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「匡、ま、待たせたな」
「いいよ。俺、モリを待つの好きだからさ」
お前が愛おしい、と顔全部で表しているような笑顔で告げる恋人に、衛は一瞬で真っ赤になる。
「いこっか?今日は俺に付き合ってくれるんでしょ?」
「おう」
耳を真っ赤に染めてそっぽを向いて返事をする衛に、匡はふんわり笑んだ。
松田衛は真っ赤な髪の毛とほんの僅かだが三白眼の鋭い目が特徴の不良と呼ばれる外見で、イケメンと呼ばれるタイプの高校生だ。
不良高に近い工業高校に通っている。
対して坂本匡は気怠げな雰囲気の目元と薄めの唇、その横にちょこんとついた黒子を持つも、一見すると明日には正確に思い出せないような埋没しかねない顔つきの有名進学校に通う高校生。
しかしその身長は190センチは優にあり、体つきもシャープながら筋肉質。
そして何より彼には身長より非凡なものがあった。
ひとつ、同性である衛の恋人であること。
ひとつ、男らしい色気がたっぷりあること。
衛は決して乙女ではないのに、匡の前ではそれに近い状態になってしまう。
その上、匡の色気に当てられた相手を見つけては嫉妬して威嚇してと大忙し。
今までの自分ではあり得ないその状態に、衛は
(俺、匡に夢中すぎるじゃねぇか!)
と思いつつ
(だって、匡が格好いいのがいけねぇんだよ、くそ!)
である。
「モリ、ほらほら、何食べる?俺の奢りだから、好きなの選んで?」
「お前は何食べんだよ」
放課後デートというあれで、制服姿のままの二人が現れたのは駅前に不定期に現れる移動販売のクレープ屋。
不良と思われている学校の制服の不良と、有名な寮制の進学校の制服を着ている長身。目立つことこの上ないが、匡は一切気にした様子がない。
そのあまりに堂々としている姿に、衛は純粋にすごいなあと思う。
格好いいと言われ、羨望や嫉妬の眼差しを多数浴びた衛ですら視線が煩わしいと思うのに、匡が視線を完全に無いものとしている姿は、衛に
(かっこいい……って、俺は乙女か!!!)
そう思わせてしまうようだ。
「モリ?」
「いや、なんでもねーし。で、何にすんだよ」
「俺はね、この“チョコチップストロベリー生クリーム”にするけど?」
「……胃がおかしくなりそうだな」
「ははは!甘いのが好きなんだから、仕方がないよ。これでも一応色々考えてアイスクリームのトッピングはやめたんだから、いつもよりマシだよ」
「ありえねえ……」
ニコニコと笑っている匡に衛は「ポテトオニオンチーズ」とメニューに指差し言う。頭の中は『匡かっこいい!』から『匡の甘党ありえない』に移行していた。
二人の注文を待っていた店員の「ご注文は?」と言う声に匡は先のメニューを告げ、受け取り口に移動する。
本当に甘ったるそうな注文をした匡を初めて見たわけではないが、相変わらずの匡の好みに眼を丸くして動かなくなった衛の学ランの裾を、匡が握り引っ張っていく。
手を握る事に嫌はない匡だが、男子校でなぜか同性愛者が多い自身の高校敷地内ならいざ知らず、外でそんな事をしたら衛は顔を真っ赤にして狼狽えてしまうだろうから、匡の手は学ランを掴む。
真っ赤な衛を可愛がるのは大好きな匡だけれど、恥ずかしげもなく「モリが好きだよ。可愛い」と言える匡は案外独占欲が強く、可愛い──そう言い切れるのは匡くらいかもしれない、いや、匡だけだろうが──そんな衛の顔を不特定多数に見られる事が匡は好きではない。
「モリにも一口あげようか?」
「無理。絶対死ぬ」
まず先に店員に渡されたのは衛の頼んだ商品。
衛はほのかに暖かいクレープを大切そうに持つ。
その心は
(へへ、匡が買ってくれた──────って、俺はだから、夢見る女じゃねぇんだよ!!!あああああ、くそ!!!俺はバカか!!!)
