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電話の声で安心出来たようです。
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「もしもし……?」
『……おいっ! お前黙って勝手に居なくなるなよ!!』
「えっ、ごめん……心配した?」
通信の相手はユーリだった。
確かにあの時は慌てて、誰にも伝えずにこちらへ来てしまった。もしかして心配してくれてたのだろうか。
『……心配するに決まってんだろバカ!』
ほう。心配してくれてたんだ。
ちょっと嬉しい……。
「ごめんって」
『せめて一言相談しろよ。それとも俺に相談出来ないようなことだったのかよ』
「だって……ユーリはララさんのことで忙しかったでしょ?」
素直に言えば良いのに、こんな時に出てくるのはユーリのことを責めるような言葉。……本当大人げない自分が嫌になる。
『なんだよそれ……』
ほら、ユーリだって呆れてる。
彼は神殿を調査する為にララさんに近づいているのに。
でも彼と彼女が親しそうに話している姿を見かける度に嫌な気持ちになる。
そんな自分が嫌で、掃除を手伝ったり、図書館に行ったりして2人の姿を見ないようにしていたのだ。
『……それで、お前は無事だったのかよ』
私が嫌なことを言ってるのに、私よりも年下なのに大人な彼は話を変えてくれる。きっとミラー様から話を聞いているのだろう。
「うん。私の方には毒も入ってなかったし大丈夫だよ」
『……そうか。それは色々危なかったな』
「うん? ミラー様のこと? 本当に間一髪だったよね」
『違うさ。お前が危なかったって言ってんの。もしミラーがそのまま毒入りの食事を食べて死んでたら誰が1番に疑われると思うか考えてみろよ』
「……もしかして私?」
『だろうな。その証拠にお前の食事には毒もなかった。お前のスキルなら何だって可能だからな』
「……でも私のスキルは殺人とかの罪をすると使えなくなるんでしょう?」
『そう言われているがな……だが本当にそうだと誰が証明出来る? 今までそんな事例がないのに』
「……。うそ……。私が嵌められかけたってこと?」
『……その可能性もなくはない。だから絶対に1人になるなよ。誰が何を狙ってるか分かるまでは絶対になっ!』
「…………」
ミラー様が私の食事に毒が入ってないと言った時に複雑そうな顔をしたのはそのせいだったのか。
きっと私を不安にさせないようにミラー様はその可能性を黙っていたんだ。
『ったく! だから勝手に居なくなるなよ。側に居なきゃ守れねぇんだから』
少し苛立たしそうに声を荒げるが、発する言葉はとても温かい。
あぁ、でもきっと彼が守るのは私ではなくなるのだろうな。彼が守らなきゃいけないのは、あの優しい穏やかな女の子、ララさんだから。
『……おいっ。聞いてるのかよ』
「聞いてるよ。ありがとう」
『俺こそ怒鳴って悪かった。それで、あいつには変なことされてないのかよ』
「あいつって?」
『……王子だよ』
「…………別に。何もないよ」
さっきの抱きしめられたのは別に特別な意味なんてないもんね。
『なんだよ今の間はっ!! 何かあったのかよ』
「ないってば! 私よりユーリこそララさんと仲良くしてて何もないの? 私なんかに構ってないでララさんと一緒に居た方が良いんじゃない?」
あぁ本当に馬鹿だ。口が勝手に動いてしまうんだからどうしようもない。
通話だからだろうか。面と向かっては聞けないこと、聞きにくかったことをつい言ってしまう。
『お前は……。……お前は、俺があいつとどうにかなって欲しいのかよ』
さっきまで威勢の良かったユーリの声が静かになる。
しかしその静かな声が、静かな怒りを秘めているようで先程のように簡単に口を開けなくなる。
「……別にそういう訳じゃないけど。でもお似合いだなって思う」
これは本当の私の気持ち。私なんかよりよっぽど彼女の方がユーリに相応しいと思う。
ゲームの未来のことを考えると、彼女とユーリが付き合ってしまってはユウが生まれなくなってしまう可能性があるのに。
