人走っていく。
残るは護衛の者が数名だ。
「ミラー様、ここの警備が手薄になってしまうなら場所を移した方が良いのではないですか?」
ローランも居ないし、護衛の数も減ってしまい心細くなってくる。
ミラー様を毒殺しようとしているのにこんな所に居て安全なのだろうか。
「今はむしろここから動かない方が良いだろう。犯人も捕まっていない状況で無闇に動くのも危険だ。それに毒殺しようとする者が急に姿を見せて攻撃してくる可能性は低いだろうから大丈夫だよ」
「……そうですね。分かりました」
「こんなことになってしまって申し訳ない」
「いえ、でも大事になる前に気づけて良かったです」
ミラー様がもし食べてしまった後だったら大変だったろう。そう考えるとゾッとする。
「そんな中申し訳ないがいくつか質問をしても大丈夫だろうか?」
「はい、もちろんです」
「ではまず毒が入っていたのは僕のローストビーフ。君の食事には毒はなかったかい?」
「見てみます」
先程はミラー様の食事しか鑑定していない。でもよく考えたら私の方にも毒が入っている可能性があるんだ。
「鑑定っ!」
うん、良かった。私の方には毒物はない。そのことをミラー様に伝えると、少し複雑そうな顔をする。
「……なるほど。では毒の種類は分かるかな?」
「……すみません、分かりません」
「?? では何故毒が入っているとわかったんだ?」
ミラー様が不思議に思うのもそうだろう。
何せこの鑑定は恐らく私にしか出来ない。
初めに鑑定をした時、確かに材料名が頭の中に沢山浮かんできたのだ。
しかしどれが毒か分からない為、ドクロマークとか浮かんでくれたら分かりやすいのになと思った瞬間、ローストビーフにドクロマークが浮かび上がったのだ。
「……なるほど。君らしいよ」
少し呆れながらも納得されるミラー様。うん、頼りなくてごめんなさい。
「ほら、やっぱり私には鑑定は無理ですって! やっぱりリア様を呼んだ方が毒もわかりますよ?」
「いや、リア殿は人や魔力に関する鑑定が得意分野で、あまりこうした食事の鑑定には向いてないんだ。」
「……なるほど」
その説明にすぐに納得してしまう。
「でも最初は原材料を全て見えたのだろう? 後で専門の調査員を呼ぶからその者に入ってる材料を全て伝えてくれるかな? それで何の毒か分かると思うから」
「分かりました! それなら大丈夫そうです!」
暫くすると、調査部隊の方達が来て先程ミラー様に言われた通り原材料を伝える。
そして私の方には毒は入っていないことも。
また場所を代わり、新たに陛下達の食事の鑑定もしたのだが、こちらにも毒は入っていなかった。
一通りの調査が済むとあの部屋に戻ってくる。
ローランはまだ不在みたいだ。
「今日は疲れただろう? ゆっくり休んでくれ。ユリ殿のお陰で本当に助かったよ」
まだ調査中だが、ミラー様の食事に入っていた毒は猛毒で、食べていたら恐らく命はなかっただろうとのことだった。
その話を聞いて後から恐怖が襲ってくる。
「ミラー様に何事もなくて本当に良かったです」
そう話すが涙目になってしまう。
今日鑑定をやろうという話にならなかったら、もう目の前に彼は居なかったのだ。
「はぁ……もっと大事な話をする予定だったのに台無しだ」
そう言いながら優しく私を抱きしめてくれるミラー様。
ミラー様の温かい体温に包まれ、先程までの恐怖心が少しずつ溶けていくのを感じる。
「僕が死んだら君は悲しい?」
「当たり前じゃないですかっ!!」
「……そうか。嬉しいな」
「馬鹿なこと言ってないでくださいっ!」
そう怒るとごめんと笑いながら離れていく。
「今日は疲れてるだろうから、大事な話はまた明日にしよう。ローランはもうすぐ帰ってくると思うんだが……1人で大丈夫かい?」
「……はい、大丈夫です」
「じゃあ僕も報告を聞かなきゃ行けないから離れるよ。念の為、僕とローラン以外の侵入者を入れない魔法をこの部屋に掛けておけるかい?」
「分かりました。ミラー様も気をつけて下さいっ」