だ。余談だが、衛の姉は匡と付き合いだした衛を「乙女ちゃん」と呼んでいる。
心で本音にツッコミを入れている乙女ちゃん衛の横で、店員が匡の注文したクレープを匡に渡していた。
「あれ?」
受け取った匡の声に反応したのは店員と衛。
「どうしたんだよ」
乙女ちゃんを消し去った不良の衛に、匡は困った顔で首を傾げそのまま車の中の店員に「あの」と小さな声で聞く。
店員はそれだけで何を言いたいのか理解して、頬をピンクに染めて言った。
「なーにが!なーにが『アイスはおまけで、その、内緒ですよ。また、来てください!』だよ!!店員が!」
流し込むように食べ終えたクレープを包んでいた紙を乱暴に丸め、衛はそれをゴミ箱に叩き入れる。
そのままゴミ箱を蹴りそうな勢いで「うがあ!」と叫んで、そんな衛を微笑ましそうに見つめる匡の座るベンチに戻った。
「可愛い、モリ、嫉妬しちゃった?」
続けて「なーんて」と戯けた調子で言おうとした匡の声を衛の声が遮り
「あったりまえだろ!くそ!ばか!しね!」
子供のような暴言を吐く衛の手をやんわり握って、匡は隣に座らせる。
片手にはまだ食べかけのクレープ。
二人は子供達がいなくなって静まり返った公園にいた。
「嫉妬なんてさせてごめんな。モリ。でも俺、嬉しいんだ」
「なんでだよ!」
歯をむき出しにして怒っている狼──衛は不良たちに赤い髪の毛とグループに属さない事から“赤狼”と言われているから、狼と表現する事は強ち間違いではないが──の様な衛に慈しむ笑顔を見せ、握ったままの手を引き上げる。
「モリはかっこいいよ。モデルみたい。ちょっと目つきは鋭いけど、女の子たちがいつもかっこいいって目をキラキラさせてモリを見てる」
匡は引き上げた衛の手の甲を、親指で優しく撫でた。
「なのに俺はこの通り格好いいとは程遠い顔だから、モリがそうして俺を好きって全身で言ってくれると、舞い上がっちゃうんだ。ごめんね」
ちゅう、と衛の手の甲に匡の唇が落ちる。
衛は顔も首も真っ赤にして、口は何も言えずパカパカと開いて閉じてを繰り返しているだけだ。
「あ、クリームついちゃった。ごめん」
言った匡の唇がまた甲に落ちて衛の頭はパンク寸前。
衛は匡とキスなんて何度もしているしもっと先の事まで体験しているのに、こうした事をしれっとやる匡の行動に、衛はいつだって頭が真っ白になってばかり。
「俺はなあ、好きで、たまらねぇから、てめぇに抱かれてやるんだよ!あほ!あほ!お前がなあ、お前が、かっこいいから嫉妬なんて、どんだけしてると思ってんだ、嫉妬してばっかりだよ!クソばか匡」
真っ白になるあまり、衛は乱暴な言葉で素直な気持ちを吐露する事がしょっちゅうだ。
「かっこいい──────俺、格好いい?嬉しいや。どうしよう、すっごい嬉しい。モリに言われると本当に嬉しくて飛べちゃいそう。困ったな、俺すっごい幸せだ」
噛みしめるような言い方の、耳あたりの気持ちがいい深みのある低い声に誘われて、ベンチの木目に目を落としていた衛の顔がそろそろと上がり、とろりと蕩ける笑顔の匡と目が合う。
一層衛の顔が赤くなる。
匡は常に行動というか仕草になぜか色気を感じさせるが、端的に、少し乱暴に言うと、今はそういう次元ではなく、雄のフェロモンのような何かも混じり合っていて、匡の笑顔を直視していない人間だってきっとぽやんと見とれてしまうだろう。
衛はそれを身をもって知るから思わず周りを確認し、誰もいない事に安堵した。
こんな匡を見た人間は匡に絶対見惚れる。そして一瞬で惚れる。そうに違いないのだ。それと分かっていて威嚇するなというのはおかしい。これは衛の主張である。
「か、か、かっこいいんだからな!匡はもっと、こう、しっかりと自覚しとけよ」
「ありがとう。モリもとっても格好良いよ」
「お、おう。いや、ってーか、俺の事はどうでもよくて!俺はな、匡が好きでって、いや、好きって欲目がなくても、お前はかっこいいんだからな!世辞じゃねぇぞ!自覚しろよ、ばか!」
「うん、ありがとう」
