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第16話 婚約式、誓いの指先
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王宮・神聖礼拝堂。
太陽の光がステンドグラスを透かして降り注ぎ、まるで祝福のように、白く輝いていた。
「……綺麗、ですね」
「うん。君の方が、もっと綺麗だ」
ディアス様のその言葉に、思わず顔が熱を帯びる。
純白の礼装に身を包んだ私は、緊張と嬉しさで、胸の奥が小さく疼いていた。
本日――
第二王子ディアス・グランゼルとアーデル令嬢レティシア・アーデルとの“王宮認定婚約式”が、正式に執り行われる。
かつて私を「不要」と切り捨てた貴族たちが、今は整列して見守っている。
あの日と同じような舞踏の広間で。けれど、立場も意味も、すべてが違っていた。
*
式の途中。
聖職者が契約の誓いを読み上げるそのとき――ひとりの貴族が声を上げた。
「待ってください! この婚約には再検討の余地があると――」
会場がざわめく。
「レティシア・アーデルは異邦人。王位継承者の隣に立つには、出自の不確かさが……!」
最後の妨害。
だが私は、堂々と一歩前へ進み出た。
「私の出自が不確かだと? では、お聞きします。――それがこの国に、どんな害をもたらしたのですか?」
「……っ」
「私が異邦人であることより、この国を思い、共に進む者であることが何より大切だと――私はそう信じています。
そして、ディアス様もそう言ってくださいました」
「……そうだ。僕が彼女を選んだのは、国のため。そして、僕自身の心のためだ」
ディアス様が私の隣に立ち、強く宣言する。
「誰が否定しようと、僕は彼女を手放すつもりはない。レティシアこそが、我が伴侶だ」
その瞬間、聖職者が微笑み、言葉を続けた。
「王宮は、両名の誓いをもって、この婚約を認め、祝福を与える」
*
――指輪の交換。
ディアス様の手が、私の左手薬指にそっと重なる。
銀の指輪が、ぴたりと嵌まった瞬間、まるで時が止まったかのようだった。
「……ありがとう、レティシア。僕の人生に、来てくれて」
「こちらこそ。貴方に出会えたから、私は……“自分の人生”を歩めたのです」
拍手が響く。
光の中、私はかつて捨てられた名を、誇りとして抱きしめながら微笑んでいた。
この瞬間こそ、私の“ざまぁ”の集大成。
追放された令嬢は今、王宮の中心で、真実の愛と人生を手に入れたのだから。
太陽の光がステンドグラスを透かして降り注ぎ、まるで祝福のように、白く輝いていた。
「……綺麗、ですね」
「うん。君の方が、もっと綺麗だ」
ディアス様のその言葉に、思わず顔が熱を帯びる。
純白の礼装に身を包んだ私は、緊張と嬉しさで、胸の奥が小さく疼いていた。
本日――
第二王子ディアス・グランゼルとアーデル令嬢レティシア・アーデルとの“王宮認定婚約式”が、正式に執り行われる。
かつて私を「不要」と切り捨てた貴族たちが、今は整列して見守っている。
あの日と同じような舞踏の広間で。けれど、立場も意味も、すべてが違っていた。
*
式の途中。
聖職者が契約の誓いを読み上げるそのとき――ひとりの貴族が声を上げた。
「待ってください! この婚約には再検討の余地があると――」
会場がざわめく。
「レティシア・アーデルは異邦人。王位継承者の隣に立つには、出自の不確かさが……!」
最後の妨害。
だが私は、堂々と一歩前へ進み出た。
「私の出自が不確かだと? では、お聞きします。――それがこの国に、どんな害をもたらしたのですか?」
「……っ」
「私が異邦人であることより、この国を思い、共に進む者であることが何より大切だと――私はそう信じています。
そして、ディアス様もそう言ってくださいました」
「……そうだ。僕が彼女を選んだのは、国のため。そして、僕自身の心のためだ」
ディアス様が私の隣に立ち、強く宣言する。
「誰が否定しようと、僕は彼女を手放すつもりはない。レティシアこそが、我が伴侶だ」
その瞬間、聖職者が微笑み、言葉を続けた。
「王宮は、両名の誓いをもって、この婚約を認め、祝福を与える」
*
――指輪の交換。
ディアス様の手が、私の左手薬指にそっと重なる。
銀の指輪が、ぴたりと嵌まった瞬間、まるで時が止まったかのようだった。
「……ありがとう、レティシア。僕の人生に、来てくれて」
「こちらこそ。貴方に出会えたから、私は……“自分の人生”を歩めたのです」
拍手が響く。
光の中、私はかつて捨てられた名を、誇りとして抱きしめながら微笑んでいた。
この瞬間こそ、私の“ざまぁ”の集大成。
追放された令嬢は今、王宮の中心で、真実の愛と人生を手に入れたのだから。
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☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
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