今のユーリの苦悩をを理解してあげられるのは彼女だけだと思うと、ユーリの幸せには彼女が隣に居てくれた方が良いんだろうなって思ってしまう。
『……そうかよ』
「…………。だってその方がユーリは幸せなんじゃない? 同郷の、自分のことを理解してくれる幼馴染の方が一緒に居て幸せなんじゃない」
『…………。お前の考えは良く分かった』
「…………」
やってしまった。
自分で2人の後押しをしてしまってどうするんだ。
でもそれがユーリの幸せなら、この気づきかけている気持ちに私は蓋をしよう。
私のこの気持ちがユーリの幸せの邪魔をしてしまうなら、いくらでも私はこの気持ちに嘘をつき続けよう。
『お前って……本当馬鹿で分からずやだよな』
「なんですって」
「本当馬鹿……。その馬鹿はいつ治るんだよ」
そう言ってため息をつくユーリ。
『……とにかく、絶対に1人になるなよ。これは絶対だからな』
「分かった。約束する」
『じゃあ気をつけろよ。そっちの問題が解決したらすぐ戻ってくるんだぞ』
「う……ん」
『うん? なんか言いたげだな』
「いや、なんか急に優しいから」
『俺はいつだって優しいだろ』
「ふっ、何それっ」
ユーリの言葉に思わず笑ってしまう。
『お前は余計な事考えずにそうやって笑ってればいいんだよ。分かったか』
「うん……じゃあね」
『ああ。おやすみ』
おやすみか……。たったその一言で1日のゴタゴタが吹き飛んでしまう。
私は声低い方が好きだったんだけどなぁ……。
ユーリの声はまだ成長しきっていないのか、標準的な男性より少し高めの声だ。本当に少年と青年の狭間にいるといった感じがする。
そんな少し高い声を聞くと安心してしまう私はもう彼に落ちてしまっているのだろうか。
そんなことではダメだともう一度自分に言い聞かせる。
あの彼は、ユウのご先祖様になるのだ。
異世界人の自分なんかと一緒になる訳がない。
今はそんなことより、魔王を倒してユウが死ぬ未来がくることがないようにするのが私の目標。
そう自分にもう一度言い聞かせ、眠りについた。
『……おいっ! お前黙って勝手に居なくなるなよ!!』
「えっ、ごめん……心配した?」
通信の相手はユーリだった。
確かにあの時は慌てて、誰にも伝えずにこちらへ来てしまった。もしかして心配してくれてたのだろうか。
『……心配するに決まってんだろバカ!』
ほう。心配してくれてたんだ。
ちょっと嬉しい……。
「ごめんって」
『せめて一言相談しろよ。それとも俺に相談出来ないようなことだったのかよ』
「だって……ユーリはララさんのことで忙しかったでしょ?」
素直に言えば良いのに、こんな時に出てくるのはユーリのことを責めるような言葉。……本当大人げない自分が嫌になる。
『なんだよそれ……』
ほら、ユーリだって呆れてる。
彼は神殿を調査する為にララさんに近づいているのに。
でも彼と彼女が親しそうに話している姿を見かける度に嫌な気持ちになる。
そんな自分が嫌で、掃除を手伝ったり、図書館に行ったりして2人の姿を見ないようにしていたのだ。
『……それで、お前は無事だったのかよ』
私が嫌なことを言ってるのに、私よりも年下なのに大人な彼は話を変えてくれる。きっとミラー様から話を聞いているのだろう。
「うん。私の方には毒も入ってなかったし大丈夫だよ」
『……そうか。それは色々危なかったな』
「うん? ミラー様のこと? 本当に間一髪だったよね」
『違うさ。お前が危なかったって言ってんの。もしミラーがそのまま毒入りの食事を食べて死んでたら誰が1番に疑われると思うか考えてみろよ』
「……もしかして私?」
『だろうな。その証拠にお前の食事には毒もなかった。お前のスキルなら何だって可能だからな』
「……でも私のスキルは殺人とかの罪をすると使えなくなるんでしょう?」
『そう言われているがな……だが本当にそうだと誰が証明出来る? 今までそんな事例がないのに』
「……。うそ……。私が嵌められかけたってこと?」
