クリーチャー

Nemo

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2 工業地帯の神秘

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 鉄の匂いに臭い水。俺の住んでる町はそんな場所だった。少し歩けば工業、もう少し歩けば茶色い水の水路、とにかく汚い場所であり友達からも「お前ん家の近く臭くて行きたくない」とまで言われる始末。そんな自然の「し」の字もない場所で俺がこの町で好きな物がひとつある。それはドブの様な水路の水の一部が凍る現象が度々ある。それが美しいのだが誰も原因を知らない。冬だったら水が凍るのは分かるが夏でも見る事がある。一体どうして凍ってるのかは分からないが俺はその美しいドブ水の氷をいつまでも見ていたかった。しかし母親にはよく「そんな汚い所にいて。早く家に戻りなさい」と言われた。母親はそもそもこの場所が好きでは無く、早く引っ越したいなどよく言っていた。確かにこの町は緑が無いし空気も悪そうだ。一様この水路は川には直接流れ出ない仕組みにはなっているがその水の匂いは最悪だった。それでも俺はその匂いには慣れてきたが、母親はいつも文句ばかりだった。そんなある日だった。中学校も放課後になり帰りの支度をしている時だった。いきなり放送が流れた。その内容は大至急俺が職員室に来て欲しいという内容だった。そして俺は帰りの荷物を持ちながら教員室に入った。すると先生が言った。「いいかヤマダ、よく落ち着いて聞いてくれ。お前の父さんが仕事中に足を滑らして頭を強く打ったらしい。」その後の言葉がよく聞こえなかった。いや、聞こえなかったというより聞きたく無かった。そして俺はすぐに病院に行った。あんなに文句を言っていた母親が泣いていた。そう・・ここは霊安室だった。いきなりの事で何がなんだか分からなかった。そしてその日の夜、俺はまた臭い水路をボーッと見ていた。今日は水路があまり凍ってない。今日ぐらいあの美しい氷を見たかったのに。
 俺は家に帰りすぐに布団をかぶった。あまり起きているとおかしくなりそうだった。母親は居間でテレビもつけずにボーッとしていた。次の日になり父親の葬式の為学校を休んだ。葬式には沢山の人が来ていた。俺には父親が死んだ実感が今だに無い。そんなこんなで葬式も終わった。葬式の帰り道俺はまた水路を見ていた。臭い水路だが今日はあの美しい氷がいっぱい張っていた。凄く綺麗だった。でももう父親はいない。そう思うと涙が自動的に出てきた。外で泣くなんて恥ずかしいから涙を何度も止めようとしても涙が溢れてきた。そしてまた氷を見た。氷を見るたびに父親との思い出がよみがえって来てまた涙が溢れてきた。
 その後俺と母親はこの場所を離れる事にした。そして後々聞いた話だが、水路が凍るあの現象は実は目に見えないくらい小さい生き物から出てくる液体が化学反応を起こしてまるで氷の様に見えているだけだったようだ。
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