「あぁ、ありがとう」
そうしてミラー様は私の頭をひと撫ですると、ドアの外で待っていた護衛と帰っていった。
ミラー様の言う通り、部屋に侵入者を防ぐ魔法を施す。
ブルルルル、ブルルルル。
うん? 通信機が鳴ってるようだ。こんな時に誰だろう。
「そうですね。最初の頃が懐かしいです」
ローランに案内され、ミラー様との晩餐会が始まる。以前一緒にお茶を飲んだ庭園に食事が用意されている。
こちらの気候はあまり温度差がなく夜でも過ごしやすいから、庭園での食事も程よい風が吹き気持ちが良い。
私の前には熱々のオニオンスープとサラダが運ばれてくる。
そしてミラー様の前には、当たり前のように湯気の出ない冷めたスープが並んでいる。
この前マーク様に渡した毒試験紙は結局使えないもんな。何か他の方法でまたミラー様に温かい食事が食べてもらえるように考えないと。
「それで考えていたことについてなんだが、恐らく陛下はあの本についての内容は全て知っていると思うんだ」
「全て?」
「ああ。君が通信機を作ってくれた際に見せたら、“魔力を通す魔道具であれば問題ない”と言っていたんだ。だからムーンの力を使用するのが重要だと知っていたはずだ」
「なるほど……。ではあの切れたページに書かれていることも?」
「それについては聞いてみなきゃ分からないんだが、王家で保管している分に関しても同じように切り取れていた」
「誰かが故意に切り取ったとしか考えられませんね」
「あぁ。でもいつから切り取られていたかは分からないから、それについては調査をしていくよ。その話は置いておいて、君に協力して欲しいことがあるんだ」
「はい? 何ですか? 私に出来る事なら協力しますが」
私の話を聞いてくれる為に呼ばれたのだと思ったが、それだけではないらしい。
「実は……王城にある魔石を鑑定して欲しいんだ」
「え? 私がですか? 鑑定はリア様の仕事では?」
そんな人の仕事を取るようなことはしたくないんだけどな。
「もちろんリア殿にも許可済みだよ」
「だからってちゃんと鑑定出来るかも分かりませんし……」
「じゃあ今ここで鑑定してみないかい? ほら、僕の食事に毒が入ってないか……とかね?」
「もう……失敗しても知りませんからね」
「大丈夫さ。ちゃんと毒味は済んでいるから」
そう言われて、あまり気が進まないがミラー様の料理を鑑定する。ちょうどメインディッシュであるローストビーフと、パンが運ばれてきたところだ。
「……じゃあ試しにやってみます。鑑定をすれば良いんですよね?」
「あぁ。料理に毒物がないか鑑定をしてくれれば大丈夫だよ」
そう言いながらもスープに口をつけようとするので慌てて鑑定する。
毒味をしているから平気だとは思うんだけど……。
「鑑定っ!」
魔力を流しながらミラー様の食事を見ると、食材に使われている材料が文字として現れてくる。
しかしこれでは何が良くて何がダメなのか分からない。もっと分かりやすくしてくれれば良いんだけど……。
「っ! 待って下さい!!」
私の悲鳴に近い焦った声にミラー様がスープのスプーンを取り落とす。
「そのローストビーフのタレに毒物が仕込まれていると思います!!」
「っつ! そんな馬鹿な! 毒味は済んでいるはずだが……いや今はそんな事より確認が必要だ!! ローランとフレッド!! 今すぐ毒味係の確認と陛下への食事提供を止めるように伝令を!!」
「「はいっ!!」
「僕は陛下の所へ行く! ローランは毒味係の控え室に、デイブとケイは警備へ調理場に調査に入ることを伝えろ! 今城内に居るものを逃すな! 卸し業者やシュフ、配膳の者まで一ヶ所に集めて徹底的に調査だ!」
ミラー様の指示で近くに控えていたローランと、ミラー様の付き人の人が数人走っていく。
残るは護衛の者が数名だ。
「ミラー様、ここの警備が手薄になってしまうなら場所を移した方が良いのではないですか?」
ローランも居ないし、護衛の数も減ってしまい心細くなってくる。
