拝啓、カミサマとやらへ

黒百合

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序論

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昔から、おとぎ話というものが大嫌いだった
夢なんか見てもお腹は膨れない、喉は潤わない、私のこの胸のモヤは消えない
ノンフィクションもまた、大嫌いだった
現実の事を生々しく書いた書物なんて、敵視していた

現在、私は高校生
その現実も、経歴も、大嫌いだった
そんなある日、私はふと、便箋を手に取り鉛筆を手に取り、とある存在に手紙を書いたのだ
……今思えば、私がこうやって生きているのも
もしかしたら、あの体験のせいなのかもしれない

「……できた」
決して綺麗とはいえない文字で書かれた宛先
それは
“カミサマ”だった
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