31 / 43
好き、だけじゃ足りない
しおりを挟む
会えた。
たったそれだけのことが、こんなにも心を満たすなんて、思っていなかった。
瀬川さんは、驚いた顔をして、でもすぐに笑ってくれた。
その笑顔に触れた瞬間、ずっと張りつめていた何かがふっとほどけた。
「……会いに来た」
それが、やっとの想いだった。
けれど、それだけでは足りなかった。
彼女の隣に座って、言葉を交わして――それだけで嬉しいはずなのに、
胸の奥では、別の感情が静かに膨らんでいく。
“この想いを、伝えたい”
今までは、「この時間を守りたい」「そばにいたい」で十分だった。
でも、今日あらためて会ってしまったことで、もうそれでは済まされなくなった。
彼女の表情が浮かぶたびに、心が締めつけられる。
誰より大切で、離れたくないって、そう思う。
けれど、言葉が出てこない。
好き、なんて簡単な言葉じゃ、たぶん足りない。
彼女がどれだけ強くなろうとしていたか、
どれだけ“誰かを信じること”に勇気を出してくれたか――
それを知っているからこそ、言葉選びを間違えたくなかった。
「真木くん?」
瀬川さんが、そっと僕の顔を覗き込む。
その瞳に、少しだけ心配の色がにじんでいた。
「……なんでもないよ」
そう言いながら、僕は決意する。
――今じゃなくても、いい。
でも、必ず言おう。
彼女にちゃんと、僕の言葉で、気持ちを伝えよう。
それは、僕自身のためでもあり、
彼女がくれた時間に報いるためでもあった。
たったそれだけのことが、こんなにも心を満たすなんて、思っていなかった。
瀬川さんは、驚いた顔をして、でもすぐに笑ってくれた。
その笑顔に触れた瞬間、ずっと張りつめていた何かがふっとほどけた。
「……会いに来た」
それが、やっとの想いだった。
けれど、それだけでは足りなかった。
彼女の隣に座って、言葉を交わして――それだけで嬉しいはずなのに、
胸の奥では、別の感情が静かに膨らんでいく。
“この想いを、伝えたい”
今までは、「この時間を守りたい」「そばにいたい」で十分だった。
でも、今日あらためて会ってしまったことで、もうそれでは済まされなくなった。
彼女の表情が浮かぶたびに、心が締めつけられる。
誰より大切で、離れたくないって、そう思う。
けれど、言葉が出てこない。
好き、なんて簡単な言葉じゃ、たぶん足りない。
彼女がどれだけ強くなろうとしていたか、
どれだけ“誰かを信じること”に勇気を出してくれたか――
それを知っているからこそ、言葉選びを間違えたくなかった。
「真木くん?」
瀬川さんが、そっと僕の顔を覗き込む。
その瞳に、少しだけ心配の色がにじんでいた。
「……なんでもないよ」
そう言いながら、僕は決意する。
――今じゃなくても、いい。
でも、必ず言おう。
彼女にちゃんと、僕の言葉で、気持ちを伝えよう。
それは、僕自身のためでもあり、
彼女がくれた時間に報いるためでもあった。
0
あなたにおすすめの小説
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
敏腕SEの優しすぎる無償の愛
春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる