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第20話『王女の密命と、禁断の迷宮都市』
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「久しぶりですね、リク・アークライト殿」
そう声をかけてきたのは、王都の宮廷から極秘でやってきた
王女アメリア・フォン・ルクレール――
王国の第一王位継承者であり、かつて少しだけ顔を合わせたことがある人物だった。
「今回、あなたに依頼したいのは“迷宮都市ルザリア”の調査です」
「ルザリア……?」
それは、かつて栄華を誇った都市国家でありながら、
ある日突然、地中に“沈んだ”とされる禁断の地。
「現在、調査隊の連絡が途絶えています。
しかも、周囲では“魔素の異常増幅”が観測されている」
「つまり、ただの探索任務じゃないってことか」
「そのとおり。あなたの力が必要なのです」
王女はまっすぐ俺を見て、静かに言った。
「そしてもうひとつ。……この任務には、王国の“後継者選定”という裏の意味もある」
「後継者って、王女殿下がいるじゃ――」
「私は、“子を産めない身体”なのです」
静まり返る部屋。
「私の“代わり”に王家の血を残せる者。
……その条件を、あなたはすべて満たしている」
「は?」
「リク・アークライト。
私はあなたに、“王家の花婿候補”としての素質も見ています」
(またか!!!)
---
王女アメリアの同行のもと、
リク一行は迷宮都市ルザリア跡地に向かう。
到着したのは、地面に大穴が穿たれた荒涼の地。
かつて存在した街並みの痕跡すら消え、魔力の歪みだけが空間をねじ曲げていた。
「リク、この魔素……普通じゃないわ」
リュミエールが周囲を見回す。
「ここには、“異世界由来の干渉”が起きてる可能性がある」
「異世界……?」
そのとき、ノアが叫んだ。
「リクさまっ! 地面がっ――!」
足元が崩れ、全員が光の渦に呑まれた。
---
気がつくと、リクたちは広大な地下空間に落ちていた。
石畳の通路、歪んだ空間、浮遊する古代ルーン――
「ここが、ルザリアの“迷宮核”……!」
エリザベートが息を呑む。
「この中枢に、異世界の“侵食者”が潜んでいる可能性がある」
「つまり、ボスがいるってことか……」
リクは剣を握りしめた。
だがそのとき、背後からふわっと香る匂い。
「ふふ……まさか迷宮都市で“新婚旅行”できるなんて」
「王女殿下!?」
「この旅が無事終わったら、“プロポーズ”、お待ちしておりますわ」
(いやいやいやいやいやああああ!!!)
---
◆次回予告
第21話『迷宮の主と、異世界からの囁き』
そう声をかけてきたのは、王都の宮廷から極秘でやってきた
王女アメリア・フォン・ルクレール――
王国の第一王位継承者であり、かつて少しだけ顔を合わせたことがある人物だった。
「今回、あなたに依頼したいのは“迷宮都市ルザリア”の調査です」
「ルザリア……?」
それは、かつて栄華を誇った都市国家でありながら、
ある日突然、地中に“沈んだ”とされる禁断の地。
「現在、調査隊の連絡が途絶えています。
しかも、周囲では“魔素の異常増幅”が観測されている」
「つまり、ただの探索任務じゃないってことか」
「そのとおり。あなたの力が必要なのです」
王女はまっすぐ俺を見て、静かに言った。
「そしてもうひとつ。……この任務には、王国の“後継者選定”という裏の意味もある」
「後継者って、王女殿下がいるじゃ――」
「私は、“子を産めない身体”なのです」
静まり返る部屋。
「私の“代わり”に王家の血を残せる者。
……その条件を、あなたはすべて満たしている」
「は?」
「リク・アークライト。
私はあなたに、“王家の花婿候補”としての素質も見ています」
(またか!!!)
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王女アメリアの同行のもと、
リク一行は迷宮都市ルザリア跡地に向かう。
到着したのは、地面に大穴が穿たれた荒涼の地。
かつて存在した街並みの痕跡すら消え、魔力の歪みだけが空間をねじ曲げていた。
「リク、この魔素……普通じゃないわ」
リュミエールが周囲を見回す。
「ここには、“異世界由来の干渉”が起きてる可能性がある」
「異世界……?」
そのとき、ノアが叫んだ。
「リクさまっ! 地面がっ――!」
足元が崩れ、全員が光の渦に呑まれた。
---
気がつくと、リクたちは広大な地下空間に落ちていた。
石畳の通路、歪んだ空間、浮遊する古代ルーン――
「ここが、ルザリアの“迷宮核”……!」
エリザベートが息を呑む。
「この中枢に、異世界の“侵食者”が潜んでいる可能性がある」
「つまり、ボスがいるってことか……」
リクは剣を握りしめた。
だがそのとき、背後からふわっと香る匂い。
「ふふ……まさか迷宮都市で“新婚旅行”できるなんて」
「王女殿下!?」
「この旅が無事終わったら、“プロポーズ”、お待ちしておりますわ」
(いやいやいやいやいやああああ!!!)
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◆次回予告
第21話『迷宮の主と、異世界からの囁き』
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