『この想いは、君に届かないと知っていた。』

春夜夢

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第9話『それでも、君が笑うなら』

それから、一真は学校に来なかった。

停学処分が解けたはずの日にも、教室の席は空いたまま。
誰も何も言わなかった。
けれど、それが“終わり”を示しているようで――
俺は、ただ静かに日常に紛れていた。

放課後の帰り道、並んで歩く影もない。
スマホを開いても、あの日以来、通知はなかった。

だけど、消せない。
あの夜、一真が俺を抱きしめて言った言葉。

> 「おまえは、俺の最後の場所だ」



“最後”なんて、まだ言わせない。


---

数日後の朝、昇降口の前で、誰かの視線を感じて顔を上げた。

そこに立っていたのは、一真だった。

制服をきちんと着て、髪を整えて。
少し痩せたように見えたけど、瞳はまっすぐで、
俺を見ていた。

「……久しぶり」

「……遅いよ」

「……悪かった。
 けど、おまえにだけは、ちゃんと向き合いたかった」

「じゃあ、ちゃんと……言葉で、聞かせてよ」

彼は一歩近づき、俺の手を取った。

「俺は、もう逃げない。
 何を言われても、誰にどう思われても――
 おまえを、ちゃんと好きでいさせてくれ」

心の中で、何かが溶けていった。

涙が出そうで、でも笑ってしまって、
俺はぎゅっと彼の手を握り返した。

「……こっちこそ、ちゃんと好きでいさせて」


---

その夜。
久しぶりの、一真の部屋。

お互いに、どこかぎこちなく、でも止まらなかった。

そっと服を脱がせ合い、
胸元に触れ、唇を落とし、
熱が重なっていく。

「久しぶりすぎて……ドキドキすんだよ、こっちが」

「……俺も、ちょっと緊張してる」

キスは丁寧で、少し震えていて、
けれど確かに“恋人のもの”だった。

指でゆっくり愛撫され、
脚を開き、ローションの感触に全身が熱を持つ。

「ひぁっ……そこ、もっと……」

「ん……久しぶりなのに、感じすぎ」

「ばか……だって……好きすぎるから……っ」

一真の熱が、ゆっくりと沈み込み、
中で脈打ちながら、奥まで満たしていく。

「ああっ……一真……もっと……っ」

腰が打ちつけられ、
ふたりの息遣いが重なり、
甘く、熱く、交わっていった。


---

果てたあと、俺たちは布団の中で寄り添っていた。

「……これからは、何があってもちゃんと話そう」

「うん。もう、怖がって離れない」

(だって、やっと取り戻したこの手を、
 二度と離したくないから)


---

🌙 次回:第10話『ふたりだけの、未来の話をしよう』へつづく
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