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第二話
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あれから、猫又と共に木々が生い茂った道を歩いた
あと、この世界についても少し聞いた
あまり理解出来ていないが、カミサマに会うには長い道を歩かないといけないらしい
最悪だ……
昔から運動と勉強には恵まれなかった私だ
ここに来て何回目かの溜息を吐く
それを見かねた猫又がニヤニヤと笑う
「……何?」
「もしかして、オマエ、現世で散々な目に遭ったにゃ?」
その言葉はグサリと心に刺さった
コイツ、デリカシーの欠片もないな
何とか無表情を取り繕って「何で」と聞き返す
ニンマリ と効果音がつきそうな程の笑顔が浮かび上がって、猫撫で声で猫又は続けた
「女とは思えない風貌だからにゃ」
これには流石に眉間にシワを寄せた
なんだそれ、アレか、目付きとか胸とかか?
あからさまに機嫌が悪くなった私を見て、猫又も少し焦りを感じたのだろう
「オマエ、爪を噛んでいるにゃ?」
「だから何さ」
「まぁまぁそう怒らにゃいで……」
「殴るよ」
確かに、猫又の言うことにも一理ある
学校ではお人好しと言われて、家では夜勤の母をいたわる為に家事洗濯自炊……
確かに散々な目にあっている
あと風貌、私服が兄貴のお下がりで、髪も短く切っているから、まぁ……分かる
でもムカつく
ガリリ と爪を噛むと、猫又はギョッとして止めに入った
多分、相当怒ってると勘違いしたのだろう
実際、機嫌を損ねているのだが別に怒ってはいない
長年現実世界でやってきた癖が、ここに来て出てきてしまっただけだ
―爪は噛んじゃダメ
母から何度も言われて、その度に手を優しく包んでくれた
母さん、今頃何してるかな
私が居ないって気づいたら、心配してくれるかな
あぁ、ご飯、まだ作ってないや
「ねぇ、猫又」
「何だにゃ?」
「なんで私、ここに来たんだろ」
ポツリ と零した言葉に、猫又は苦笑いして
「カミサマに聞けば分かるにゃ」
と返した
「そっか、なら頑張らなきゃね」
「えっ、お、オマエ……いきなりどうしたにゃ?」
「知らない」
自分でも何でやる気が出てきたのか分からない
けれど、早く母に会いたいと思ったのは事実だ
早く出よう、帰らなきゃ
私の心は早くも少しだけ変わっている……のかもしれない
あと、この世界についても少し聞いた
あまり理解出来ていないが、カミサマに会うには長い道を歩かないといけないらしい
最悪だ……
昔から運動と勉強には恵まれなかった私だ
ここに来て何回目かの溜息を吐く
それを見かねた猫又がニヤニヤと笑う
「……何?」
「もしかして、オマエ、現世で散々な目に遭ったにゃ?」
その言葉はグサリと心に刺さった
コイツ、デリカシーの欠片もないな
何とか無表情を取り繕って「何で」と聞き返す
ニンマリ と効果音がつきそうな程の笑顔が浮かび上がって、猫撫で声で猫又は続けた
「女とは思えない風貌だからにゃ」
これには流石に眉間にシワを寄せた
なんだそれ、アレか、目付きとか胸とかか?
あからさまに機嫌が悪くなった私を見て、猫又も少し焦りを感じたのだろう
「オマエ、爪を噛んでいるにゃ?」
「だから何さ」
「まぁまぁそう怒らにゃいで……」
「殴るよ」
確かに、猫又の言うことにも一理ある
学校ではお人好しと言われて、家では夜勤の母をいたわる為に家事洗濯自炊……
確かに散々な目にあっている
あと風貌、私服が兄貴のお下がりで、髪も短く切っているから、まぁ……分かる
でもムカつく
ガリリ と爪を噛むと、猫又はギョッとして止めに入った
多分、相当怒ってると勘違いしたのだろう
実際、機嫌を損ねているのだが別に怒ってはいない
長年現実世界でやってきた癖が、ここに来て出てきてしまっただけだ
―爪は噛んじゃダメ
母から何度も言われて、その度に手を優しく包んでくれた
母さん、今頃何してるかな
私が居ないって気づいたら、心配してくれるかな
あぁ、ご飯、まだ作ってないや
「ねぇ、猫又」
「何だにゃ?」
「なんで私、ここに来たんだろ」
ポツリ と零した言葉に、猫又は苦笑いして
「カミサマに聞けば分かるにゃ」
と返した
「そっか、なら頑張らなきゃね」
「えっ、お、オマエ……いきなりどうしたにゃ?」
「知らない」
自分でも何でやる気が出てきたのか分からない
けれど、早く母に会いたいと思ったのは事実だ
早く出よう、帰らなきゃ
私の心は早くも少しだけ変わっている……のかもしれない
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