『……その可能性もなくはない。だから絶対に1人になるなよ。誰が何を狙ってるか分かるまでは絶対になっ!』
「…………」
ミラー様が私の食事に毒が入ってないと言った時に複雑そうな顔をしたのはそのせいだったのか。
きっと私を不安にさせないようにミラー様はその可能性を黙っていたんだ。
『ったく! だから勝手に居なくなるなよ。側に居なきゃ守れねぇんだから』
少し苛立たしそうに声を荒げるが、発する言葉はとても温かい。
あぁ、でもきっと彼が守るのは私ではなくなるのだろうな。彼が守らなきゃいけないのは、あの優しい穏やかな女の子、ララさんだから。
『……おいっ。聞いてるのかよ』
「聞いてるよ。ありがとう」
『俺こそ怒鳴って悪かった。それで、あいつには変なことされてないのかよ』
「あいつって?」
『……王子だよ』
「…………別に。何もないよ」
さっきの抱きしめられたのは別に特別な意味なんてないもんね。
『なんだよ今の間はっ!! 何かあったのかよ』
「ないってば! 私よりユーリこそララさんと仲良くしてて何もないの? 私なんかに構ってないでララさんと一緒に居た方が良いんじゃない?」
あぁ本当に馬鹿だ。口が勝手に動いてしまうんだからどうしようもない。
通話だからだろうか。面と向かっては聞けないこと、聞きにくかったことをつい言ってしまう。
『お前は……。……お前は、俺があいつとどうにかなって欲しいのかよ』
さっきまで威勢の良かったユーリの声が静かになる。
しかしその静かな声が、静かな怒りを秘めているようで先程のように簡単に口を開けなくなる。
「……別にそういう訳じゃないけど。でもお似合いだなって思う」
これは本当の私の気持ち。私なんかよりよっぽど彼女の方がユーリに相応しいと思う。
ゲームの未来のことを考えると、彼女とユーリが付き合ってしまってはユウが生まれなくなってしまう可能性があるのに。
今のユーリの苦悩をを理解してあげられるのは彼女だけだと思うと、ユーリの幸せには彼女が隣に居てくれた方が良いんだろうなって思ってしまう。
『……そうかよ』
「…………。だってその方がユーリは幸せなんじゃない? 同郷の、自分のことを理解してくれる幼馴染の方が一緒に居て幸せなんじゃない」
『…………。お前の考えは良く分かった』
「…………」
やってしまった。
自分で2人の後押しをしてしまってどうするんだ。
でもそれがユーリの幸せなら、この気づきかけている気持ちに私は蓋をしよう。
私のこの気持ちがユーリの幸せの邪魔をしてしまうなら、いくらでも私はこの気持ちに嘘をつき続けよう。
『お前って……本当馬鹿で分からずやだよな』
「なんですって」
「本当馬鹿……。その馬鹿はいつ治るんだよ」
そう言ってため息をつくユーリ。
『……とにかく、絶対に1人になるなよ。これは絶対だからな』
「分かった。約束する」
『じゃあ気をつけろよ。そっちの問題が解決したらすぐ戻ってくるんだぞ』
「う……ん」
『うん? なんか言いたげだな』
「いや、なんか急に優しいから」
『俺はいつだって優しいだろ』
「ふっ、何それっ」
ユーリの言葉に思わず笑ってしまう。
『お前は余計な事考えずにそうやって笑ってればいいんだよ。分かったか』
「うん……じゃあね」
『ああ。おやすみ』
おやすみか……。たったその一言で1日のゴタゴタが吹き飛んでしまう。
私は声低い方が好きだったんだけどなぁ……。
ユーリの声はまだ成長しきっていないのか、標準的な男性より少し高めの声だ。本当に少年と青年の狭間にいるといった感じがする。
そんな少し高い声を聞くと安心してしまう私はもう彼に落ちてしまっているのだろうか。
そんなことではダメだともう一度自分に言い聞かせる。
あの彼は、ユウのご先祖様になるのだ。
異世界人の自分なんかと一緒になる訳がない。
今はそんなことより、魔王を倒してユウが死ぬ未来がくることがないようにするのが私の目標。
そう自分にもう一度言い聞かせ、眠りについた。
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