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第一話
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意識が覚醒して、最初目に映ったのはただの闇
目を開けているのか閉じているのか分からない感覚に眉を潜める
ふと、何処からか ちりん という鈴のような風鈴のような、そんな軽い音が鼓膜を震わす
その音から連想するのは、葬列だった
私……何かしたっけ
そう思って過去の糸を手繰っても、途中でプッツリと切れているらしく、私がいつどこで何があったのか全く記憶に無い
重々しく、息を吐き出す
平衡感覚が無くなりつつある中、少しだけ腕を動かしてみるも、何かが当たる感覚はない
しかし体をコントロールする事はできると言う事実に、少しだけ安心した
……まぁ、何とかなるだろう
今はこの闇に浸かっておこう、と、呑気な事を考えて、私は再び意識を手放そうとするも
閉じた瞼の隙間から チラリ と銀色の光が映った
夜明けを連想させるその光は、瞬く間に大きくなり、今まで何も感覚が無かった背に、何かが当たる感覚がしたのだ
恐る恐る目を開けると
「お目覚めかにゃ?」
「……は、っ?」
そこには灰色で、尾が二股に分かれている猫(らしき生物)がこちらを見下ろしていた
猫は私の反応を見てクスクスと笑っているようだ
いや、待て……
猫が喋ってるという事は、少なからずここは……私の知っている世界じゃ無い
「んん?訳が分からないって顔をしているにゃ?」
「えぇ、まぁ……そりゃあ」
何となくこの猫……童話の不思議の国のアリスに出てきたチェシャ猫に似ている気がする
でっぷりとした体と、にんまりとつり上がった口、違っているのは毛並みの色と尾が分かれていることだけだろう
つまりここは不思議の国?そんな、まさか
そんな夢みたいな話、ある訳ないだろう
嘲笑気味に笑うと、見かねた猫が口を開く
「説明してやろう。ここは神界と呼ばれる世界、君が生きている世界とは違う世界にゃ」
「しん、かい?」
私達が生きている世界とは違う世界?
聞けば聞くほどおとぎ話にありそうな話だ
頬をつねってみるも痛みをしっかり感じられる
つまり……夢ではない?
「信じられない……」
「信じないと何も始まらないんだにゃ~」
「で、でも……」
急に不安になってきた
確かに、今までいた世界は大嫌いだ
でも……決して家族や友達の事は嫌いではない
ここから出なければ皆に心配をかけてしまう
それだけは避けたかった
不意に、猫が欠伸をし、そう言えば と呟く
「自己紹介がまだだったにゃ、我は猫又にゃ、好きに呼ぶが良い」
猫又、昔……クラスの妖怪オタクから聞いたことがある名前だ
確か、その子が言うに……猫又は人を食うとか何とか言っていたが……
コイツは流石に無いだろう
「あの……猫又、どうすればここの世界から出れるの……?」
「さぁにゃ?」
首を傾げ、お手上げと言うように両手を上げる猫又
普通、来た道があるなら帰る道があるはずだ、そう考えるしか無い
重たい腰を起こし、猫又の横を通り過ぎようとした
「まぁ、待て人間」
「えっ」
「一つだけ方法を述べるとしたら、この世界を治めるカミサマに会うといいにゃ」
「カミサマ?」
どうやら猫又の言うカミサマとは、どんな願いも叶えられる存在らしく
こっちの世界も私が生きていた世界も治めていて
とにかく、何とかしてくれるという事だ
そうと決まれば善は急げ
猫又にお礼を言って先を急ごうとしたが
「何言ってるんだにゃ?我もついて行くぞ?」
「はい?」
当たり前だと言う顔をして付いてきた
こうして、私の冒険は始まったのだ
目を開けているのか閉じているのか分からない感覚に眉を潜める
ふと、何処からか ちりん という鈴のような風鈴のような、そんな軽い音が鼓膜を震わす
その音から連想するのは、葬列だった
私……何かしたっけ
そう思って過去の糸を手繰っても、途中でプッツリと切れているらしく、私がいつどこで何があったのか全く記憶に無い
重々しく、息を吐き出す
平衡感覚が無くなりつつある中、少しだけ腕を動かしてみるも、何かが当たる感覚はない
しかし体をコントロールする事はできると言う事実に、少しだけ安心した
……まぁ、何とかなるだろう
今はこの闇に浸かっておこう、と、呑気な事を考えて、私は再び意識を手放そうとするも
閉じた瞼の隙間から チラリ と銀色の光が映った
夜明けを連想させるその光は、瞬く間に大きくなり、今まで何も感覚が無かった背に、何かが当たる感覚がしたのだ
恐る恐る目を開けると
「お目覚めかにゃ?」
「……は、っ?」
そこには灰色で、尾が二股に分かれている猫(らしき生物)がこちらを見下ろしていた
猫は私の反応を見てクスクスと笑っているようだ
いや、待て……
猫が喋ってるという事は、少なからずここは……私の知っている世界じゃ無い
「んん?訳が分からないって顔をしているにゃ?」
「えぇ、まぁ……そりゃあ」
何となくこの猫……童話の不思議の国のアリスに出てきたチェシャ猫に似ている気がする
でっぷりとした体と、にんまりとつり上がった口、違っているのは毛並みの色と尾が分かれていることだけだろう
つまりここは不思議の国?そんな、まさか
そんな夢みたいな話、ある訳ないだろう
嘲笑気味に笑うと、見かねた猫が口を開く
「説明してやろう。ここは神界と呼ばれる世界、君が生きている世界とは違う世界にゃ」
「しん、かい?」
私達が生きている世界とは違う世界?
聞けば聞くほどおとぎ話にありそうな話だ
頬をつねってみるも痛みをしっかり感じられる
つまり……夢ではない?
「信じられない……」
「信じないと何も始まらないんだにゃ~」
「で、でも……」
急に不安になってきた
確かに、今までいた世界は大嫌いだ
でも……決して家族や友達の事は嫌いではない
ここから出なければ皆に心配をかけてしまう
それだけは避けたかった
不意に、猫が欠伸をし、そう言えば と呟く
「自己紹介がまだだったにゃ、我は猫又にゃ、好きに呼ぶが良い」
猫又、昔……クラスの妖怪オタクから聞いたことがある名前だ
確か、その子が言うに……猫又は人を食うとか何とか言っていたが……
コイツは流石に無いだろう
「あの……猫又、どうすればここの世界から出れるの……?」
「さぁにゃ?」
首を傾げ、お手上げと言うように両手を上げる猫又
普通、来た道があるなら帰る道があるはずだ、そう考えるしか無い
重たい腰を起こし、猫又の横を通り過ぎようとした
「まぁ、待て人間」
「えっ」
「一つだけ方法を述べるとしたら、この世界を治めるカミサマに会うといいにゃ」
「カミサマ?」
どうやら猫又の言うカミサマとは、どんな願いも叶えられる存在らしく
こっちの世界も私が生きていた世界も治めていて
とにかく、何とかしてくれるという事だ
そうと決まれば善は急げ
猫又にお礼を言って先を急ごうとしたが
「何言ってるんだにゃ?我もついて行くぞ?」
「はい?」
当たり前だと言う顔をして付いてきた
こうして、私の冒険は始まったのだ
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