追放令嬢の逆転婚

春夜夢

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第16話 婚約式、誓いの指先

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王宮・神聖礼拝堂。
太陽の光がステンドグラスを透かして降り注ぎ、まるで祝福のように、白く輝いていた。

「……綺麗、ですね」

「うん。君の方が、もっと綺麗だ」

ディアス様のその言葉に、思わず顔が熱を帯びる。
純白の礼装に身を包んだ私は、緊張と嬉しさで、胸の奥が小さく疼いていた。

本日――
第二王子ディアス・グランゼルとアーデル令嬢レティシア・アーデルとの“王宮認定婚約式”が、正式に執り行われる。

かつて私を「不要」と切り捨てた貴族たちが、今は整列して見守っている。
あの日と同じような舞踏の広間で。けれど、立場も意味も、すべてが違っていた。



式の途中。
聖職者が契約の誓いを読み上げるそのとき――ひとりの貴族が声を上げた。

「待ってください! この婚約には再検討の余地があると――」

会場がざわめく。

「レティシア・アーデルは異邦人。王位継承者の隣に立つには、出自の不確かさが……!」

最後の妨害。
だが私は、堂々と一歩前へ進み出た。

「私の出自が不確かだと? では、お聞きします。――それがこの国に、どんな害をもたらしたのですか?」

「……っ」

「私が異邦人であることより、この国を思い、共に進む者であることが何より大切だと――私はそう信じています。
そして、ディアス様もそう言ってくださいました」

「……そうだ。僕が彼女を選んだのは、国のため。そして、僕自身の心のためだ」

ディアス様が私の隣に立ち、強く宣言する。

「誰が否定しようと、僕は彼女を手放すつもりはない。レティシアこそが、我が伴侶だ」

その瞬間、聖職者が微笑み、言葉を続けた。

「王宮は、両名の誓いをもって、この婚約を認め、祝福を与える」



――指輪の交換。

ディアス様の手が、私の左手薬指にそっと重なる。
銀の指輪が、ぴたりと嵌まった瞬間、まるで時が止まったかのようだった。

「……ありがとう、レティシア。僕の人生に、来てくれて」

「こちらこそ。貴方に出会えたから、私は……“自分の人生”を歩めたのです」

拍手が響く。
光の中、私はかつて捨てられた名を、誇りとして抱きしめながら微笑んでいた。

この瞬間こそ、私の“ざまぁ”の集大成。

追放された令嬢は今、王宮の中心で、真実の愛と人生を手に入れたのだから。
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