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11話
しおりを挟むリーフ君に主導権を渡して連れてこられたのはロット共和国最大の港町カンジョー市。
カンジョー市は遠洋漁業が盛んでそれに適した街が形成されている。
獲れた魚を加工する工場や海産物を食べられる料理店も多くある。
ロット共和国の首都に近い漁港という事もあってそうして出来た施設を中心に発展した。
比較的平和になった現在は国際港として機能している。
大陸の南東端の港なので東海岸と南海岸の港を繋ぐ繁華街としてかなり栄えている。
職場の研究所でも話題になるくらいに有名で大陸でも人気な観光地。
ロット共和国で遊びに行くとなれば話に上がりやすい街である。
「あれだけ文句を言って初めに連れてくるのがカンジョー市というのは安直じゃないかな、リーフ君。いや、別に構わないんだけれどね」
「それについてはちゃんと考えています。けれど今はここですっきりしてください。……でないとオレの身が危険なので」
「それは本当に冗談なんだけれどなぁ」
リーフ君が私をカンジョー市に連れて来たのは私を花街に連れていくためらしい。
カンジョー市が観光地として人気な理由には大陸随一の花街ということも理由に上がる。
元々遠洋漁業などの長期間漁に出ていた船員を癒すための施設がいくつかあった。
それが発展して出来たのがカンジョー市の花街。
花街といっても女性が酷く扱われているところではない。
そもそもの成り立ちとしては女性が作り上げた街とも言われている。
何でも長期間の漁になる船の上では娯楽が少ない。
加えて力仕事で命の危険があるため男性ばかり。
そんな環境だからというべきか、漁業関係者内に衆道が流行った。
その結果漁獲高が減ったり、船上での死亡事故が増えたという。
船乗りたちの悪癖を強制するために街の人々が立ち上がって出来たのが始まりだとか。
その他にも命の危険がある仕事だったため家庭を持たない男性に死なせないために帰る意志を持たせるためにそういう奉仕活動をしていたのだという。
そんな愉快な街なのでカンジョー市観光に文句はない。
不満はどちらかと言えば道中。
リーフ君に主導権を渡してからカナン市からの移動に面白味が無かったこと。
移動自体が面白くないのは仕方がない。
道中も見どころのある場所は無かった。
二人旅ではリーフ君が御者するしかないので私が大人しくする必要は分かる。
けれど道中に立ち寄った町村でも外出禁止だったのはちょっとばかり不満。
取り立てて何かある町村ではないけれど折角なので見て回りたかった。
リーフ君の道程はかなり忙しない。
余程早くカンジョー市に来たかったらしい。
悪ふざけをし過ぎたせいだろうか。
私との二人旅に余程危機感を抱いていたのかもしれない。
必要以上に距離を取りたがるし少しでも触れると少女のように悲鳴を上げることもあった。
確かにリーフ君は可愛らしい顔をしているが私には本当にその気はない。
あるいは過度に意識してみせることで私に意識させるつもりなのだろうか。
リーフ君もなんだかんだでまんざらでもないのかもしれない。
あるいはリーフ君自体がカンジョー市に早く来たかったのかもしれない。
私と一緒という事で代金は全て私が払えるので高級宿にも泊まれる。
リーフ君もまだまだ子どもなのだろう。
それは冗談として。
私も花街に興味がないわけではないので問題はない。
おじさんではあるけれど一応男ではあるのでね。
それにカンジョー市に来たのがリーフ君の危機感からという訳でもないはず。
詳しくは聞くつもりが無いのだけれどここでしなければならないこともあるのだろう。
一応の追われ者であるのに人目に付きやすい街に来たのには訳があるはず。
道中に軟禁されたのも金の錬成に集中させたいがためか。
それは兎も角。
折角観光地に来たのだから楽しませてもらう。
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