魔女とキスのレシピ

春夜夢

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第17話 さよならは言わない、また会うその日まで

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春の陽差しが校庭に差し込む。
制服の最後の日。
リボンも、スカートのすそも、どこか特別に見えた。

「ルカ」

名前を呼ばれて振り返ると、ユノがいた。
いつもと変わらない笑顔。
でも、その奥にある微かな震えは、ルカにだけはわかっていた。

「……いよいよだね」

「うん。卒業、なんて実感ないけど……それでも、時間はちゃんと進むんだね」

ふたりで歩いた中庭。
手を繋いで歩いた帰り道。
あのベンチ。あの教室。
全部、思い出のなかに沈んでいく。

卒業式は粛々と進んだ。
名前を呼ばれ、壇上で証書を受け取る。

(この紙は、過去を証明するものじゃない。
これから歩いていく未来に、自分で意味をつけていくもの)

目を閉じて、深呼吸する。
そして、ゆっくりと前を向いた。

式が終わり、校舎の裏の桜並木。
人の少ない場所を選んで、ふたりは最後の時間を過ごす。

「手紙、書くよ。毎週、ちゃんと送る」

「うん。私も。絶対にサボらない」

「でもさ、やっぱりちょっとだけ——泣いてもいい?」

ユノがそう言った瞬間、ルカの目にも熱がこみ上げた。

「泣いていいよ。……でも、私は“さよなら”って言わない」

「私も。
“また会うその日まで”……ううん、“いつかじゃなく、絶対に”会うって決めたから」

桜の花びらが、ふたりの肩に静かに降りる。
それを払いもせず、ただそっと顔を近づけた。

最後の制服姿でのキスは、
どこまでも優しくて、どこまでも強かった。

「いってきます」

「いってらっしゃい」

この言葉が、ふたりの“別れの挨拶”だった。

涙の代わりに、ふたりの背中には——
“信じる気持ち”という羽根が、そっと差し伸べられていた。

そして、ふたりの物語はまだ終わらない。
——未来というページの先に、きっとまた続きがあると信じて。
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