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男子中学生が殺したのは
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あるところに中学生の男の子がいた。
男の子は、難関高校受験を目指していた。
学校で真面目に勉強をし、放課後は少し遠くの塾に自転車で通う。
そんな日常を送るある日、自転車が壊れてしまった。
マンションの管理人さんに直せないか見てもらうが、どうしても無理だった。
両親は仕事で忙しい。母に話すと仕事が立て込んでいてすぐに自転車屋には行けないそうだ。
「2週間後には行けそうなんだけど・・・」
母は申し訳なさそうに言った。
2週間なのでバスで行くことも考えたが、塾まで2本バスを乗り継いで行かないといけない。
そこで、シェアサイクルを使うことにした。
ちょうどマンションの裏にサイクルステーションがある。
父と一緒に男の子のスマホで登録した。
次の日、早速ドキドキしながらシェアサイクルを使ってみた。自分のスマホから操作して鍵を外す。
意外と簡単だった。
塾の前に自転車を停め、勉強し、帰ってきた。
帰ってから母に
「シェアサイクル、余裕だったよ」と自慢した。
「そう、問題なさそうで良かったわ」
母はホッと微笑んだ。
しばらくシェアサイクルで塾に通っていたある日のこと、いつもあるはずの自転車が全部なかった。
「え!?なんで?いつも1台は絶対あるのに!」
男の子は焦った。
今からバスだと2本乗り継ぎだから間に合わない。
スマホのアプリから他のサイクルステーションがないか調べ、走って向かう。
幸い、そこには自転車が置いてあった。
男の子は急いで塾に向かった。
時間ギリギリだった。
男の子は慌てて塾の前に自転車を停め、中に駆け込んだ。
少し自転車の列からはみ出してるけどまあ良いだろう。
ギリギリセーフ。
息を整えながら、講義を聞く。
カリカリカリカリ・・・と鉛筆の音と先生の声。
しばらくして、塾の前で車のブレーキ音とドシン!という音がした。
なんだ、なんだ?とクラスのやつらは外を覗きにいった。
「塾の前で事故らしいよ。」
しばらくして救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
「おい、お前も見に行こうぜ」
同じクラスのやつに言われたが僕は
「いや、僕は良いよ、勉強したいから」
と断った。
「相変わらずだな。さすが医者を目指してるだけあるなあ」
と言ってそいつは覗きに行ってしまった。
男の子は、両親と同じ医者になるという夢があった。うちは両親2人とも医者で忙しい。
でも、怪我や病気で苦しむ人を救う両親の姿は憧れだった。
そのため、必死で勉強してるのだ。
塾の前で事故が起きたからって見に行くのは不謹慎だし、自分はたくさん勉強して両親みたいな医者になって多くの人を救うんだ。
その日、帰ってから父と母に、シェアサイクルに自転車がなくて焦ったけど、機転を利かせてギリギリ間に合ったんだよと話した。もうシェアサイクルの達人だよ!と。
次の日、急遽母が早く帰ってきて、自転車屋に行くことになった。塾はお休みの日だ。
車に乗って男の子は、はにかみながら言った。
「仕事忙しかったんでしょ?別に僕はもうシェアサイクルの達人なんだから大丈夫なのに」
「良いのよ。自転車で慌てて事故したら大変だからね」
男の子は母の真面目な横顔を見て頬を染めた。
普段、両親は仕事で忙しい。こうやって車に乗って出かけるのは久しぶりだ。
しかも自分を心配して仕事を調整して自転車屋に連れて行ってくれるなんて…
男の子は、流れていく風景を見ながらはにかむのを堪えきれなかった。
後日、シェアサイクルのアプリを見ると、マンションの裏のサイクルステーションは事故のため1台故障中と書かれていた。
それは、みかん農家を継いだ青年が事故を起こした自転車だったが、男の子がそれを知ることはない。
その後、男の子は難関高校に合格し、大学は第二希望の大学に進んだ。
