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第2話『剣の教え、身体の教え』
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その夜。
レオンは王城内の訓練場ではなく、王子ユリウス直属の「私室訓練所」へと呼び出されていた。
「ここは……本当に訓練場、ですか……?」
敷き詰められた緋色の絨毯、薄い香の匂い。
窓際には燭台が揺れ、影が壁に揺らめいている。
その中心で、ユリウスは剣ではなく、グラスを片手に立っていた。
「剣術は既に見た。……次は、“身体の使い方”を教えてやる」
レオンは一瞬、意味がわからず黙り込む。
「……は」
「体術だ。護衛として動くなら、剣以外の攻防も心得よ。……ここへ来い」
ユリウスが指で軽く顎を指す。
まるで、犬を呼ぶような仕草。レオンは躊躇いながらもその前へ進み出た。
「まず、脱げ」
「……えっ」
「動きやすくするためだ。何を想像した?」
その一言にレオンの頬が赤く染まる。だが、命令には逆らえない。
ゆっくりと、濡れた上着を脱ぎ、シャツのボタンに手をかける。
――ユリウスの目が、それをじっと見つめていた。
(なぜ、こんなに視線を感じる……)
シャツが床に落ち、白い肌が露わになる。
雨に濡れた髪が頬に貼りつき、胸元に汗が浮く。
ユリウスは、指先をレオンの肩に置いた。
「力を抜け。動きを読むのは、力任せではなく“感覚”だ」
その言葉を口にしながらも、触れる手は滑るように鎖骨から肩甲骨へ。
くすぐったいような、熱を帯びた感覚に、レオンの呼吸が僅かに乱れる。
「お前……ここが弱いのか?」
ユリウスは、意地悪く肩をなぞる。
「ひっ……いえ、別に……っ」
だが、その声に艶が混ざったのを、ユリウスは見逃さなかった。
(やはり……この身体は、触れると面白い)
そう思いながら、背後からレオンを抱くように腕を回す。
耳元に口を寄せて囁いた。
「……敵にこうされたら、お前は抵抗できるか?」
「…………っ」
ユリウスの指が、腹筋の脇を滑り落ち、腰骨の際を撫でる。
レオンの身体が反応しそうになるのを、必死に抑えながら、彼は答えを探していた。
「……お、俺は……訓練として、耐えます……!」
ユリウスは笑った。
その声音には、珍しく色気が混じっていた。
「……なら、もっと教えてやろう。お前の“急所”の守り方をな」
そのまま、唇が首筋にかすかに触れた。
レオンの心臓が跳ね上がる。
(これは……本当に、“訓練”なのか……?)
わからない。
けれど今、王子の腕の中で、熱と羞恥と……それ以上の何かが、身体を包み込んでいた。
🔚 続く…
次回:
ユリウスの“訓練”は、夜ごと深まっていく。
忠誠とは、剣だけで誓うものではなかった――。
レオンは王城内の訓練場ではなく、王子ユリウス直属の「私室訓練所」へと呼び出されていた。
「ここは……本当に訓練場、ですか……?」
敷き詰められた緋色の絨毯、薄い香の匂い。
窓際には燭台が揺れ、影が壁に揺らめいている。
その中心で、ユリウスは剣ではなく、グラスを片手に立っていた。
「剣術は既に見た。……次は、“身体の使い方”を教えてやる」
レオンは一瞬、意味がわからず黙り込む。
「……は」
「体術だ。護衛として動くなら、剣以外の攻防も心得よ。……ここへ来い」
ユリウスが指で軽く顎を指す。
まるで、犬を呼ぶような仕草。レオンは躊躇いながらもその前へ進み出た。
「まず、脱げ」
「……えっ」
「動きやすくするためだ。何を想像した?」
その一言にレオンの頬が赤く染まる。だが、命令には逆らえない。
ゆっくりと、濡れた上着を脱ぎ、シャツのボタンに手をかける。
――ユリウスの目が、それをじっと見つめていた。
(なぜ、こんなに視線を感じる……)
シャツが床に落ち、白い肌が露わになる。
雨に濡れた髪が頬に貼りつき、胸元に汗が浮く。
ユリウスは、指先をレオンの肩に置いた。
「力を抜け。動きを読むのは、力任せではなく“感覚”だ」
その言葉を口にしながらも、触れる手は滑るように鎖骨から肩甲骨へ。
くすぐったいような、熱を帯びた感覚に、レオンの呼吸が僅かに乱れる。
「お前……ここが弱いのか?」
ユリウスは、意地悪く肩をなぞる。
「ひっ……いえ、別に……っ」
だが、その声に艶が混ざったのを、ユリウスは見逃さなかった。
(やはり……この身体は、触れると面白い)
そう思いながら、背後からレオンを抱くように腕を回す。
耳元に口を寄せて囁いた。
「……敵にこうされたら、お前は抵抗できるか?」
「…………っ」
ユリウスの指が、腹筋の脇を滑り落ち、腰骨の際を撫でる。
レオンの身体が反応しそうになるのを、必死に抑えながら、彼は答えを探していた。
「……お、俺は……訓練として、耐えます……!」
ユリウスは笑った。
その声音には、珍しく色気が混じっていた。
「……なら、もっと教えてやろう。お前の“急所”の守り方をな」
そのまま、唇が首筋にかすかに触れた。
レオンの心臓が跳ね上がる。
(これは……本当に、“訓練”なのか……?)
わからない。
けれど今、王子の腕の中で、熱と羞恥と……それ以上の何かが、身体を包み込んでいた。
🔚 続く…
次回:
ユリウスの“訓練”は、夜ごと深まっていく。
忠誠とは、剣だけで誓うものではなかった――。
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