ミラー様を毒殺しようとしているのにこんな所に居て安全なのだろうか。
「今はむしろここから動かない方が良いだろう。犯人も捕まっていない状況で無闇に動くのも危険だ。それに毒殺しようとする者が急に姿を見せて攻撃してくる可能性は低いだろうから大丈夫だよ」
「……そうですね。分かりました」
「こんなことになってしまって申し訳ない」
「いえ、でも大事になる前に気づけて良かったです」
ミラー様がもし食べてしまった後だったら大変だったろう。そう考えるとゾッとする。
「そんな中申し訳ないがいくつか質問をしても大丈夫だろうか?」
「はい、もちろんです」
「ではまず毒が入っていたのは僕のローストビーフ。君の食事には毒はなかったかい?」
「見てみます」
先程はミラー様の食事しか鑑定していない。でもよく考えたら私の方にも毒が入っている可能性があるんだ。
「鑑定っ!」
うん、良かった。私の方には毒物はない。そのことをミラー様に伝えると、少し複雑そうな顔をする。
「……なるほど。では毒の種類は分かるかな?」
「……すみません、分かりません」
「?? では何故毒が入っているとわかったんだ?」
ミラー様が不思議に思うのもそうだろう。
何せこの鑑定は恐らく私にしか出来ない。
初めに鑑定をした時、確かに材料名が頭の中に沢山浮かんできたのだ。
しかしどれが毒か分からない為、ドクロマークとか浮かんでくれたら分かりやすいのになと思った瞬間、ローストビーフにドクロマークが浮かび上がったのだ。
「……なるほど。君らしいよ」
少し呆れながらも納得されるミラー様。うん、頼りなくてごめんなさい。
「ほら、やっぱり私には鑑定は無理ですって! やっぱりリア様を呼んだ方が毒もわかりますよ?」
「いや、リア殿は人や魔力に関する鑑定が得意分野で、あまりこうした食事の鑑定には向いてないんだ。」
「……なるほど」
その説明にすぐに納得してしまう。
「でも最初は原材料を全て見えたのだろう? 後で専門の調査員を呼ぶからその者に入ってる材料を全て伝えてくれるかな? それで何の毒か分かると思うから」
「分かりました! それなら大丈夫そうです!」
暫くすると、調査部隊の方達が来て先程ミラー様に言われた通り原材料を伝える。
そして私の方には毒は入っていないことも。
また場所を代わり、新たに陛下達の食事の鑑定もしたのだが、こちらにも毒は入っていなかった。
一通りの調査が済むとあの部屋に戻ってくる。
ローランはまだ不在みたいだ。
「今日は疲れただろう? ゆっくり休んでくれ。ユリ殿のお陰で本当に助かったよ」
まだ調査中だが、ミラー様の食事に入っていた毒は猛毒で、食べていたら恐らく命はなかっただろうとのことだった。
その話を聞いて後から恐怖が襲ってくる。
「ミラー様に何事もなくて本当に良かったです」
そう話すが涙目になってしまう。
今日鑑定をやろうという話にならなかったら、もう目の前に彼は居なかったのだ。
「はぁ……もっと大事な話をする予定だったのに台無しだ」
そう言いながら優しく私を抱きしめてくれるミラー様。
ミラー様の温かい体温に包まれ、先程までの恐怖心が少しずつ溶けていくのを感じる。
「僕が死んだら君は悲しい?」
「当たり前じゃないですかっ!!」
「……そうか。嬉しいな」
「馬鹿なこと言ってないでくださいっ!」
そう怒るとごめんと笑いながら離れていく。
「今日は疲れてるだろうから、大事な話はまた明日にしよう。ローランはもうすぐ帰ってくると思うんだが……1人で大丈夫かい?」
「……はい、大丈夫です」
「じゃあ僕も報告を聞かなきゃ行けないから離れるよ。念の為、僕とローラン以外の侵入者を入れない魔法をこの部屋に掛けておけるかい?」
「分かりました。ミラー様も気をつけて下さいっ」
「あぁ、ありがとう」
そうしてミラー様は私の頭をひと撫ですると、ドアの外で待っていた護衛と帰っていった。
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