「お、お、おれだって、す、す、好きだぞ」
「うん。俺も大好き。モリが大好きだよ。誰より何より、大切だよ」
優しい愛の告白に照れた顔を背け目だけ匡に向けた衛は、小さく笑った匡の顔が近づいてくるのに気がつき目を閉じて、自身の唇に降るキスをうっとりと受け入れるのである。
「いいよ。俺、モリを待つの好きだからさ」
お前が愛おしい、と顔全部で表しているような笑顔で告げる恋人に、衛は一瞬で真っ赤になる。
「いこっか?今日は俺に付き合ってくれるんでしょ?」
「おう」
耳を真っ赤に染めてそっぽを向いて返事をする衛に、匡はふんわり笑んだ。
松田衛は真っ赤な髪の毛とほんの僅かだが三白眼の鋭い目が特徴の不良と呼ばれる外見で、イケメンと呼ばれるタイプの高校生だ。
不良高に近い工業高校に通っている。
対して坂本匡は気怠げな雰囲気の目元と薄めの唇、その横にちょこんとついた黒子を持つも、一見すると明日には正確に思い出せないような埋没しかねない顔つきの有名進学校に通う高校生。
しかしその身長は190センチは優にあり、体つきもシャープながら筋肉質。
そして何より彼には身長より非凡なものがあった。
ひとつ、同性である衛の恋人であること。
ひとつ、男らしい色気がたっぷりあること。
衛は決して乙女ではないのに、匡の前ではそれに近い状態になってしまう。
その上、匡の色気に当てられた相手を見つけては嫉妬して威嚇してと大忙し。
今までの自分ではあり得ないその状態に、衛は
(俺、匡に夢中すぎるじゃねぇか!)
と思いつつ
(だって、匡が格好いいのがいけねぇんだよ、くそ!)
である。
「モリ、ほらほら、何食べる?俺の奢りだから、好きなの選んで?」
「お前は何食べんだよ」
放課後デートというあれで、制服姿のままの二人が現れたのは駅前に不定期に現れる移動販売のクレープ屋。
不良と思われている学校の制服の不良と、有名な寮制の進学校の制服を着ている長身。目立つことこの上ないが、匡は一切気にした様子がない。
そのあまりに堂々としている姿に、衛は純粋にすごいなあと思う。
格好いいと言われ、羨望や嫉妬の眼差しを多数浴びた衛ですら視線が煩わしいと思うのに、匡が視線を完全に無いものとしている姿は、衛に
(かっこいい……って、俺は乙女か!!!)
そう思わせてしまうようだ。
「モリ?」
「いや、なんでもねーし。で、何にすんだよ」
「俺はね、この“チョコチップストロベリー生クリーム”にするけど?」
「……胃がおかしくなりそうだな」
「ははは!甘いのが好きなんだから、仕方がないよ。これでも一応色々考えてアイスクリームのトッピングはやめたんだから、いつもよりマシだよ」
「ありえねえ……」
ニコニコと笑っている匡に衛は「ポテトオニオンチーズ」とメニューに指差し言う。頭の中は『匡かっこいい!』から『匡の甘党ありえない』に移行していた。
二人の注文を待っていた店員の「ご注文は?」と言う声に匡は先のメニューを告げ、受け取り口に移動する。
本当に甘ったるそうな注文をした匡を初めて見たわけではないが、相変わらずの匡の好みに眼を丸くして動かなくなった衛の学ランの裾を、匡が握り引っ張っていく。
手を握る事に嫌はない匡だが、男子校でなぜか同性愛者が多い自身の高校敷地内ならいざ知らず、外でそんな事をしたら衛は顔を真っ赤にして狼狽えてしまうだろうから、匡の手は学ランを掴む。
真っ赤な衛を可愛がるのは大好きな匡だけれど、恥ずかしげもなく「モリが好きだよ。可愛い」と言える匡は案外独占欲が強く、可愛い──そう言い切れるのは匡くらいかもしれない、いや、匡だけだろうが──そんな衛の顔を不特定多数に見られる事が匡は好きではない。
「モリにも一口あげようか?」
「無理。絶対死ぬ」
まず先に店員に渡されたのは衛の頼んだ商品。
衛はほのかに暖かいクレープを大切そうに持つ。
その心は
(へへ、匡が買ってくれた──────って、俺はだから、夢見る女じゃねぇんだよ!!!あああああ、くそ!!!俺はバカか!!!)
