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カーテンの隙間から、やわらかな朝の光が差し込んでいた。
窓辺の空気はほんのり冷たくて、夜のぬくもりをそのまま引きずっているようだった。
事務所のソファの上。
陽翔と蓮は、昨夜と同じように並んで眠っていた。
陽翔はゆっくりとまぶたを開けた。
最初に目に入ったのは、近すぎる距離にある蓮の横顔だった。
静かに眠るその姿を、しばらく何も考えずに見つめてしまう。
(……寝顔、ずるいな)
(ちょっとだけ無防備な顔、好きすぎる)
昨日よりも、胸がずっと静かで、それでいて心の奥が満ちている。
好きな人と朝を迎えるというのは、こんなにも穏やかで、甘いものなのかと――
陽翔はしみじみと感じていた。
「……なに見てんだよ」
「っ! 起きてたの!?」
「……うるさい、声でけぇ」
蓮が少し目を開け、眠たげな声でぼそりと返す。
かすれた声が、朝の静けさにやわらかく混ざる。
その声だけで、胸がじんわりとあたたかくなる。
「……おはよ、蓮さん」
「……おはよ」
短い言葉。
でも、その一言だけで、もう十分だった。
*
ふたりはそのまま、しばらく動かずにいた。
ソファの上で寄り添ったまま、朝の空気を吸い込む。
夜の余韻が残る、やわらかい時間。
「……まだ起きなくていい?」
「お前が静かにしてりゃな」
「うわ、ひどい。でも優しい声」
「うるせぇ」
蓮は眉をしかめながらも、陽翔を軽く引き寄せた。
腕の中に包まれる感覚に、陽翔の体がとろけそうになる。
夜とは違う――けれど、朝ならではの“優しい近さ”。
「……あったかい」
「……お前が冷たいだけだろ」
「ね、毎朝こうだったらいいのに」
蓮は目を閉じたまま、ため息を一つ。
でも、腕は離さない。
陽翔はその温度に、そっと笑った。
*
「……なあ」
「ん」
「俺、朝のこの時間、すごい好き」
「……まだ二日目だろ」
「だからこそ、だよ」
陽翔は顔を少し上げて、蓮の目を見た。
蓮もその視線を受け止め、静かに見返す。
夜のときよりも素直な空気が、朝にはあった。
「……なに」
「好きだなって思って」
「……朝から言うなよ、そういうの」
「でも言いたいんだもん」
蓮は視線を逸らし、小さく呟いた。
「……バカ」
けれどその声は、昨夜よりもずっと甘かった。
*
しばらくして、ふたりは身を起こした。
事務所の窓から入る朝の光が、ふたりを包み込む。
昨日までと同じ朝なのに、世界がやけに優しく見える。
コーヒーを淹れる蓮の背中を、陽翔はぼんやりと眺めていた。
ただそれだけの光景が、もう特別に見える。
「……なに見てんだ」
「ん~、恋人の背中?」
「……言い方がキモい」
「えっひどい。でも顔はちょっと照れてるよ」
「……うるせぇ」
陽翔が近づいて、カップを受け取る。
指がかすかに触れ合う。
その一瞬のぬくもりが、胸の奥を甘く震わせた。
「……今日も一緒に行こうね」
「……当たり前だろ」
その“当たり前”が、嬉しい。
ふたりの恋が、特別な夜を越えて、日常に溶けていく。
この“普通”が、今いちばん幸せな時間だった。
🕊️ 第29話 予告:「恋人のまま、日常へ」
夜と朝を越えて、ふたりの関係は自然に日常へと馴染んでいく。
視線、言葉、距離――すべてが静かに恋の色を帯びていく。
窓辺の空気はほんのり冷たくて、夜のぬくもりをそのまま引きずっているようだった。
事務所のソファの上。
陽翔と蓮は、昨夜と同じように並んで眠っていた。
陽翔はゆっくりとまぶたを開けた。
最初に目に入ったのは、近すぎる距離にある蓮の横顔だった。
静かに眠るその姿を、しばらく何も考えずに見つめてしまう。
(……寝顔、ずるいな)
(ちょっとだけ無防備な顔、好きすぎる)
昨日よりも、胸がずっと静かで、それでいて心の奥が満ちている。
好きな人と朝を迎えるというのは、こんなにも穏やかで、甘いものなのかと――
陽翔はしみじみと感じていた。
「……なに見てんだよ」
「っ! 起きてたの!?」
「……うるさい、声でけぇ」
蓮が少し目を開け、眠たげな声でぼそりと返す。
かすれた声が、朝の静けさにやわらかく混ざる。
その声だけで、胸がじんわりとあたたかくなる。
「……おはよ、蓮さん」
「……おはよ」
短い言葉。
でも、その一言だけで、もう十分だった。
*
ふたりはそのまま、しばらく動かずにいた。
ソファの上で寄り添ったまま、朝の空気を吸い込む。
夜の余韻が残る、やわらかい時間。
「……まだ起きなくていい?」
「お前が静かにしてりゃな」
「うわ、ひどい。でも優しい声」
「うるせぇ」
蓮は眉をしかめながらも、陽翔を軽く引き寄せた。
腕の中に包まれる感覚に、陽翔の体がとろけそうになる。
夜とは違う――けれど、朝ならではの“優しい近さ”。
「……あったかい」
「……お前が冷たいだけだろ」
「ね、毎朝こうだったらいいのに」
蓮は目を閉じたまま、ため息を一つ。
でも、腕は離さない。
陽翔はその温度に、そっと笑った。
*
「……なあ」
「ん」
「俺、朝のこの時間、すごい好き」
「……まだ二日目だろ」
「だからこそ、だよ」
陽翔は顔を少し上げて、蓮の目を見た。
蓮もその視線を受け止め、静かに見返す。
夜のときよりも素直な空気が、朝にはあった。
「……なに」
「好きだなって思って」
「……朝から言うなよ、そういうの」
「でも言いたいんだもん」
蓮は視線を逸らし、小さく呟いた。
「……バカ」
けれどその声は、昨夜よりもずっと甘かった。
*
しばらくして、ふたりは身を起こした。
事務所の窓から入る朝の光が、ふたりを包み込む。
昨日までと同じ朝なのに、世界がやけに優しく見える。
コーヒーを淹れる蓮の背中を、陽翔はぼんやりと眺めていた。
ただそれだけの光景が、もう特別に見える。
「……なに見てんだ」
「ん~、恋人の背中?」
「……言い方がキモい」
「えっひどい。でも顔はちょっと照れてるよ」
「……うるせぇ」
陽翔が近づいて、カップを受け取る。
指がかすかに触れ合う。
その一瞬のぬくもりが、胸の奥を甘く震わせた。
「……今日も一緒に行こうね」
「……当たり前だろ」
その“当たり前”が、嬉しい。
ふたりの恋が、特別な夜を越えて、日常に溶けていく。
この“普通”が、今いちばん幸せな時間だった。
🕊️ 第29話 予告:「恋人のまま、日常へ」
夜と朝を越えて、ふたりの関係は自然に日常へと馴染んでいく。
視線、言葉、距離――すべてが静かに恋の色を帯びていく。
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