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第三部「継ぐ者の光、試される未来」
第1話:名の重さと、母の影
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王都に春が訪れる頃、エリアは七歳になった。
「お母様、“また言われたの”」
午後の書斎。
レイナは書簡をまとめていた手を止め、娘の声に顔を上げた。
エリアは白いリボンの髪を揺らしながら、ふくれっ面で立っていた。
「また“王になるんでしょ”って。
わたし、“王になんかなりたくない”って言ったら、“へんな子”って言われたの」
レイナは、小さく息をついて微笑んだ。
「エリア。あなたが“なりたくない”と思ったことは、ならなくていいのよ。
それがどんなに立派に見えることであっても、“自分の心”が一番大事」
「でも、お母様は“王宮で一番偉い女の人”って言われてる」
「それは……」
レイナは、ふと過去を思い出した。
血を流すことなく、命を守った日々。
声を武器にし、剣よりも深く人の心を動かした記録。
――でも、それは“生きるために戦っただけ”だった。
「私は、戦いたくなかった。
でも、あなたを守るために、やるしかなかったのよ」
エリアは少しだけ黙り込み、机に手を添えた。
「……わたし、強くなれるのかな」
「なれなくてもいいの。でも、優しくはあってほしい」
その言葉に、エリアは小さくうなずいた。
「……わたし、そっちのほうが得意かも」
「ええ。お父様にそっくりですもの」
* * *
一方その頃――
王政庁の奥、外交局にて。
アレクシスは一枚の報告書を前に、目を細めていた。
> 《東方連邦より、王家の血を引く姫君の入宮打診あり》
> 《表向きは“文化交流”だが、実際は“次代王妃候補”としての視察》
> 《相手はレイナ嬢の娘・エリアと“並べる存在”として着座を希望》
「……始まったか」
彼の手元のペンが、カツンと机を打った。
この国が“言葉の政”を築いた今――
次に試されるのは、“それを守れるかどうか”。
“レイナと自分の築いたもの”が、
娘に向けられる“好奇と干渉”を防げるだけの盾になり得るか――
アレクシスは、深く椅子にもたれた。
「エリア。……君の生きる未来を、今度は僕が切り拓こう」
「お母様、“また言われたの”」
午後の書斎。
レイナは書簡をまとめていた手を止め、娘の声に顔を上げた。
エリアは白いリボンの髪を揺らしながら、ふくれっ面で立っていた。
「また“王になるんでしょ”って。
わたし、“王になんかなりたくない”って言ったら、“へんな子”って言われたの」
レイナは、小さく息をついて微笑んだ。
「エリア。あなたが“なりたくない”と思ったことは、ならなくていいのよ。
それがどんなに立派に見えることであっても、“自分の心”が一番大事」
「でも、お母様は“王宮で一番偉い女の人”って言われてる」
「それは……」
レイナは、ふと過去を思い出した。
血を流すことなく、命を守った日々。
声を武器にし、剣よりも深く人の心を動かした記録。
――でも、それは“生きるために戦っただけ”だった。
「私は、戦いたくなかった。
でも、あなたを守るために、やるしかなかったのよ」
エリアは少しだけ黙り込み、机に手を添えた。
「……わたし、強くなれるのかな」
「なれなくてもいいの。でも、優しくはあってほしい」
その言葉に、エリアは小さくうなずいた。
「……わたし、そっちのほうが得意かも」
「ええ。お父様にそっくりですもの」
* * *
一方その頃――
王政庁の奥、外交局にて。
アレクシスは一枚の報告書を前に、目を細めていた。
> 《東方連邦より、王家の血を引く姫君の入宮打診あり》
> 《表向きは“文化交流”だが、実際は“次代王妃候補”としての視察》
> 《相手はレイナ嬢の娘・エリアと“並べる存在”として着座を希望》
「……始まったか」
彼の手元のペンが、カツンと机を打った。
この国が“言葉の政”を築いた今――
次に試されるのは、“それを守れるかどうか”。
“レイナと自分の築いたもの”が、
娘に向けられる“好奇と干渉”を防げるだけの盾になり得るか――
アレクシスは、深く椅子にもたれた。
「エリア。……君の生きる未来を、今度は僕が切り拓こう」
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