だ。余談だが、衛の姉は匡と付き合いだした衛を「乙女ちゃん」と呼んでいる。
心で本音にツッコミを入れている乙女ちゃん衛の横で、店員が匡の注文したクレープを匡に渡していた。
「あれ?」
受け取った匡の声に反応したのは店員と衛。
「どうしたんだよ」
乙女ちゃんを消し去った不良の衛に、匡は困った顔で首を傾げそのまま車の中の店員に「あの」と小さな声で聞く。
店員はそれだけで何を言いたいのか理解して、頬をピンクに染めて言った。
「なーにが!なーにが『アイスはおまけで、その、内緒ですよ。また、来てください!』だよ!!店員が!」
流し込むように食べ終えたクレープを包んでいた紙を乱暴に丸め、衛はそれをゴミ箱に叩き入れる。
そのままゴミ箱を蹴りそうな勢いで「うがあ!」と叫んで、そんな衛を微笑ましそうに見つめる匡の座るベンチに戻った。
「可愛い、モリ、嫉妬しちゃった?」
続けて「なーんて」と戯けた調子で言おうとした匡の声を衛の声が遮り
「あったりまえだろ!くそ!ばか!しね!」
子供のような暴言を吐く衛の手をやんわり握って、匡は隣に座らせる。
片手にはまだ食べかけのクレープ。
二人は子供達がいなくなって静まり返った公園にいた。
「嫉妬なんてさせてごめんな。モリ。でも俺、嬉しいんだ」
「なんでだよ!」
歯をむき出しにして怒っている狼──衛は不良たちに赤い髪の毛とグループに属さない事から“赤狼”と言われているから、狼と表現する事は強ち間違いではないが──の様な衛に慈しむ笑顔を見せ、握ったままの手を引き上げる。
「モリはかっこいいよ。モデルみたい。ちょっと目つきは鋭いけど、女の子たちがいつもかっこいいって目をキラキラさせてモリを見てる」
匡は引き上げた衛の手の甲を、親指で優しく撫でた。
「なのに俺はこの通り格好いいとは程遠い顔だから、モリがそうして俺を好きって全身で言ってくれると、舞い上がっちゃうんだ。ごめんね」
ちゅう、と衛の手の甲に匡の唇が落ちる。
衛は顔も首も真っ赤にして、口は何も言えずパカパカと開いて閉じてを繰り返しているだけだ。
「あ、クリームついちゃった。ごめん」
言った匡の唇がまた甲に落ちて衛の頭はパンク寸前。
衛は匡とキスなんて何度もしているしもっと先の事まで体験しているのに、こうした事をしれっとやる匡の行動に、衛はいつだって頭が真っ白になってばかり。
「俺はなあ、好きで、たまらねぇから、てめぇに抱かれてやるんだよ!あほ!あほ!お前がなあ、お前が、かっこいいから嫉妬なんて、どんだけしてると思ってんだ、嫉妬してばっかりだよ!クソばか匡」
真っ白になるあまり、衛は乱暴な言葉で素直な気持ちを吐露する事がしょっちゅうだ。
「かっこいい──────俺、格好いい?嬉しいや。どうしよう、すっごい嬉しい。モリに言われると本当に嬉しくて飛べちゃいそう。困ったな、俺すっごい幸せだ」
噛みしめるような言い方の、耳あたりの気持ちがいい深みのある低い声に誘われて、ベンチの木目に目を落としていた衛の顔がそろそろと上がり、とろりと蕩ける笑顔の匡と目が合う。
一層衛の顔が赤くなる。
匡は常に行動というか仕草になぜか色気を感じさせるが、端的に、少し乱暴に言うと、今はそういう次元ではなく、雄のフェロモンのような何かも混じり合っていて、匡の笑顔を直視していない人間だってきっとぽやんと見とれてしまうだろう。
衛はそれを身をもって知るから思わず周りを確認し、誰もいない事に安堵した。
こんな匡を見た人間は匡に絶対見惚れる。そして一瞬で惚れる。そうに違いないのだ。それと分かっていて威嚇するなというのはおかしい。これは衛の主張である。
「か、か、かっこいいんだからな!匡はもっと、こう、しっかりと自覚しとけよ」
「ありがとう。モリもとっても格好良いよ」
「お、おう。いや、ってーか、俺の事はどうでもよくて!俺はな、匡が好きでって、いや、好きって欲目がなくても、お前はかっこいいんだからな!世辞じゃねぇぞ!自覚しろよ、ばか!」
「うん、ありがとう」
「お、お、おれだって、す、す、好きだぞ」
「うん。俺も大好き。モリが大好きだよ。誰より何より、大切だよ」
優しい愛の告白に照れた顔を背け目だけ匡に向けた衛は、小さく笑った匡の顔が近づいてくるのに気がつき目を閉じて、自身の唇に降るキスをうっとりと受け入れるのである。
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