我が儘お嬢様。異世界の夢を見る

双葉珠洲

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 私は人生において嘘をつかないという事を信条としていた。
 それは矜持とか大層なモノでは無い。
 単純に性格として趣味として趣向としてそういう行動を選んできたというだけの事。
 ただ、嘘をつかないという縛りを作り遊んでいただけの事。

 だからだろう。
 理屈っぽい。
 面倒くさい。
 そう評価されるのは。

 けれど、なんだかんだで私はその評価が嫌いではなかった。
 そもそも私は品行方正で正義を貴ぶモノではない。
 単純に純粋に嘘をつかないだけ。
 偽りが嫌いという訳ではなく、嘘をついていないという事にそれ以上の意味を付与していない。
 私の言葉をどのように評価しどのように解釈するかは受け手次第。
 そこまでは私の関与するモノでは無い。

 そんな性格だからだろう。
 私の評価はかなり割れている。
 親しくしてくれる人は少なくもいたが、毛嫌いする人は多くいた。

 それでも蓼食う虫も好き好きとはよく言ったモノで。
 こんな私を好んでくれる異性もいた。
 そのおかげで私はヒトなりの生活を送ることが出来た。

 惜しむべくはその人生が幾らか短かったことだろうか。
 40歳を前に肺癌と認定され命を落とすことになる。

 やはり可能性や危険性といった言葉は信じるべきではないのだろう。
 飲酒も喫煙も不規則な生活さえしない私が癌になるなど。
 両親親類も病気によって早死にしていない。
 これならば体に気を使ったことが損ではないか、とさえ思えてしまう。

 だが。
 けれど。

 私の人生はそれなりに楽しいモノだった。
 誰かの何かと比較してしまえばつまらないモノかもしれない。
 物語的な何か、劇的で感動的な誇れるモノなどない。

 けれど私には私の人生しかない。
 ならば私が満足できるのであれば何ら問題ない。
 他者からどう思われようと関係ない。

 お前がそう思うならそうなんだろうな。
 お前の中ではな。

 何かのネタ、所謂ところの悪ふざけで使われる言葉だそうだが私はこの言葉が好きだ。
 所詮、人間は自分勝手。
 自分が良いと思えば他者の評価など関係ない。

 だから私の人生は幸せだった。
 取り立てて人に語れることも無く、平均寿命も生きられなかったとしても私は楽しめていたし満足できている。

 唯一気にかけるとすればこんな蓼を食べるような虫くらい。
 けれどあれはあれで希少種だが私などよりも器用なので上手くやるだろう。
 幸い知人の保険屋にがん保険を加入させられた後であったため経済的な負担はない。

 ああ、幸せな人生だった。





 そんな見知らぬ世界の見知らぬおじさんの人生を私は夢に観た。

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