『この想いは、君に届かないと知っていた。』

春夜夢

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第4話『崩れる距離、ほどける心』

教室の窓の向こうで、春の風がカーテンを揺らしていた。

だけど、その風は俺たちの間にも吹いている気がした。

──最近、一真が少し、よそよそしい。

目が合わない。
話しかけても短く返される。
一緒に帰るのも、なんとなく避けられて。

(どうして? 何か、俺……した?)

不安が胸を締めつける。


---

その日の放課後、
廊下で一真がクラスメイトの女子と話しているのが見えた。

別に、それだけなら平気だった。

けれど、女子が嬉しそうに笑い、
一真が少しだけ笑い返したその瞬間――
胸が、苦しくて、息が詰まった。

(こんな気持ち、知らなかった)

恋って、こんなにも苦しいんだ。


---

その夜。
俺からはLINEを送れず、ベッドに寝転んだままスマホを握っていた。

不安で、寂しくて、どうしようもなかった。

(ねえ……俺たち、終わっちゃうの?)


---

次の日、下校途中に後ろから腕を掴まれた。

「……氷川」

振り返ると、そこにいたのは、息を切らした一真だった。

「……話、させてくれ」

公園のベンチで、俺たちは並んで座った。

「おまえに、ふさわしくないって……思っちまってた」

「……は?」

「頭もいいし、ちゃんとしてて……
 なのに俺は、何も持ってない」

「そんなことで、俺を避けてたの?」

「……怖かったんだよ。おまえを、好きになりすぎて」

その言葉に、胸がいっぱいになる。

「……バカ。一真がいない方が、怖かったよ」

気づけば、俺の方から抱きついていた。

「……好きだよ。一真の全部が、好き」

「……俺も。もう、逃げない」


---

家に戻ると、ふたりは自然に身体を重ねていた。

キスを交わしながら、
服を脱がせ合って、ベッドに沈む。

「ちゃんと、確かめたい……
 おまえがここにいるって、全部で」

「うん……俺も……して……欲しい……」

乳首に舌が這い、
指が滑らかに花の奥を探る。

「やっ……ん、くっ……あっ……!」

しっかりと準備を終えると、
熱が押し当てられ、ずぷ、と沈み込んでくる。

「……はぁっ……一真……!」

「氷川の中、あったけぇ……好き……」

ゆっくりと腰を打ちつけながら、
何度も名前を呼び合い、
ふたりはひとつになっていった。


---

行為のあと、シーツの中で抱き合ったまま、
俺はそっと呟いた。

「……すれ違っても、もう離さないでね」

「絶対、離さない。……おまえは俺の全部だから」


---

🌙 次回:第5話『手をつなぐ、その先に』へつづく
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