魔女とキスのレシピ

春夜夢

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第19話 触れた瞬間、全部の寂しさが溶けていった

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駅前の広場。
石畳の道の向こうに、見覚えのあるシルエットが立っていた。

銀髪が風に揺れている。
姿勢は少しだけそわそわしていて、落ち着きがなかった。

(……ユノ)

ルカの心臓が跳ねた。

こんなにも長く感じた数ヶ月が、
たった数歩で縮まっていく。

「……ユノ!」

声が出た瞬間、ユノが振り向いた。

一瞬、驚いた顔をして、それから、あの懐かしい笑顔。

「ルカ!」

駆け寄って、迷いもなく抱きしめ合う。

腕の中のぬくもり。
手の感触。
頬に当たる呼吸。

すべてが、思っていたより優しくて、あたたかくて。

「……信じられない。ほんとに会えたんだ」

「うん。夢じゃないよ」

「……私、泣いちゃうかと思った」

「泣いてもいいよ」

「……でも、泣かなかった。だって、嬉しすぎて、それどころじゃなかったから」

ふたりで街を歩く。
カフェに入って、向かい合って座るだけで、心が弾んだ。

「なんかさ……顔、ちょっと変わった?」

「そう?」

「少し、大人っぽくなった気がする」

「ユノも。……でも、目だけはずっと同じ」

夕暮れ、少し人の少ない川沿い。

「ねえ、今日はさ」

「うん?」

「帰りたくない」

ユノの指が、そっとルカの指を絡める。

「今夜だけは、ルカの隣にいたい」

ルカはその言葉に、ゆっくりと頷いた。

「……泊まりに来て。私の部屋、ちゃんと片付けてあるから」

ユノが笑う。
その笑顔は、昔よりずっと大人びていて、それでも変わらず愛しかった。

触れ合った瞬間、全部の寂しさが溶けた。

ふたりはまた、恋人として新しい時間を重ね始めた。

──そして夜が、やさしく降りてくる。
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