そして卒業後は両親と同じ医者になり、多くの人を救った。
数十年後、自身も父になったが、多忙のなかでも出来るだけ子供に寄り添うように努めた。
昔、母がしてくれたように。
男の子は、難関高校受験を目指していた。
学校で真面目に勉強をし、放課後は少し遠くの塾に自転車で通う。
そんな日常を送るある日、自転車が壊れてしまった。
マンションの管理人さんに直せないか見てもらうが、どうしても無理だった。
両親は仕事で忙しい。母に話すと仕事が立て込んでいてすぐに自転車屋には行けないそうだ。
「2週間後には行けそうなんだけど・・・」
母は申し訳なさそうに言った。
2週間なのでバスで行くことも考えたが、塾まで2本バスを乗り継いで行かないといけない。
そこで、シェアサイクルを使うことにした。
ちょうどマンションの裏にサイクルステーションがある。
父と一緒に男の子のスマホで登録した。
次の日、早速ドキドキしながらシェアサイクルを使ってみた。自分のスマホから操作して鍵を外す。
意外と簡単だった。
塾の前に自転車を停め、勉強し、帰ってきた。
帰ってから母に
「シェアサイクル、余裕だったよ」と自慢した。
「そう、問題なさそうで良かったわ」
母はホッと微笑んだ。
しばらくシェアサイクルで塾に通っていたある日のこと、いつもあるはずの自転車が全部なかった。
「え!?なんで?いつも1台は絶対あるのに!」
男の子は焦った。
今からバスだと2本乗り継ぎだから間に合わない。
スマホのアプリから他のサイクルステーションがないか調べ、走って向かう。
幸い、そこには自転車が置いてあった。
男の子は急いで塾に向かった。
時間ギリギリだった。
男の子は慌てて塾の前に自転車を停め、中に駆け込んだ。
少し自転車の列からはみ出してるけどまあ良いだろう。
ギリギリセーフ。
息を整えながら、講義を聞く。
カリカリカリカリ・・・と鉛筆の音と先生の声。
しばらくして、塾の前で車のブレーキ音とドシン!という音がした。
なんだ、なんだ?とクラスのやつらは外を覗きにいった。
「塾の前で事故らしいよ。」
しばらくして救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
「おい、お前も見に行こうぜ」
同じクラスのやつに言われたが僕は
「いや、僕は良いよ、勉強したいから」
と断った。
「相変わらずだな。さすが医者を目指してるだけあるなあ」
と言ってそいつは覗きに行ってしまった。
男の子は、両親と同じ医者になるという夢があった。うちは両親2人とも医者で忙しい。
でも、怪我や病気で苦しむ人を救う両親の姿は憧れだった。
そのため、必死で勉強してるのだ。
塾の前で事故が起きたからって見に行くのは不謹慎だし、自分はたくさん勉強して両親みたいな医者になって多くの人を救うんだ。
その日、帰ってから父と母に、シェアサイクルに自転車がなくて焦ったけど、機転を利かせてギリギリ間に合ったんだよと話した。もうシェアサイクルの達人だよ!と。
次の日、急遽母が早く帰ってきて、自転車屋に行くことになった。塾はお休みの日だ。
車に乗って男の子は、はにかみながら言った。
「仕事忙しかったんでしょ?別に僕はもうシェアサイクルの達人なんだから大丈夫なのに」
「良いのよ。自転車で慌てて事故したら大変だからね」
男の子は母の真面目な横顔を見て頬を染めた。
普段、両親は仕事で忙しい。こうやって車に乗って出かけるのは久しぶりだ。
しかも自分を心配して仕事を調整して自転車屋に連れて行ってくれるなんて…
男の子は、流れていく風景を見ながらはにかむのを堪えきれなかった。
後日、シェアサイクルのアプリを見ると、マンションの裏のサイクルステーションは事故のため1台故障中と書かれていた。
それは、みかん農家を継いだ青年が事故を起こした自転車だったが、男の子がそれを知ることはない。
その後、男の子は難関高校に合格し、大学は第二希望の大学に進んだ。
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