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第23話(最終話):戴冠の花嫁、白き終幕
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王都の空に、鐘が鳴り響く。
本日――ルーベルト公爵家嫡男、ユリウス・ルーベルトと、伯爵令嬢クラリス・エルフォードの正式な婚約式が執り行われる。
会場となったのは、王宮に最も近い大聖堂。
王族も列席し、政界・社交界の名士たちが一堂に会する中、主役であるクラリスは純白のドレスに身を包み、静かに式の開始を待っていた。
(私の物語は、ずっと“誰かに選ばれる”側だった。けれど今は――)
控え室の扉がノックされる。
「入って」
現れたのは、黒の礼服姿のノアだった。
「……どうだ、緊張してるか?」
「当然でしょう? 人生で一番大きな舞台なんだから」
微笑むクラリスの顔に、迷いはなかった。
ノアはそっと一歩近づくと、手のひらで彼女の肩に触れた。
「君が選んだ道なら、俺は何も言わない。ただ……あの時、君のために剣を抜いたことだけは、一生の誇りだ」
「ありがとう。あなたがずっとそばにいてくれたから、私はここまで来られたのよ」
ふたりは目を合わせて、静かに微笑み合った。
「……行きなさい、クラリス。“主役”が遅れるわけにはいかない」
厳かな鐘の音と共に、クラリスはバージンロードを歩き出す。
純白のドレスの裾が揺れ、その姿はまるで戴冠の姫君。
しかしその瞳には、“王冠をいただく覚悟”ではなく、“世界と並び立つ覚悟”が宿っていた。
壇上で待つユリウスが、彼女に手を差し出す。
「ようこそ、クラリス。君と共に歩むことが、私の光栄だ」
「こちらこそ、閣下――いえ、ユリウス。私は、あなたと共に“国を育てる”未来を選びます」
聖職者が婚約の誓いを告げると、拍手と歓声が堂内を満たした。
式の後。
クラリスはテラスに出て、王都を一望していた。
(私はようやく、“運命を操る側”になれた。でも、それは終わりじゃない)
隣に立ったユリウスが尋ねる。
「君は、今幸せか?」
クラリスは、迷わずこう答えた。
「ええ。ようやく、私自身の名前で未来を語れるようになったから」
王国に嵐を呼び、社交界を揺るがし、政敵を退け、影の組織すらも振り切った“紅薔薇の令嬢”――
その名は今や、次代の国母候補として語られる存在となった。
けれどクラリス・エルフォードは、今日も変わらず、前を見て歩き続ける。
未来を選ぶために。
誰かのためではなく、自分の意志で、咲き誇るために――
──完──
本日――ルーベルト公爵家嫡男、ユリウス・ルーベルトと、伯爵令嬢クラリス・エルフォードの正式な婚約式が執り行われる。
会場となったのは、王宮に最も近い大聖堂。
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(私の物語は、ずっと“誰かに選ばれる”側だった。けれど今は――)
控え室の扉がノックされる。
「入って」
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ふたりは目を合わせて、静かに微笑み合った。
「……行きなさい、クラリス。“主役”が遅れるわけにはいかない」
厳かな鐘の音と共に、クラリスはバージンロードを歩き出す。
純白のドレスの裾が揺れ、その姿はまるで戴冠の姫君。
しかしその瞳には、“王冠をいただく覚悟”ではなく、“世界と並び立つ覚悟”が宿っていた。
壇上で待つユリウスが、彼女に手を差し出す。
「ようこそ、クラリス。君と共に歩むことが、私の光栄だ」
「こちらこそ、閣下――いえ、ユリウス。私は、あなたと共に“国を育てる”未来を選びます」
聖職者が婚約の誓いを告げると、拍手と歓声が堂内を満たした。
式の後。
クラリスはテラスに出て、王都を一望していた。
(私はようやく、“運命を操る側”になれた。でも、それは終わりじゃない)
隣に立ったユリウスが尋ねる。
「君は、今幸せか?」
クラリスは、迷わずこう答えた。
「ええ。ようやく、私自身の名前で未来を語れるようになったから」
王国に嵐を呼び、社交界を揺るがし、政敵を退け、影の組織すらも振り切った“紅薔薇の令嬢”――
その名は今や、次代の国母候補として語られる存在となった。
けれどクラリス・エルフォードは、今日も変わらず、前を見て歩き続ける。
未来を選ぶために。
誰かのためではなく、自分の意志で、咲き誇るために――
──完──
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